シェアハウスのスタートアップ企業Commonは、不動産ポートフォリオの拡大に伴い、シカゴとオークランドに物件を追加。
Melia Robinson/Business Insider
アメリカで今、急拡大中の市場がある。
"co-living(コリビング)" —— すなわち、共同生活マーケットだ。
生活費の高い都市部にミレニアル世代の流入が増えるにつれ、コワーキングスペースのレンタル大手WeWorkの子会社であるWeLiveやOpen Door、HubHausといった企業がその市場を取り込もうと、競争を繰り広げている。
こうした中、2015年に設立、シェアハウス事業を手がけるスタートアップ企業Commonが注目を集めている。
ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、ワシントンDCで家具付きのアパートを提供するCommonを使えば、物件探しはもちろん、大家との交渉事に煩わされることもない。
居住者である「会員」は、コミュニティーに参加すればすぐに無料のインターネットやメイドサービスの利用、手軽な友達づくりができる。しかし、その利便性は安くはない。立地や部屋の種類により異なるが、月額賃料は1325ドル~2600ドル(約15万円~29万円)だ。
今も不動産ポートフォリオを拡大し続けるCommon。2つの新たなシェアハウスから、ミレニアル世代向けの「コリビング」がどのようなもか、覗いてみよう。
Commonは都市移住者にとって、素晴らしい選択肢だ —— 経済的に可能であれば。
Common
同社の最新物件は、12のユニットからなるシェアハウスだ。カリフォルニア州オークランド西部のフーバー・フォスター地区にある。賃料は1425ドル(約16万円)から。
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7月26日に発表されたこの新たなシェアハウスは、8月にオープン予定。
大学の寮のようなレイアウトで、家具付きの寝室が45室、共有スペースが12室ある。自由に使えるオープンコンセプトのリビングとキッチンを3~4人でシェアする。
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賃貸契約は通常の1年契約のほか、より融通の効く半年契約も選べる。
「社会人向けのシェアハウス」を作るのは簡単だが、寝室に足を踏み入れた途端、その違いがわかる。Commonの提供する部屋は、まるで雑誌のページをそのまま切り抜いたかのようだ。
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BearやCasperといった抜群の寝心地で知られる寝具メーカーのマットレス、ParachuteやSnoweといった洗練されたデザインで知られるリネン、ドレッサー、ベッドサイドテーブルを備えた寝室は、すべて1人用。
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週に一度、清掃スタッフが共有スペースを徹底的に掃除してくれる。各個室のトイレや浴室、寝室は、それぞれの会員に任される。
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オークランドの新しい物件をより魅力的にしているのが、賃貸物件の設備としては珍しい屋外スペースだ。中庭に直接通じる部屋もあり、会員たちはより楽しい時間を共に過ごせると言う。
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Commonの創業者兼CEOであるブラッド・ハーグリーブス(Brad Hargreaves)氏は、会員同士の自発的なつながりを促す「住まい」のデザインを目指している。
複数の起業経験を持つハーグリーブス氏はCommon設立の際、サンフランシスコ・ベイエリアのハッカーハウス(起業家やエンジニア向けのシェアハウス)から、アリゾナの砂漠にあるコミューンに至るまで、様々な住まいをいくつも訪ねた。それらの悪い点と良い点を整理し、Commonのレイアウトを研究した。
同氏は「我々がやろうとしていることの多くは、他人と暮らす恩恵を維持し、建物全体としてコミュニティーに適応できるレイアウトを再考することだ」とBusiness Insiderに語った。
シカゴのウクレイニアン・ヴィレッジ近くに新しくオープンしたCommonのシェアハウスは、巧みなデザインが特徴だ。魅力的な街の景観が、入居者をこのコミュニティーに引き込んでいる。
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このシェアハウスは、共有スペース3室、家具付きの寝室12室を完備。会員が開くイベントのためのスペース、屋上デッキのほか、建物の前後にはテラスもある。
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この新たなシェアハウスは今年7月、最初の入居者を迎えた。賃料は月額1325ドル(約15万円)から。
こんなに良いシャワーがついた「寮」には住んだことがない!
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コートやジャケットを脱ぐ玄関先のスペースも上品。
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批評家たちは、コリビングを非主流のトレンドとして早々に見限っている。しかしCommonは、コリビングを不動産市場の主要カテゴリーに押し上げようとしている。
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2015年10月の創業以来、Commonは市場の需要に追いつけていない。
現在、アメリカの主要4都市で10軒以上のシェアハウスを運営している同社は、部屋数を2017年末までに650室、2018年に1500室まで拡大したい考えだ。熱心な借り手から、毎週500~700件の応募があるという。
(翻訳:本田直子)