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Business

IPO目前のWeWorkが炎上中。ソフトバンクが「470億ドル」と値踏みした成長企業の“知られざる実態”

中国・北京にあるWeWorkのコワーキングオフィス。

REUTERS/Stringer

2019年9月、世界のベンチャー業界で最も大きな話題になったできごとは、間違いなくWeWork(ウィーワーク)の新規株式公開(IPO)でしょう。

創業者のアダム・ニューマンCEOによる上場前の株式売却や、IPO評価額の5兆円から2兆円前後への下落、さらに最近では、同社取締役の一部が創業者への退任要求を検討するなど、時価総額約7兆円で過去2番目の大型上場となったUberのときより報道が加熱しています。

WeWorkは2017年にソフトバンクが出資して以来、日本での展開を加速度的に活発化させ、東京や大阪、名古屋など主要都市に進出先を拡大しており、その名を知るビジネスパーソンもすでに少なくないことでしょう。

しかしながら、WeWorkがどんな企業なのか、その実態を知る方は日本には多くはないと感じています。

例えば、イスラエルの軍隊を経て23歳でニューヨークに移住したニューマン氏が、2008年にWeWorkの前身となる会社をスタートさせ、四苦八苦しながら建築会社のCaseを買収してWeWorkのビジネスを作ってきたこと。

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また、同社はWeWork以外にも、創業者の妻レベッカが展開する教育事業「WeGrow」や賃貸住居の「WeLive」、フィットネスジムの「Rise by We」といった別事業を展開していること。

WeWorkは典型的なテクノロジーベンチャーとは異なります。ビジョンが先にあり、そのビジョンを実現させるために、建築会社を買収したり、競合が追いつけないスピードで進出したり。その戦略からは、パソコンソフトの卸売りから出発し、見本市会社や携帯電話会社を買収した当時のソフトバンクの手法も垣間見えます。

WeWork上場はなぜ問題とされるのか

米ニューヨークのWeWorkオフィス。

REUTERS/Brendan McDermid

今回の上場で問われているテーマは、WeWorkのコワーキングスペースは本当にイノベーティブなのか?という点です。

IT企業の洒落たオフィスを真似するだけなら、他の企業でもできます。現状、テクノロジーによる差別化も大きくはないため、成長に持続性があるのか疑問視されています。

また、月額費用さえ払えばいつでも入退会できるというサービスのあり方にも疑問が投げかけられています。フレキシブルなプラン設定は利用者にとってありがたいものですが、運営者の側から見ると、いつでも退会されてしまうのでは収益の安定性が図れません。

このあと紹介するBusiness Insiderの記事にも出てきますが、従来からあるサブリース(オーナーから物件を借り上げ、利用者に賃貸する)のビジネスと何が違うのかという指摘もあります。

いわゆる働き方改革の波に乗って、日本でも注目を集めるコワーキングスペースビジネスですが、華やかに見えるその裏側の仕組みを冷静に見つめる必要があるでしょう。

いま明らかになっていること

WeWorkの創業者、アダム・ニューマンCEO。

Jackal Pan via REUTERS

WeWorkのビジネスモデルや実態を知るには、残念ながら日本語で報道されている内容では不十分で、英語の情報源が必須になってきます。

アメリカのBusiness InsiderはニューマンCEOの一挙手一投足にまで注目して、WeWorkの動向を追い続けてきました。

以下で紹介するのは、上場のための情報公開に伴い、ここ数カ月間で明らかになってきたWeWorkの最新の動きと、ニューマンCEO個人に関する情報、さらにWeWorkが現在の姿に成長するまでのプロセスに関する記事(いずれも日本語要約を付しました)です。

近年、有象無象のベンチャー企業がメディアの見出しを飾ることが多くなりました。WeWorkもその1つです。ニューヨークから始まったその歴史をひも解くことで、その行く末がいくらかでも見えてくると思います。

WeWorkの成長プロセス

企業価値は約5兆円!WeWorkの親会社が IPOを申請、その歩みを振り返る

最大株主ソフトバンクとの関係

WeWorkのニューマンCEOが「フォースを持っている」と評した、ソフトバンク会長兼社長の孫正義氏。

REUTERS/Kim Kyung-Hoon

「彼はヨーダ、フォースを持っている」WeWorkのCEOが明かす、ソフトバンク孫正義社長との最高の関係

最近の動き

JPモルガンとUBSの資産管理部門トップが、シリコンバレーで未公開株式担保融資を増やす理由。両行ともWeWorkのCEOに貸していた

ジャンク債で投資家を集めるやり口はもう通用しない。「WeWorkの資金調達モデルには深刻な問題点がある」

2019年後半のオープンに向けて内装工事などが進むオフィス開発プロジェクト「Dock72」。

出典:Dock72 HPより編集部キャプチャ

WeWork、IPO計画は瓦解するも、ブルックリンの巨大オフィスは着々と進行中

WeWorkのIPO評価額引き下げでアダム・ニューマンCEOは数十億ドルを失う。しかし、彼はなおビリオネアのように振る舞うだろう

「フィディリティ・コントラファンド」などの巨大投資信託が、WeWorkの企業価値を不透明にしている

「WeWorkはシェアオフィス業界全体の価値を貶める」と競合コワーキングCEOが指摘

WeWorkは「市場規模は3兆ドル、うち契約獲得はまだ0.2%」と主張も、不動産の専門家が「WeWorkは頭打ち」と見るこれだけの理由

著名投資家サム・ゼルがWeWorkを批判。「サブリースに手を出す会社はことごとく失敗してきた」

CEOはいかなる人物か

WeWorkのニューマンCEOについては、一部取締役が退任要求を検討中との報道もある。

REUTERS/Eduardo Munoz

WeWork、アダム・ニューマンCEOの個人ローン、不動産投資、家族の経営への関与など実態を公表

シリコンバレーの起業家たちの多くは早期の株式公開や売却を目指す。そんななか、手元資金7億ドルの調達を急いだWeWorkのCEOはやっぱり普通じゃない

(翻訳・編集:川村力)

毎月オープンしてもほぼ満席。WeWorkはなぜ人を集めるのか

https://www.businessinsider.jp/post-178141


山本康正(やまもと・やすまさ): 東京大学で修士号取得後、ニューヨークの金融機関に就職。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。卒業後、グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)などで日本企業のデジタル活用を推進。現在は日米に拠点を置くベンチャーキャピタルのdnxベンチャーズでインダストリーパートナーや、ハーバード大学客員研究員を務める。

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