購読者600万人超! 女性向けメルマガサービスのオフィスは驚くほどカラフル

theSkimmのオフィス

theSkimmのオフィス。創業5周年を祝うデコレーションが施されている。

Sarah Jacobs

メールマガジンの配信サービス「theSkimm」のニューヨーク本社で、エレベーターのドアが開くのをわくわくしながら待っていると、すぐに胸が高鳴る音楽が出迎えてくれた。

かかっていたのは2012年のヒット曲。カーリー・ザーキン(Carly Zakin)氏とダニエル・ワイズバーグ(Danielle Weisberg)氏が初めてメールマガジンを配信した年のものだ。

日々のニュースを毎朝、メールマガジンとして配信するtheSkimmは、600万人を超える登録購読者数を誇る。同社はこれまでに21世紀フォックス、RRE Ventures、Greycroft Partners、ニューヨーク・タイムズなどから1500万ドル(約16億4000万円)以上を調達した。

ニューヨーク・シティのフラットアイアン地区にある現在のオフィスに引っ越したのは、2016年5月のことだ。デザイン事務所Business + Pleasureと提携し、50人の従業員が働くポップでフレキシブルな空間を作り上げた。壁は明るいミントグリーン。何百冊もの本が並び、ときにテーブルやスツールとして使われる。ミーティングスペースには、快適なソファが置かれ、シャンパンやおつまみも用意されている。

Business Insiderが訪れたときは、創業5周年を祝うデコレーションと音楽であふれていた。theSkimmのチームによると、普段はこれほどではないものの、オフィスは常に楽しいパーティー気分に包まれているという。

同社のポップなオフィスを紹介しよう:


ザーキン氏のお気に入りは、オフィスのレイアウト。「エレベーターから降りたとき、従業員の上下関係がひと目で分からないでしょう? 私たちは、全員の意見を尊重することを大事にしています」

theSkimmのオフィス内部。明るい青緑のカーリングリボンがシーリングランプを飾り、カラフルなバルーンがフロアに散らばっている

Sarah Jacobs


ワイズバーグ氏(左)とザーキン氏(右)。2人は、ニュースルームで他のメンバーと一緒に座っていた。

共同創業者のワイズバーグとザーキン

Sarah Jacobs


壁には「theSkimmガール」の切り絵が。2人の創業者いわく、これはメールマガジンの読者を具現化したものだ。同社は、このtheSkimmガールの好みをリスト化してきた。カクテル「スパイシーマルガリータ」を飲み、朝は運動で汗を流し(時々、寝坊してサボることも)、読み物が好きだと言う。

theSkimmのオフィス。壁際に、ハンドバッグを持ってスマホをのぞき込んでいる女性のシルエットが見える

Sarah Jacobs


同社が大切にしている「コア・バリュー」も掲げられている。

ドア一面に書かれた標語。「透明性を尊重する」「失敗を恐れない」「互いを信頼する」など

Sarah Jacobs


エレベーターのドアの間には「謙虚な自慢の壁」と呼ばれるスペースがある。theSkimmに寄せられた称賛の声が紹介されている。セレブのツイートや写真、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事などが貼られている。

会社に寄せられた称賛の声を飾っている「謙虚な自慢の壁」

Sarah Jacobs


オフィス全体を包むアットホームな雰囲気は、ザーキン氏とワイズバーグ氏が自身のアパートのソファからtheSkimmを配信していたことへのオマージュだ。会議室の名前は、刑事ドラマ『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』の登場人物にちなんでいる。こちらの会議室は、「オリビア・ベンソン」。ドラマでベンソン役を演じるマリシュカ・ハージティ(Mariska Hargitay)がtheSkimmの出資者になる前から、この名前がつけられていた。

theSkimm

Sarah Jacobs


theSkimmには、6つのチームがあり、それぞれに気の利いた名前が付けられている。編集チームは「Words with Friends(友だちとのやりとり)」、営業は「Wolf Pack(オオカミ軍団)」、ITは「Tech Cloud(テック・クラウド)」、制作は「Prod Squad(制作班)」、 総務は「Get Sh*t Done(すぐやる課)」。この写真は、さまざまなチームのメンバーが、会議室「エリオット・ステイブラー」でミーティングをしているところ。この会議室の名前も、『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』でクリストファー・メローニ(Christopher Meloni)が演じる役名から取られた。

会議室「エリオット・ステイブラー」でのミーティングの様子

Sarah Jacobs


オフィスに流れる音楽はたいてい、最初に出社した人が決めている。

オフィス内部の様子

Sarah Jacobs


キッチンには、その日を乗り切るために必要なおやつが揃っている。同社では新しく社員が入ると、好きなおやつを尋ねて、それを用意する。誕生日や入社記念日(「スキムバーサリー」)、会社が何らかの成功を納めた日のお祝いも欠かさない。対象となる従業員は、クッキーやアイスクリーム、ピクルス、ブリトーケーキなど好きな食べ物を選ぶことができる。

スナック

Sarah Jacobs

毎週の締めくくりに行われる「シップ・アンド・スキム」では、チーム全体でその週の良し悪しを振り返る。

「とても個人的な話し合いです。誰かとずっと一緒に働いているとき、同僚に何が起きていて、どんなモチベーションを抱いているのか知ることは大切なこと」とワイズバーグ氏は語る。

ミーティングではしばしば食事が振舞われる。ファラフェル(ヒヨコマメやソラマメから作ったコロッケのような中東の食べ物)、寿司、ピザといったテーマを決めると言う。

theSkimmの編集部には、何百冊もの本が送られてくる。金曜日のメールマガジンに掲載される今週の推薦書コーナー「SkimmReads」で取り上げてもらうためだ。 編集部では、本に合うドリンクを勧めることもある。

寄贈された本でいっぱいの棚

Sarah Jacobs

「自然に始まったんです。お互いに、メモリアルデー(アメリカの戦没者追悼記念日)の週末に何を読むつもりか尋ねあっていて、それを読者にそのまま伝えようということになって、紹介コーナーを始めたんです」とザーキン氏は話した。

theSkimmは、ビーチで読む本から、年間ベストブックまで、あらゆる機会に合わせた推薦書リストを作ってきた。同社によると、ニュースレターで取り上げた本は、直後にアマゾンの売れ筋ランキングで平均3000位ほど上昇してきたという。


この壁には、theSkimmがその大成功を祝ったときに開けたシャンパンボトルの一部が飾られている。小さなボトルのうちいくつかは、ザーキン氏とワイズバーグ氏が2人で開けたもの。創業5周年を迎え、今後ますますたくさんのボトルが並べられていくことだろう。

壁の棚にずらりと並ぶシャンパンボトル

Sarah Jacobs

同社がいつも心に留めている重要なマイルストーンがある。投票のために10万人超の有権者登録を促したことだ。

「読者に直接行動を働きかけたことは、私たちの意識を本当に変えました。行動は特権ではなく、責任だと私たちが言うようになったのは、それからだと思います」とザーキン氏は話した。


theSkimmの読者は、「スキム大使」登録を行った上で、友人にニュースレターを紹介すると謝礼が得られる。こちらは、スキム大使がオフィスを訪れたときに開かれるクローゼット。

theSkimmのロゴ入りTシャツやトートバッグが並ぶ棚

Sarah Jacobs


だが風船やパーティーだけが全てではない。創業者の2人は、theSkimmのスタートアップライフをありのままに発信しなければならないと感じていた。考えた末、InstagramのアカウントでtheSkimmの舞台裏を紹介することにした。「『スタートアップライフ』を美化したものがたくさんあるけれど、実際はそんなに簡単なものではありません。theSkimmの読者には、舞台裏の話が本当によく読まれている」とザーキン氏は語った。


失敗を認めて称えることも、theSkimmの前進にとって重要なことだ。

「皆で課題について話し合い、失敗した人には『大失敗』と書かれたヘルメットを贈るんです。完璧なんて存在しません。そんなものは求めず、自分たちが作り出せる最高のプロダクトになりそうなものから取り組んでいます」とワイズバーグ氏は語った。


「(Mediumの記事で書いたように)一般の人がtheSkimmについて抱くイメージは、『ああ、ソファに座るあの2人の女性ね。たくさんの人に選挙登録をさせた。オプラも味方に付けた。かわいらしい話ね』といったものでしょう。人々に誤解されていようと、過小評価されていようと、私たちは構わないわ」

theSkimmの創業者、ザーキンとワイズバーグ

Sarah Jacobs

では、theSkimmのこれからは?

「theSkimmは、自分自身の生き方をコントロールする、人生の大切な意思決定や選択のために最善の情報を求める女性のための企業、ブランド。それがtheSkimmです。5年後には、誰もそれを疑わなくなると思うわ」とワイズバーグ氏は話した。


[原文:Inside the colorful offices of a millennial media startup where employees survive long days with free snacks and Champagne

(翻訳:Conyac

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