思い出を青い輝きに、愛する人の遺灰をダイヤモンドに変える

メモリアル・ダイヤモンド

人の遺灰から作られた、メモリアル・ダイヤモンド原石。

Algordanza

誰かが亡くなると、日本では火葬することがほとんどだ。

火葬は近年アメリカでも増えていて、北米火葬協会(Cremation Association of North America)によると、2015年には土葬の件数を上回った。2020年までに全葬送件数の過半数を占めると見られている。

しかし、火葬したり、散骨するのではなく、ダイヤモンドに変える人も増えている。

人体に2番目に多く含まれる元素は炭素で、ダイヤモンドは結晶化した炭素だから。またダイヤモンドの合成方法も、近年、改良されてきた。

この「メモリアル・ダイヤモンド」を作るサービスを提供している企業は少なくとも5社あるが、スイスのアルゴダンザ(Algordanza)は業界のリーダー的存在。33カ国でサービスを展開、同社は2016年、1000点近くのメモリアル・ダイヤモンドを提供したと語った。アルゴダンザはまた、メモリアル・ダイヤモンドを自社で合成できる企業は、世界に同社とロシアにあるもう1社だけと述べた。

「最愛の人と、ずっと一緒にいられる」とアルゴダンザUSの広報担当者クリスティーナ・マートイア(Christina Martoia)氏。

「当社は、大きな痛みの中から、喜びを作り出している」

極めて高い温度と圧力により、亡くなった人の遺灰をさまざまなサイズやカット、色のダイヤモンドに変える。時にはペットの遺灰をダイヤモンドに変えることもある。その方法を紹介しよう。


マートイア氏は、メモリアル・ダイヤモンドの合成には最低1ポンド(約0.4キロ)の遺灰が必要と述べた。「それだけあれば、メモリアル・ダイヤモンドの合成に必要な炭素が十分含まれている」

骨つぼ

Algordanza


遺灰を受け取ると、同社の技術者がサンプルを特殊な炉に入れ、炭素が十分に含まれているかどうかを確認する。足りない場合は、遺髪で補うことができる。


次に炭素を抽出し、塩化物などを取り除く。「除去には酸を使用する」とマートイア氏。



この処理を行うと、炭素の純度は約99%以上になる。


残りの1%は、ホウ素など。ホウ素は、骨の成長、傷の治癒、免疫システムの調整に欠かせない微量元素。

出典: Integrative Medicine: A Clinician's Journal

ホウ素は、希少な天然ブルーダイヤモンドの発色成分。多くの「メモリアル・ダイヤモンド」が青く輝くのも、ホウ素が含まれているから。

アルゴダンザ製ダイヤモンド

ペットの遺灰から作られたメモリアル・ダイヤモンド。

Algordanza

出典:Gemological Institute of America

「透明からとても深いブルーまでさまざま」とマートイア氏は語った。「ホウ素が多く含まれていると、青みが深まる」

色が異なる3つのダイヤモンドを無色透明、ややブルー、ディープブルーの順に並べた様子

Algordanza

マートイア氏は、メモリアル・ダイヤモンドの色を前もって正確に予測することはできないと付け加えた。

「ただし興味深いことに、当社の技術者は、化学療法を受けたか否かと関係するのではないかと考えている。化学療法を受けた方のメモリアル・ダイアモンドは、より明るくなる傾向がある」とマートイア氏。化学療法によって、体内のホウ素や他の微量元素が取り除かれたのかもしれない。

マートイア氏によると「炭素からホウ素を分離することはほぼ不可能」。2つの元素の質量や性質が似ているから。

ホウ素と炭素は元素周期表で隣り合っている

ホウ素(B)と炭素(C)は、質量や性質が似ている。

Sandbh/Wikipedia (CC BY-SA 4.0)

炭素純度を99.9%以上にするために、鉄とコバルトを含む小さな容器に詰める。鉄とコバルトが不純物の除去に役立つ。


容器にはダイヤモンドの微粒子も一緒に詰める。炭素は、ダイヤモンドに接触すると、最も良く結晶化するためだ。

結晶化に使用する容器

Algordanza

ダイヤモンドの微粒子は、炭素の結晶化の「下絵」となり、形状をある程度調整できる。つまり、カットや研磨の工程が多少減らせる。

精製の最終段階で、炭素をグラファイトに変える。グラファイトの炭素原子は、極めて薄いシート状に並んでおり、ダイヤモンドの合成には理想的。

グラファイト形成中

Algordanza


ダイヤモンドは地球内部の高温高圧な環境で作られる。その環境を再現するために、グラファイトを入れた容器を、高圧高温を作り出す装置に入れる。

容器をセットしている様子

Algordanza


装置は、容器を約1370度まで加熱し、1平方インチ(約6.5平方cm)あたり87万ポンド(約40万kg)の圧力をかける。

高温高圧の結晶成長装置

Algordanza

出典:Algordanza

ISS(国際宇宙ステーション)全体が、腕時計の文字盤に乗っているくらいの圧力。温度は、溶岩を上回る。

国際宇宙ステーション

国際宇宙ステーション。

NASA


サイズによって異なるが、装置の中でグラファイトがダイヤモンドに変わるまでに6~8週間かかる。「大きなダイヤモンドほど、時間がかかる」とマートイア氏は述べた。

ペットの遺灰から作られた、アルゴダンザのメモリアル・ダイヤモンド(ラウンド・ブリリアントカット)

Algordanza


十分に時間が経った後で、グラファイトを砕いて取り除く。

提供:Science Channel

中には、カットや研磨を施す前のダイヤモンドが。

カット・研磨前の人工ダイヤモンド

Algordanza


そのまま受け取る人もいるが、多くの人はスイスの宝石職人によるカットと加工を選ぶ。

ダイヤモンドを硬い研磨盤で磨く。

ダイヤモンドを硬い研磨盤で磨く。

wideweb/Shutterstock


価格は、0.3カラットのダイヤモンドで3000ドルから。マートイア氏によると、全社での平均的な注文サイズは0.4~0.5カラットだが、アメリカでの平均は0.8カラット。

メモリアル・ダイヤモンド

Algordanza

アルゴダンザは、もっと大きなダイヤモンドを作ることもできる。同社は最近、2カラット、4万8000ドルのダイヤモンドを受注した。10カ月かけて、結晶は1.76カラットに成長した。同社はまだ、その大きさを超えるダイヤモンドを作っていない。

ペットの遺灰からもダイヤモンドは作れる。「最初の事例は、ジャーマン・シェパードの遺灰。今は、猫の遺灰での依頼を受けている」とマートイア氏は語った。

ペットの遺灰から作られた、アルゴダンザのメモリアル・ダイヤモンド(エメラルドカット)

Algordanza


sources:AlgordanzaSandbh/Wikipedia (CC BY-SA 4.0)、NASA

[原文:Dead people and pets are being forged into sparkling blue diamonds — here's how

(翻訳:原口 昇平)

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