「モデル3」の衝突安全テスト
Tesla/YouTube
テスラのCEOイーロン・マスク氏は、新型EV「モデル3」の安全性能をボルボと比較してアピールした。
7月28日、テスラのフリーモント工場で、モデル3を予約購入した最初の30人に対する引き渡し式が行われた。
ここでマスク氏は、同じ衝突安全テストを行ったモデル3とボルボS60のビデオを比較した。テストは時速20マイル(約30キロ)でポールに側面衝突した場合を想定したもので、通常、ドアとルーフの一部が大きく破損する。
ビデオではアメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)の衝突安全テストにおいて全評価項目で最高評価の5つ星を獲得したボルボS60の方が、モデル3よりも大きなダメージを受ける様子が映し出された。
「5つ星を獲得したとアピールしている車はたくさんある。そう、5つ星だ。だが、まったく科学的な尺度ではない」とマスク氏は述べた。
「ボルボのような車でさえ...、いや、ボルボは素晴らしい車だ。普通の基準ならとても安全だ。ボルボは間違いなく、世界で2番目に安全な車だ」と同氏が語ると、出席者から笑いと拍手が起きた。
「事故が起きたとき、どちらの車に乗っていたいかは明白だろう」
マスク氏の上記のコメントは動画の4分14秒から。
マスク氏は過去にも同様の比較を行い、テスラの衝突安全性能は世界最高だと述べている。同氏の発言は一部の業界関係者から注目を集めている。ボルボは長年にわたって安全性について高い評判を獲得しているからだ。ボルボは2020年までに衝突事故死をゼロにする目標を掲げている。
ボルボXC90の衝突安全テスト
Volvo Car Group
3点式シートベルトに始まるボルボの安全対策
創業90年になるボルボは1959年に世界初の3点式シートベルトを導入し、何十年にもわたって衝突安全テストで最高評価を獲得してきた。Business Insiderは昨年、ボルボから安全性能の王座を奪おうとしているマスク氏の野望について、ボルボカーズUSAのCEOレックス・カースメーカーズ(Lex Kerssemakers)氏に聞いた。
「いずれにせよ、年間3万3000人が自動車事故で亡くなることのない社会を我々は作らなければならない。だから、マスク氏に対しては安全な車づくりを勧めるだけだ。もちろん、我々も追求し続ける」と同氏は述べた。
さらにカースメーカーズ氏は、究極的には安全性能評価についてトップに立つことに関心はないと述べ、安全性の追求は時間のかかる取り組みだと語った。
「『今年は誰が勝った、来年は誰が勝つか』といった類の話ではない。我々は実際の事故からデータを収集し、様々な事故において車がどうなるかについて、極めて重要な知見を得ている」
[原文:Elon Musk took a jab at Volvo while talking about the Tesla Model 3's crash test]
(翻訳:Tomoko.A)