共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏は、2016年3月9日、ノースカロライナ州フェイエットビルのキャンペーン集会で演説した。
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ドナルド・トランプ氏は1月20日に最高司令官になる準備を整えている。
ニューヨーク・タイムズは12月16日金曜日、トランプ政権下におけるアメリカの民主主義に関するコラムを公開した。
寄稿者のスティーブン・リーバイツキー(Steven Levitsky)氏とダニエル・ジブラット(Daniel Ziblatt)氏は、次期大統領の権威主義的な気質と政治的、社会的なモラルの欠如に対して非常に冷徹な考察を述べた。
「トランプ氏は権威主義的傾向を持った初のアメリカの政治家ではないが、近代においては初めてだ」
彼らはトランプ氏の台頭は、過去数十年にわたるアメリカ議員たちの礼節の崩壊に起因するとし、立法府である議会の弱体化と党派勢力の衰退の2つが、アメリカの民主主義的基盤を弱体化させたと述べた。
同紙は、トランプ氏をベルルスコーニ前イタリア大統領やチャベス元ベネズエラ大統領、トルコのエルドアン大統領など他の権威主義的な人物と比較しつつ、ジャーナリストや報道機関を避け続ける彼を「serial norm-breaker(連続的な規範破壊者)」と形容した。
ドナルド・トランプ氏
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トランプ氏は7月以降、正式な記者会見を開いていない。今週予定されていた記者会見(彼が大統領就任前に、ビジネス上の利害関係をどう整理するかを説明するための会見)も突然キャンセルされ、この問題を解決するめどは立っていない。
同紙は、トランプ氏が脅威と見なす者(自身を非難する著名な議員や、自分の意にそぐわない米機関など)を非合法視する態度を、厄介な傾向だと述べた。またトランプ氏は大統領選挙のプロセスそのものへの疑念を人々に植え付けながら、ライバルに対しては「腐敗した犯罪者」などと頻繁にレッテル貼りをしてきたとしている。
「このような過激な傾向は、かつて政治的には非主流派に過ぎなかったが、いまやメインストリーム化している」とリーバイツキー氏とジブラット氏は述べた。
彼らはコラムを慎重ながら前向きな論調で結んだ。
「アメリカの民主主義は、切迫した崩壊の危機には瀕していないが、油断してはならない。警告は本物だ」
(翻訳:近松 英心)