空母「ジェラルド・R・フォード」就役、40年ぶりの最新鋭空母の実力は?

船員

ノーフォーク海軍基地での就役式で最新鋭空母「ジェラルド・R・フォード」の甲板に立つ海兵たち。同艦は、フォード級空母の1番艦となる。

US Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Julio Martinez Martinez

トランプ大統領は7月22日(現地時間)、空母「ジェラルド・R・フォード」の就役式に出席し、約40年ぶりの就役となる最新鋭空母について、「世界に向けた10万トン級のメッセージだ」と述べた

ジェラルド・R・フォード(以下フォード)は、世界が羨望するアメリカ海軍のニミッツ級空母10隻に加わる。しかし、フォードはニミッツ級空母によく似ているが、アメリカ海軍が海での戦闘の未来像について、どう考えているかを示す重要な技術的進歩を遂げている。

ジェラルド・フォード大統領にちなんで命名された総工費129億ドル(約1兆4400億円)の巨艦は、建造予定の同級空母4隻のうちの、1番艦。アメリカが世界に誇る空母艦隊をフォードがどれほど進化させたのか見てみよう。

新型原子炉が生み出す巨大な電力

ジェラルド・R・フォード

バージニア州ノーフォーク海軍基地で行われた就役式。

US Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Julio Martinez Martinez

新しいフォード級空母は、ニミッツ級空母の3倍の電力を発生する最新の原子炉を搭載。この巨大な発電能力により、フォード級は、就役中に登場するであろう新たなテクノロジーを搭載可能だ。

つまり将来、フォード級は海軍が開発中のレールガンのようなエネルギー兵器を搭載できる。

電磁式カタパルト(EMALS)によるF-35の驚くほどスムーズな離陸

ニミッツ級空母は、FA-18や他の艦載機を射出するために精巧な蒸気カタパルトを搭載しているが、フォード級は巨大な発電能力を活用した電磁式カタパルト(EMALS)を搭載している。

EMALSはより重い艦載機を射出できるのみならず、負荷も小さく、機体の摩耗や劣化を抑えることができる。さらに、カタパルトの能力アップは、将来、新しい発想での機体設計を可能にするだろう。

蒸気カタパルトによる射出



新しい艦橋

フォード級空母とニミッツ級空母

フォード級空母(上)とニミッツ級空母(下)

Business Insider

新たなテクノロジーを採用することで、艦橋をより小さくし、さらに艦尾側に移動させることができた。

これにより、従来よりもスペース効率と艦載機へのアクセシビリティが向上し、メンテナンス時間や補給作業の改善が図れるようになる。

海軍は、これにより艦載機の稼働効率が33%向上すると見ている。

「艦載機が着陸すると、レースカーがピットに入るように戻ってきて、燃料補給、再装填ができる。実際にNASCARを参考にした」とジェラルド・R・フォードのジョン・F・マイヤー(John F. Meier)艦長は新設計について述べた

デュアルバンドレーダー

デュアルバンドレーダー

就役式でジェラルド・R・フォードの上を儀礼飛行する航空機。

US Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Andrew J. Sneeringer

デュアルバンドレーダー(DBR)は、2つの周波数帯を同時に使い、低高度の航空機とミサイルを効率的に識別する。

フォード級の1番艦、ジェラルド・R・フォードだけがDBRを搭載する予定。海軍は現在、エンタープライズ対空捜索レーダー(EASR:Enterprise Air Surveillance Radar)の採用を検討している。このレーダーは、1億2000万ドルのコストを削減できると見られている。

先進型着艦拘束装置(Advanced arresting gear:AAG)

先進型着艦制動装置

空母に組み込まれた先進型着艦制動装置(AAG)のコンセプト図。

General Atomics Image

ニミッツ級と比較して、もう1つの改良点が、先進型着艦拘束装置(Advanced Arresting Gear:AAG)。現行のMk-7 Mod 3やMk-7 Mod 4に比べ、より幅広い艦載機に対応し、着艦時の衝撃も少ない。

しかし、他のシステムと同様、AAGも課題に直面している。アメリカ海軍は先日、今後就役する空母には別のシステムを検討していると述べた。ジェラルド・R・フォードは同装置を搭載する。

先進型兵器エレベーター

兵器エレベーター

空母「ロナルド・レーガン」のエレベーター。

US Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Joseph M. Buliavac

先進型兵器エレベーター(Advanced Weapons Elevators:AWE)は、大きな変化には思えないかもしれない。しかし、このエレベーターはケーブルではなく、電磁力で上下する。そのため、よりシンプルな設計で艦をコンポーネント化でき、メンテナンスおよび人件費の削減を可能にする

結論

ジェラルド・R・フォード

就役式で甲板に立つ海兵たち。

US Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Julio Martinez Martinez

個別にみると、フォード級に施された改良は、さほど重要でないように思える。だが、それらが統合された時、フォード級空母はアメリカ海軍が描いている今後の方向性を示す。

フォード級空母の開発は、予算超過とスケジュールの遅延に悩まされてきた。しかし、最高の空母になると期待されている。

だがフォード級の成功は、技術革新だけでもたらされるものではない。重要なことは、まだ設計も製造もされていない艦載機や兵器を将来、搭載しようという大胆な意図、そして今後、数十年にわたってアメリカのシーパワーを確固たるものにしようという決意だ。

[原文: How the US's futuristic new aircraft carrier will change naval warfare forever

(翻訳:本田直子)

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