9月には1500台、12月には2万台を生産する予定だ。
Pascal Le Segretain/Getty Images
テスラの新型EV「モデル3」が、いよいよ今日、7月28日(現地時間)に発売される。
長らく待ち望まれたセダンタイプのモデル3は、今日行われる引き渡し式で、予約購入した最初の30人の手にわたる。
その後、同社はモデル3の生産を本格化し、9月には1500台、12月には2万台を生産する予定だ。
モデル3の発売開始を記念し、ここまでテスラのEVがどのように進化を遂げてきたのかを振り返ってみよう。昨年だけでも大きな変化があったことが分かる。
2008年、最初の電気自動車「テスラ・ロードスター」は、ワイルドなセクシーさで大きな注目を集めた。
Dennis Larson/Flickr
「ロードスター・スポーツ」は、航続距離245マイル(約394キロ)、0-60マイルわずか3.7秒。自動車専門誌「カー・アンド・ドライバー」によると2008年当時の価格は9万8000ドル(約1090万円)。
テスラのサイトによると、ロードスターは世界30カ国で2400台以上が販売された。
※0-60マイル:停止状態から時速60マイル(約97キロ)に達するタイム
2012年、EV市場初の高級セダン「モデルS」を発売。
Reuters/Noah Berger
航続距離265マイル(約426キロ)、0-60マイルは5秒。自動車専門誌「モータートレンド」の2013年カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
ただし、価格は10万6900ドル(約1200万円)と高価だった。
2014年末、「モデルS」に世界初のデュアルモーターによる全輪駆動(AWD)を採用。
Wikimedia/Martino Castelli
また全車に半自動運転機能「オートパイロット」を初めて標準装備。「60D」「85D」、最上位の「P85D」の3モデルがあった(写真はP85D)。
当時、同社はブロクで、 P85Dは最高速度155マイル(約250キロ)、0-60マイル3.2秒で、スーパーカー「マクラーレン F1」を上回るとした。
「カー・アンド・ドライバー」によると、P85Dの航続距離は285マイル(約459キロ)、価格は7万1200ドル(約790万円)。このモデルは2016年2月に生産が終了した。
2015年初頭、「モデルS」に3つの新バージョン「70D」「90D」「P90D」を投入。P90Dは発売当時、「Ludicrous Mode」という異次元の加速モードが注目された。
Tesla
P90Dの0-60マイルはLudicrous Modeで2.8秒。人々は熱狂した。航続距離は253マイル(約407キロ)、最高速度は155マイル(約250キロ)。
価格は約6万8000ドル(約760万円)から。
2015年9月、スタイリッシュなファルコンウィングドアを採用した「モデルX」投入。
Tesla Motors
モデルS同様、モデルXも3モデルで登場。価格は7万4000ドル(約820万円)から。
当時、モデルXの最上位モデルはP90D。航続距離250マイル、0-60マイルはLudicrous Modeで3.2秒、最高速度155マイル(約250キロ)。
モデルXは生産が遅れ、納車が2016年前半から後半にずれ込んだ。
2016年初頭、ソフトウエアを7.1にアップデート。モデルSとモデルXに新たな機能が加わった。
YouTube/Tesla
このソフトウエア・アップデートで、オートパイロットが改善され、自動並列駐車機能やリモートでの駐車機能「サモン」などが追加された。
中でも最もクールな機能は「サモン」だろう。スマートフォンを使って、指先だけで簡単に車の出し入れができる。まるでロボットのようだ。
オートパイロットはさらに8.0へアップグレード。2016年10月以降の車両には、オートパイロットをさらに進化させる新しいハードウェアが搭載されている。
Tesla
モデルS、モデルXの新車、モデル3は、テスラの第2世代オートパイロットに対応。
ソフトウエアはまだ完全には発表されていないが、最終的には交通状態に合わせたスピードコントロール、自動車線変更、高速道路の乗り降り、自動駐車などが可能になるだろう。
リモート駐車機能「サモン」も、より複雑な環境に対応できるようになるはずだ。
モデルSとモデルX、大容量バッテリーへのアップデート可能に。
Tesla
2016年8月、テスラCEOのイーロン・マスク氏は前年、Ludicrous modesが話題を呼んだモデルSとモデルX向けに、新たに100kWhの大容量バッテリーを発表。
新しい大容量バッテリーを搭載したモデルSの航続距離は315マイル(約506キロ)となり、EV車史上初めて航続距離が300マイル(約482キロ)を超えた。モデルXのLudicrous modesでも航続距離は289キロ(約465キロ)となった。
またバッテリーのアップグレードで、モデルS「P100D」のLudicrous modesの0-60マイルは、市販車では歴代3位となる2.5秒に。モデルXの0-60マイルは2.9秒で、世界最速のSUVとなった。
ただし、バッテリーのアップグレードは安くはない。すでに既存の車両の場合は2万ドル(約220万円)、新車購入の場合は追加で1万ドル(約110万円)必要だ。
ここまでの歴史は、今日発売の「モデル3」に結実している。2016年3月に発表されたモデル3はすでに32万5000台の予約を受けている。
YouTube/Motor Trend
モデル3の価格は、3万5000ドル(約390万円)から。EV市場で大きな競争力を獲得しようとしている。0-60マイルは6秒以下、航続距離は215マイル(約346キロ)以上。
テスラCEOイーロン・マスク氏は、このスペックをベースラインとして、さらに改良していきたいと述べている。
先週、我々はサンフランシスコのベイエリアを走る州間高速道路680号線でモデル3の本生産前モデルを目撃した。
Troy Wolverton
モデル3は、非常に滑らかで落ち着きのあるデザイン。テスラのチーフデザイナー、フランツ・フォン・ホルツハウゼン(Franz von Holzhausen)氏が手がけた。リア部分はモデルSよりも繊細で、ガラスルーフがフロントウィンドウからリアスポイラーまでを流れるようにボディを覆っている。
間もなく、その全容を目の当たりにできる!
テスラはさらに多くのモデルを開発中。EVトラックや新たなSUV「モデルY」などが控えている。
Pascal Le Segretain/Getty
マスク氏は自身の「マスタープラン・パート2(Master Plan Part Deux)」の中で、EVセミトラック(セミトレーラー)とピックアップを開発していることを明かした。セミトラックは、9月に公開される予定だ。
また、小型SUVの「モデルY」も2020年にリリース予定、さらに新しいロードスターも開発中だ。
[原文:The Model 3 arrives Friday — here's a look at how Tesla's cars have evolved over the years]
(翻訳:Tomoko.A)