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連日50度超え! 地元住民に聞いた、"世界で最も暑い"デスバレーの暮らし

デスバレーで暮らす子どもたち。

Courtesy of Crystal Taylor

  • 8月の日中平均気温が49度近いアメリカ、カリフォルニア州のデスバレーは、世界で最も暑い地域の1つだ。
  • この地域には300人以上が暮らしている。その大半は、国立公園局の職員か地元ホテルの従業員だ。
  • Business Insiderはデスバレーの住民たちに、この極端な温度の中での暮らしがどんなものか、話を聞いた。

8月16日午後(現地時間)、デスバレーの気温は54.4度に達した —— 恐らく地球上で記録された史上最も高い気温だ

54度と言えば、焼き立てのステーキ肉の内部の温度並みだ。

だが、この記録的な気温が観測されたファーニス・クリークの近くで暮らすデスバレーの住民にとって、16日は"8月の暑い日"の1つでしかなかったようだ。デスバレー国立公園の広報官で、年間を通じてここで暮らしているブランディ・スチュワートさんによると、7月や8月は大抵、オーブンの中を歩いているような感じだという。

「本当に息が詰まります」とスチュワートさんは語った。

「外に出るとすぐに分かるんです。肌で感じます。乾いてるんです。すぐ蒸発するから、汗を感じることもありません」

年間を通じてデスバレーで暮らしている300~400人の住民は8月中ずっと、最高気温43~52度を経験している。夜は40度以下に下がるものの、住民たちは焼けるような暑さの中で仕事をし、人と交流し、屋外で運動をすることすらある。

地球上で最も暑い場所の1つでの暮らしはどんなものか、スチュワートさんとデスバレー国立公園の解説・教育担当の責任者パトリック・テイラーさんがBusiness Insiderに語ってくれた。

暑さに慣れるには時間がかかる

デスバレーで迎えた初めての夏は「ものすごくきつかった」とテイラーさんは振り返る。

厳しい暑さにからだが慣れていないと、すぐに大量の汗をかいたり、極度の疲労状態に陥り、最悪の場合、熱中症になりかねない。ただ、多くの人は数週間もすれば慣れるという。

デスバレーに住んで丸7年になるテイラーさんは、ファーニス・クリークの暑さに完全に慣れるまでに約1年かかったと話している。大半の人もそうだという。

「気温52度を楽しんでいる人がいるかどうかは分からないけれど、さほど脅威ではありません」とテイラーさんは話した。

加えて、デスバレーの暑さは乾いた暑さだとスチュワートさんは言う。つまり、汗がすぐ蒸発するので、からだがより効率的に冷やされるということだ。

ただ、気温が30度を下回ると厚着をし始める自分は、暑さに慣れてしまっているともスチュワートさんは語った。

「昨日、今日と電話で話した人たちは『外の気温が27度だから、Tシャツと短パンを着てる』と言っていましたが(その気温だったら)わたしは恐らく長袖のシャツとパンツを着るでしょう」

ベイクセールを開く子どもたち。

Courtesy of Crystal Taylor

デスバレーの冬の最高気温は20度以下で、夜は氷点下近くまで下がる。

デスバレーのコミュニティーは結束力が強い

年間を通じてデスバレーで暮らしている人々の3つの主なコミュニティー「カウ・クリーク」「ティンビシャ・ショショーニ」「ストーブパイプ・ウェルズ」はそれぞれ人里離れた場所にあり、一番近い町まで車で1時間はかかる。中には、1時間バスに乗って学校に通う子どももいるが、テイラーさんは妻とともに5人の娘たちを学校には通わせず、自宅で教育している。

カウ・クリークには約80軒の家があって、その大半はお互いに歩いて行ける距離にあると、テイラーさんは言う。共有のジム、子どもたちの遊び場、図書館もある。大抵の家には空調設備が付いているが、全く使わない人もいるという。

「一切、エアコンを使わない人もいます」とテイラーさんは語った。「室内が35度なら、35度なんです」

彼らが空調を使わないのは、主に光熱費を節約するためだという。

住民の親戚の大半は夏に遊びに来るのを嫌がるので、住民たちは多くの時間を一緒に過ごしていると、テイラーさんは付け加えた。

国立公園局の中でもここは「困難があっても一生懸命働きたいという、本当にモチベーションの高い職員を引き付ける傾向があるんです」とテイラーさんは言う。

この地域の国立公園局の職員約150人は、コミュニティー・グループも作っている。

「読書クラブ、工作クラブ、ランニングに出かけるのが好きな人たちのグループもあります」とテイラーさんは語った。

そう、デスバレーの住民は外に走りに出かけるのだ。それが7月でも。

「夏のデスバレーでランニングに出かけることをわたしたちは観光客には絶対に勧めません。でも、毎日走っていると、48度で走ることにからだが慣れて、49度でも大して変わらなくなるんです」とテイラーさんは話した。

外に出る時は要注意

スチュワートさんは、マイカーでクッキーを焼いたことも。

Brandi Stewart

夏のデスバレーの暑さは、シンプルな活動すら危険なものにする。

テイラーさんとその家族は、携帯電話の電波が受信できなくなった時のために、衛星電話を持たずに外出することはない。

スチュワートさんは、彼氏と水を入れた大きなボトル抜きに食料品を買いに車で出かけることはないし、定期的に車をチェックしている。誰もいない場所で車が故障して、立ち往生するのを避けるためだ。

「一番怖いのは、タイヤがパンクして、車が動かなくなることです」とスチュワートさんは言う。

テイラーさんもスチュワートさんも、国立公園を訪れる人には同様の警戒を呼びかけている。

「わたしたちが今、懸念しているのは、記録的な暑さが注目されることで、ここへ来る人が増えることです」とスチュワートさんは話している。

気候変動でますます厳しくなるデスバレーの暮らし

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は、デスバレーの住民が小さなグループでも集まることを難しくさせたが、他の人々同様、テクノロジーを介して連絡を取り合っている。

「わたしたちは皆、同じものを一緒に経験しているんです。高い気温も全員が経験しています。それがこの困難を全員で一緒に乗り切るんだというコミュニティーの感覚を育てています」とスチュワートさんは言う。

彼らはもう1つの大きな脅威にも直面している。気候変動だ。

デスバレーでは、史上最も暑い月トップ10のうち6回は過去20年以内に観測されている。2018年7月には月間平均気温42.3度と、前の年の41.9度を上回る世界記録を更新した。

テイラーさんは、気温の変化が他の住民とつながりを持つことを困難にしていると言う。

「ここ10年あまりの傾向を見てみると、(16日を除いて)日中最高気温は歴史的に見てそれほど大幅に上がっているようには見えません。大きく変わったのは、夜の最低気温です」とテイラーさんは指摘する。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、10年前のデスバレーの8月の平均最低気温は30.0度だった。2019年は32.2度だった。同じく、9月の平均最低気温も23.3度から26.7度に上がっている。

「以前は夜になると外に出かけて遊んでいました。でも今は、以前のように出かけたり、人と交流することができません」とテイラーさんは言う。

「以前ならわたしたちはバーベキューをしたかもしれません。でも今は、1年のうち1カ月でなく4カ月がそれをするには暑すぎるんです」

50年以内に10~30億人が"耐え難い暑さ"の中で生きることになるだろう —— 最新研究

https://www.businessinsider.jp/post-212464

在宅勤務で熱中症リスク増加も。コロナ禍の夏は、いつもより気を付けなければならない理由

https://www.businessinsider.jp/post-213812

[原文:More than 300 people live year-round in Death Valley, one of the hottest places on Earth. Here's what it's like.

(翻訳、編集:山口佳美)