Hubble Heritag
サリナ・ヨーン(Salina Yoon)の絵本『Space Walk』は、娘のお気に入りの1つだ。仕掛けをめくり、言葉遊びをしながら、それぞれの惑星について楽しく学べる。
多い日は1日に3回以上、娘に読み聞かせている絵本だが、いつも眉をひそめてしまうのが、この一文だ。
「太陽の周りを回るすべての惑星のうち、1番大きいのが木星です」
ガスを主成分とする巨大な木星は、事実、太陽系最大の惑星だ。その質量は、太陽系の他のすべての惑星、月、小惑星、彗星などを合計した重さの2倍以上ある。
しかし、厳密に言えば、木星は太陽の周りを回っていない —— なぜなら、圧倒的に大き過ぎるからだ。
宇宙空間では、小さな物体と大きな物体があったとき、小さな物体が大きな物体の周りを周回するのではなく、両方の物体がその共通重心を回る。
質量が太陽の33万分の1しかない地球のような脆弱で小さな惑星の場合、その共通重心は太陽の中心にとても近いため、それがわずかにずれていることに我々は気付かない。まるで、地球が円を描いて太陽の周りを回っているかのように見える。
同じことが、太陽系の大半の物体に当てはまるのだ。
ところが、木星は非常に大きいため、その共通重心は1.07太陽半径、つまり太陽の表面から約3万マイル(約4万8000キロメートル)離れたポイントにある。
太陽と木星の共通重心は、太陽の表面から約3万マイル離れたところにある。
NASA/SDO; Business Insider
木星の重量は太陽の約1000分の1だが、太陽と木星がそれぞれ共通重心を回るほどには十分重い。
2つの軌道を表したNASAのGIF画像がこちら(実際の縮尺とは異なる):
その距離とサイズははるかに異なるものの、こうして木星と太陽は共に宇宙空間を動いている。
今度子どもに読み聞かせる本に、木星が太陽の周りを回っていると書いてあったら、そのページは無視してしまおう。
[原文: Jupiter is so big it does not actually orbit the sun]
(翻訳:本田直子)