ポスターはどれも完成度が高い。ISSのクルーたちは『スター・ウォーズ』などにインスパイアされたポスターで、長期滞在ミッションの広報を行っている。
National Aeronautics and Space Administration
宇宙飛行士には、真面目な人が多い。
職務上、厳しい自己管理が求められることを思えば、当然かもしれない。だが、宇宙飛行士だって、私たちと同じように、時には肩の力を抜きたい。そんな彼らの遊び心が見てとれるのが、国際宇宙ステーション(ISS)のポスターだ。
ISSはアメリカ、ロシア、ヨーロッパ、カナダ、日本が協力し、未来の宇宙探査に役立つ実験を行う有人施設だ。各国から集められたクルーは、4カ月から6カ月にわたり、ISSに滞在する。
ISS初の長期滞在が始まった2000年以来、NASAはクルーの集合写真でポスターを制作している。当初は広報部が担当していたが、その後、Space Flight Awarenessチームが作っている。2007年、ただの集合写真ではなく、もっと面白いものを作ろうと考えたNASAは以降、フォトショップを駆使し、一部のクルーが好きなポップカルチャーをモチーフとしたポスターを作ることを慣例としている。
過去10年で、映画『スター・ウォーズ』や『レザボア・ドッグス』、ビートルズなどがモチーフにされてきた。
NASAのSpace Flight Awarenessプログラムの責任者、アロッタ・テイラー博士(Dr. Alotta Taylor)は、ポスターは組織内外、両方に向けて作られたものだとBusiness Insiderに話した。ポスターは、長期滞在ミッションをより広く一般にPRするための広告としてだけでなく、NASAの各施設や他のアメリカの政府組織のオフィスにも張られる。そして何より、密閉空間での長い集団生活を前に、共に訓練を行うクルーたちにとって、ジョンソン宇宙センターでグラフィックデザイナーたちとふざけたポスターを楽しく制作することは、親交を深める良い機会でもある。
NASAのウェブサイトでは、歴代のポスターを全て見ることができる。ここでは、Business Insiderが選んだお気に入りのポスターをいくつか紹介する。
第16次長期滞在(2007年)のポスターは、映画『マトリックス』がモチーフ。ポップ・カルチャーをオマージュした記念すべき初めてのポスター。
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第45次(2015年)のポスターは、映画『スター・ウォーズ』にインスパイアされている。日本人宇宙飛行士の油井亀美也氏も、笑顔でライトセーバーを構えた。
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第26次(2010年)のクルーは、音楽から。元ネタはビートルズのアルバム『アビイ・ロード』のジャケット。
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もちろん、SF映画の金字塔『スター・トレック』をモチーフにしたポスターも。第21次(2009年)だ。
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第31次(2011年)のポスターは、映画『トランスフォーマー』。NASAが2011年に発表した人型ロボット「ロボナウト2(Robonaut 2)」が大きく写っている。
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第30次(2011年)のポスターは、何かがおかしい。もちろん、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』だ。
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第23次(2010年)のポスターは、荒っぽい犯罪ドラマを描いた映画『レザボア・ドッグス』からインスピレーションを得た。左から2人目は、日本人宇宙飛行士の野口聡一氏。
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第29次(2010年)のポスターは、映画『トロン』だ。左端は日本人宇宙飛行士の古川聡氏。
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第22次(2009年)は、アメリカを代表する歌手、フランク・シナトラが率いたグループ「ラット・パック」からインスピレーションを得ている。左から2人目は、野口聡一氏。
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第42次(2014年)は、往年のSFコメディー映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』へのオマージュ。
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第43次(2014年)は、サイレントSF映画の傑作『メトロポリス』。ISSをもじったダジャレだ!
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(翻訳:忍足 亜輝)