TECH

    BUSINESS

      POLITICS

        CAREERS

          LIFE

            NEWS

              VIDEO

                ALL

                  PRIVACY POLICY

                    TERMS

                      INFORMATIVE DATA POLICY

                        News

                        ゴーン逮捕はなぜ今なのか——ルノー・日産の経営統合との関係は

                        東京地検特捜部が日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン容疑者(64)と、代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕した。

                        2017年9月、フランス・パリで開かれた記者会見にて。ルノー・日産アライアンスのカルロス・ゴーンCEO。

                        REUTERS/Philippe Wojazer

                        報道によると、逮捕容疑は2011年6月から2015年6月まで、実際のゴーンの報酬は合計約99億9800万円だったのに、約49億8700万円だったとの虚偽の記載をした有価証券報告書を、5回にわたり関東財務局に提出した疑い。

                        5年間で100億円を手にしていたのに、50億円しかもらっていないと公表していたという守銭奴ぶりには驚くほかない。しかし、ここで冷静に考えたいのは、なぜこの銭ゲバスキャンダルが、このタイミングで浮上したかということである。

                        日産が刺したゴーン

                        2018年11月19日夜、ゴーン容疑者らの逮捕を受け、横浜市の日産自動車グローバル本社で記者会見に臨む西川廣人社長。

                        撮影:庄司将晃

                        読み解くヒントが2つある。

                        一つは東京地検特捜部がゴーン容疑者の事情聴取を始めた直後の日産の発表だ。

                        「カルロス・ゴーンについては、長年にわたり実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明した」

                        「当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められた」

                        日産はそういったコメントを出し、ゴーンの日産会長と代表取締役の解職を取締役会に提案するとした。

                        日産は、併せて「不正行為について数カ月にわたって内部調査を行ってきた」と経緯も明らかにしている。要するに日産はゴーンを刺しているのだ。

                        かつて経営危機に陥った日産の救世主となったゴーンに対して、日産はなぜこのタイミングでクーデターを起こしたのか —— 。

                        「経営統合も選択肢」と発言

                        2018年11月19日夜、横浜市の日産自動車グローバル本社。この写真を撮影した後、22時すぎから記者会見が行われた。

                        撮影:庄司将晃

                        ルノーの筆頭株主である仏政府は2015年ころからルノー主導の日産との経営統合を強く求めてきた。これにルノーの最高経営責任者(CEO)で日産会長のカルロス・ゴーンは強く反発、「仏政府がルノーの株主にとどまり続ける限り、日産はいかなる資本構成の移動も受け入れない」などと主張してきた。

                        「仏政府は意向に沿わないゴーンをルノーCEOから退かせるだろう」

                        それが多くの関係者の見立てだったが、2018年2月、ルノーはゴーン続投を発表した。ゴーンが仏政府と手を握り、「仏政府vs.ゴーン・日産」から「仏政府・ゴーンvs.日産」という構図に変わったのだ。

                        続投を決めたゴーンは仏メディアの取材に「(ルノーと日産の関係について)全ての選択肢がありタブーは無い」と発言。さらにゴーンが2月にルノー最高執行責任者(COO)に指名したティエリー・ボロレもインタビューで、「仏政府の中には完全統合すべきだと公言する人たちもいる。それは事実だ」と述べた。ルノーと日産の経営統合も選択肢のうちだ、と話したのだ。

                        日本では「耳障りのいいこと」

                        フランス北部モブージュ州の工場でルノー従業員に語りかけるフランスのマクロン大統領。脇に控えるのはゴーンCEO。フランス政府はルノー株15%を持つ筆頭株主だ。

                        REUTERS/Philippe Wojazer

                        ところが、ゴーンは10月27日、仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の資本関係見直しについて言及。もともとゴーンは6月に開かれた三菱自動車の株主総会で「三菱自動車がルノーの完全子会社になる可能性はゼロだ」と語っていた。さらに10月のインタビューでは「私は過去の発言を数カ月後に翻したりしない。言った言葉はそのままだ」と述べた。つまり、日本側では経営統合はない、と断言しているのだ。

                        この流れだけを見ると、ゴーンは途中で変節したように思える。10月上旬の仏経済紙のインタビューでは、「(資本関係の見直しについて)まだ(決定は)早すぎる」と答えており、資本提携の可能性は否定していない。

                        「海の向こうでは本音を語り、日本では日本人にとって耳障りの良い事を言っている」(日産関係者)とみられている。

                        「どんな手を使っても」と経産省

                        ゴーンは仏政府と手を握り、ルノー主導による日産、三菱自との再編を狙っていた。しかし、東京地検の捜査が忍び寄る中で、その背後に日産や三菱自のルノーに対する反発があると感じ、突然、「完全子会社化はあり得ない」と語って、事なきを得ようとしたのではないか。

                        より想像をたくましくするのは、3社の経営統合問題が騒ぎとなった2018年初めの経済産業省幹部の言葉である。同幹部は「どんな手を使ってでも阻止する」と語った。経営統合に反発する日産・三菱自と「仏自動車大手NISSAN」誕生に警戒を強めた経産省が手を握り、ゴーンの追い落としを画策したのではないか。

                        「銭ゲバ50億円事件」の背景はそんなことではないかと思えてならない。(敬称略)

                        ゴーン続投は日産・ルノーの経営統合の布石か?仏政府介入に反発強める日産・経産省

                        https://www.businessinsider.jp/post-164047

                        悠木亮平(ゆうき・りょうへい):ジャーナリスト。新聞社や出版社で政官財の広範囲にまたがって長く経済分野を取材している。

                        Share This Post

                        あわせて読みたい