米国版メルカリはなぜヒットしたか? ニューヨーク在住者が語る「現地の使い方」

アメリカ版メルカリのプロフィール

筆者のプロフィールページ。日本人であること、日本の商品を販売していることをアピールしている。

2016年3月にアメリカ版のメルカリを使い始めてから、1年4カ月が経った。使い始めたきっかけは、引っ越し前にモノを減らしたかったこともあるが、なにより日本での盛り上がりに触発された。Facebookを開けば、IT関係者の知人から主婦の友人まで多くの人が「メルカリ」について話をしていた。日本でとんでもないスピードで成長している。それは、現在住んでいるニューヨークにいても十分感じられた。なかでも頻繁に「最近はメルカリで何が売れた」「どんな顧客対応をした」と投稿している友人を、私はいつも興味深く眺めていた。

ある時彼女が、「これから配送する荷物のなかに入れます」と10枚ほどのお礼カードを撮影してアップしていた。それを見て、こんなに売れるものなのか……。途端に自分も使ってみたいという欲求に駆られ、大急ぎでアプリをダウンロードした。

実はフリマアプリを使ってみようと思ったのは、その時が初めてではない。子どもが生まれ自宅に荷物が増えていくなかで、不要品を売れないかといろいろなアプリを見ていたが、アメリカのApp Storeに並ぶフリマアプリは、「近所で欲しい人を探し、会って直接渡す」タイプのものが多く、興味が持てなかった。もう少し手軽にオンライン上のやり取りだけでで完結できないだろうか。メルカリはピッタリだった。

出品から2日で売れたミラーレス一眼

最初に出品したのは、PENTAXのミラーレス一眼「Q10」と、スニーカー、ヘアドライヤーだ。日本にいたときに3万円程で手に入れたカメラを50ドルで出すと、わずか2日で売れた。スニーカーとドライヤーは、PENTAXの翌日、翌々日にそれぞれ買い手がついた。

アメリカのバイヤーからの評価

購入後にバイヤーから送られてくる評価やコメント。

こんなに動きが早いものなのか、と心底驚いた。正直言うと、日本発のアプリにそこまで米国ユーザーがついているとは思っていなかったからだ。しかし私の予想に反して、商品はあっという間に売れてしまった。メルカリはじわじわとアメリカでユーザー数を拡大していたようだ。

私がメルカリを使い始めてから3カ月後の2016年6月には、US版のアプリが1000万ダウンロードを突破したことが発表された

メルカリは2014年9月に米国版サービスを開始したので、1000万ダウンロード達成までには1年9カ月を要したことになる。しかし、2000万ダウンロード突破を発表したのは、それからわずか3カ月後の、2016年9月のことだ。

その2カ月前、2016年7月の時点で、「メルカリのアプリが米国のiOS App Storeでのショッピングカテゴリで1位を獲得。全体でもFacebookメッセンジャー、Snapchat、Instagramを抑えて3位にランクイン」とSNSで大きな話題になっていた。ちなみにこのときの2位は、Pokemon Goだ。

アメリカ版売り方のコツ:ガジェットは少し安く、コスメ類はまとめる

メルカリは売れる —— 。いちユーザーとしてもそう実感し始めた私は、家にある不用品を探し出しては、片っ端から出品していった。服、調理器具、CD、ウェディングドレス用のパニエ、財布、ダンベル、人形、化粧品、育児グッズ、子ども服。すぐに売れるモノもあれば、ある程度時間が経った頃に売れるモノもあった。次第に毎晩寝る前にメルカリのアプリを開き、この価格は適正だろうかと見直したり、商品の説明を編集したりすることが日課になった。

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これまでに販売してきた商品の一例。スキンオイルからスタバのトラベルマグ、初代のChromecastまでメルカリで譲った。

そのうちだんだんと売れやすいモノ、売れるまで時間がかかるモノの違いが分かるようになった。すぐに売れるのは、ガジェットやコスメ類だ。ガジェットは商品名で検索し、他の人が出している価格よりも同じ程度か少し抑えれば確実に売れる。コスメ類は、「bundle」といい、複数品をまとめ売りするとこちらも比較的早く売れる。

私は以前、アメリカで人気のコスメサンプルの定期購入サービス「Birchbox」を愛用していたが、なかには使わないコスメもあった。そうしたモノをbundleして売ると、たいてい1日後には売れた。なかには1時間かからず売れたモノもあった。

母乳を保管しておくミルクバッグも人気商品だ。私の娘は体重570gで生まれた超低出生体重児(未熟児)で、NICU(新生児特定集中治療)に半年間入院していた。あまりに小さく生まれたために長い間母乳や粉ミルクを飲むことができず、その間に搾乳した母乳はすべて冷凍保存するよう求められた。時間が経ち、私の母乳が出なくなると大量に購入し保管していたミルクバッグは不要となった。少しでも困っているお母さんの助けになればと、正規の半額以下で売っていたからかもしれないが、出したそばから売れていった。

低出生体重児用の服もよく売れた。なかなか手に入らない上に、すぐに着られなくなってしまうので、なるべく安く抑えたい。低出生体重児用に限らず子ども服全体で共通していることだとは思うが、そういう親心がメルカリの利用を後押ししているのだろう。

成約に時間がかかるのは、趣味性の強いモノ

逆に売れるまでに時間がかかるのは、人形やCD、日本のアニメのBlu-rayなど趣味性の強いモノだ。こうした商品はとにかく交渉や質問の回数が多い。人形であれば「汚れ度合いは。匂いはついていないか」、CDは「傷はついていないか」。アニメのBlu-rayであれば「他の作品もまとめたら(bundle)、いくらになるか」。やはり日本のアニメ人気は高く、英語の字幕や音声が付かなくてもしっかり買い手はつく。アイコンをアニメのキャラクターらしきものにしている人から交渉されることが多い。彼らは熱心なファンなので、「この先別の作品も出すことがあれば、また連絡してほしい」と購入後に連絡が入ることもある。アニメに限らず、From Japanの商品はどれもよく売れる。私はプロフィールでも自分が日本人であること、日本から持ってきたモノも売っていることをアピールしている。

メルカリのメッセージ画面

バイヤーから届いたメッセージ一例。熱心な日本アニメファンも多い。

ユーザー数の増加を実感するのは、以前に比べ出品から売れるまでの時間が格段に短くなってきたから。出したそばから売れるモノもある。以前は、何度かコメントをやり取りし、詳細の確認や値引き交渉などをした後に購入する人が多かったが、最近では、やり取りなしでいきなり購入する人も増えてきた。また「孫のために」と声をかけてくれる人も出てきたので、シニア世代へも広がり始めているようだ。

これまでに87取引を終えたが、実はまだ買い手になったことがない。買う側の体験もしてみることでより良い売り手になれるだろうと信じ、近いうちにメルカリで買い物してみたいと思う。


公文紫都(くもん・しづ):フリーライター。青山学院大学文学部卒業後、IT関連企業、新聞社勤務を経て、2012年6月に独立。以来、国内外の IT、EC業界を中心に、取材・執筆を行う。2014年5月から夫の海外転勤に伴い、ニューヨークへ。体重570gで誕生した超低出生体重児の女の子の母。個人のブログ「Purple and the City」で育児記録を綴っている。 著書に『20代からの独立論(前編)』『20代からの独立論(後編)』。

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