超強気なアメリカ株式市場の先行きは? —— 1993年以来の低水準となった「恐怖指数」の意味

株式市場がこれほど強気なのは、ビル・クリントン氏が大統領に就任したとき以来だ。

厳密に言えば、投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所の数値「VIX指標(別名、恐怖指数)」は、ここ24年間で最低の水準にある。

心配性の人はこれを否定的にとらえ、楽観的になりすぎたトレーダーたちが予期せぬショックに対して無防備になっているサインだと言うだろう。一方で、多くの投資家は、株価が上がり続けるための絶好の状況が産んだ副産物にすぎないと見ている。

「現時点では、低水準のVIXについて何も心配していない」とBusiness Insiderに語ったのは、ウィスコンシン州ミルウォーキーの資産管理会社ロバート・W・ベアード(Robert W. Baird)の機関投資家向けセールス・トレーダー兼マネージング・ディレクターのマイケル・アントネッリ(Michael Antonelli)氏。

「現在の強気相場の顕著な特徴の1つは、留まることなくじりじりと上昇を続ける相場だ。それがボラティリティ(変動率)を強く抑え込んでいる。強気になる理由が山ほどあり、非常に多くの業種やチャートが好調さを見せている」

VIX指標のグラフ

2017年7月14日のVIX(恐怖指数)は、1993年以来の低水準となった。

Business Insider / Andy Kiersz, data from Bloomberg

いわゆる「株式市場のメルトアップ」(株価が下落するような状況で、大幅に株価が上がる状況)を論理的に説明する際によく言われるのが、経済成長が続いているため米連邦準備理事会(FRB)による急激な金融引き締めが行われないということ。その結果、投資家は、株式市場から債権市場へと逃げ出していない。また株価は、調整局面が必要になるほどには過熱していない。

ブラックロックのチーフ株式ストラテジストで、5兆4000憶万ドルを運用するケイト・ムーア(Kate Moore)氏が先日、Business Insiderに語ったところによれば、今のアメリカの状況は「スイートスポット」に入っている。経済成長が十分なため、FRBは安心して緩やかな利上げとバランスシート縮小に向かおうとしているが、その進め方はさほど速くないと同氏は述べた。

加えて、アメリカ市場は企業利益の拡大期の真っただ中にある。ブルームバーグによると、株価上昇の最大の原動力である、S&P 500種企業の第2四半期の利益は前年同期比で7.3%増と見込まれており、4四半期連続の上昇となる。

S&P 500種が最高値で終えたその日に、VIXが24年ぶりの低水準に落ち込んだことは、さほど驚くべきことではない。この2つの指数は、だいたい80%の確率で反比例するからだ。興味深いのは、不安感が欠如していることだ。

フィラデルフィア・トラスト(Philadelphia Trust)のシニア投資ストラテジストで、17億ドルを運用するリチャード・シシェル(Richard Sichel)氏によると、こうした状況では、一部の人は弱気になるという。たとえ説得力のある理由がなくてもだ。

「相場が高いという理由だけで弱気になる人を大勢見てきた」と同氏。

「我々はそう考えていない。市場は好調を維持し、今後、企業活動の促進策があると大きな期待をしている」

[原文:The stock market hasn't been this confident in 24 years

(翻訳:遠藤康子/ガリレオ)

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