アマゾンAWSの「AI」サービスは日本で着々とビジネス化事例をためている

AWS AIの取り組み

アマゾンウェブサービスジャパン(AWS)は7月31日、国内におけるクラウドサービスAmazon AWSのAI技術の取り組みに関する記者説明会を開催。AWSで提供される機械学習サービスの概要と、ビジネスで利用され始めた実際の事例を紹介した。

AWSが用意するAIサービスは3つあり、音声読み上げサービス「Amazon Polly」、画像解析サービス「Amazon Rekognition」、声やテキストの文字認識を使ってチャットボットなどの作成に使える「Lex」の3つだ。このうち、日本語対応済みあるいは日本向けのサービス開発に応用できるのは、音声読み上げのPollyと画像解析サービスのRekognitionの2つだ。

Amazon Polly

Amazon Pollyの概要。

Amazon Rekognition

Amazon Rekognitionの概要。さまざまな機能がある。

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AWSの技術本部長の岡嵜禎氏。

これらのサービスに共通しているのは、すでにAmazonがそれなりの手間と時間とコストをかけて作り上げた「学習済みモデル(学習済みAI)」を使うことで、自分のアイデアを使って"今すぐに"サービス開発ができること。専門的になるが、AIの機能の「学習」ではなく「推論」を使うサービスとしてつくられている(「学習」と「推論」の違いについては下記イラストを参照)。

企業や個人が、学習の正解を教える「教師データ」や学習用の「データセット」を作る必要がないのが特徴だ(逆に言えば、開発者自身が自分で学習データを作ってAIを賢くすることはできない。数週間ごとのAWS側のアップデートでAIは賢くなるのみだ)

Rekognitionの有名人顔認識の例

Rekognitionのセレブの顔データベースを使った例。写真の人物がアマゾンCEOジェフ・ベゾス氏であると認識。

スライドを使って解説をしたAWSの技術本部長の岡嵜禎氏は、「Recognition」で想定されるユースケースとして"画像を使った不動産物件サイトの画像仕分け(ラベリング)"システムや、顔の表情分析機能を使った"店舗内陳列などのユーザー評価”といった用途に応用できるのではないか、と説明。また、Recognitionは画像認識や分析に広く使えるので、ある顔画像と同じ顔の画像を判別したり、有名人に関してはその被写体が誰なのかを判別できることもアピールした。有名人の顔判別については、アメリカのIMDBのデータベースを使っている。

記者発表の中で紹介された事例は、RekognitionとPollyの2つを使った国内サービスだ。すでにどちらも稼働を開始している。

学習と推論

AIにおける「学習」と「推論」の違い。

制作:Business Insider Japan

写真販売サービスにAI画像分析「Rekognition」を活用した例

はいチーズ!の解説

保育園など向けのイベント写真販売サービス「はいチーズ!」の解説。

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千株式会社のものづくり部マネージャーの熊谷大地氏。「はいチーズ!」の開発を担当。

千株式会社の写真販売サービス「はいチーズ」では、幼稚園や保育園でのイベントの写真販売の際に、スマホから「自分の子どもが映った写真」だけを選んで抽出できるサービスを提供。これはAWSの深層学習ベースの画像認識サービス「Amazon Rekognition」を使って実現している。

千株式会社によると、幼稚園などの運動会写真は多いときで1イベントで1万枚程度になることもあるという。Rekognitionの料金体系は1カ月あたりの画像処理枚数が「〜100万枚」から「〜1億枚超」までで4段階に変化する。サービスにRekognitionの利用コストが載ってくる形ではあるが、同システムを導入することで、写真が従来よりたくさん売れるようになるため、サービスとしては「顔認識利用による手数料」は発生させずに済む見込みだという。

幼稚園や小学校に掲出される写真リストの中から選び出す面倒な作業をなくすという意味で需要があるし、また千社によると、カメラマン側にとっても、(カメラマン側の実入りから手数料が引かれるものの)幼稚園などの「取引先」に写真リストを納品したり、代金を徴収するなどの手間が一切なくなるという意味で、評判は良いという。

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Rekognitionの料金体系

Rekognitionの料金体系。

コミュニティFMが合成音声に? コンピューターによる音声読み上げが稼働開始

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Pollyの料金体系

Amazon Pollyの料金体系。

もう1つの例が、「Amazon Polly(アマゾンポリー)」を使ったエフエム和歌山の事例。ここでは、実際のラジオ放送のニュースや天気予報にAmazon Pollyの音声読み上げが使われている。

エフエム和歌山としては、これまで放送できなかった時間帯にニュースや天気予報を放送したり、大規模災害時にアナウンサーを確保することなく災害放送が実施できるという点でメリットがあったようだ。

こちらも7月からすでに稼働をはじめている。

Pollyは、エフエム和歌山のラジオ上では「ナナコ」と名乗っていて、ニュースと天気予報はそれぞれ、1日5〜6回程度(曜日によって変わる)のレギュラー放送枠をもっている。

デモを聞く限りはいわゆる合成音声そのもので違和感はあるものの、公共電波を使ったラジオ放送で既にこうした試みが始まっていることには、衝撃を受ける人は多いのではないだろうか。

(撮影:伊藤有)

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