衛星写真で見る、南極で分離した巨大氷山のその後

拡大画像

南極大陸の棚氷ラーセンCと氷山A68(2017年7月28日撮影)。

Deimos Imaging, an UrtheCast Company

7月中旬、南極大陸の棚氷「ラーセンC(Larsen C)」が割れ、計測史上3番目に大きな氷山が分離した

「A68」と名付けられたこの巨大な氷の塊は、大海原を今後、何年も漂流するだろう。だが、そのスケールは桁違いだ。重さ1兆トン、面積は5800平方キロメートルと、三重県やインドネシアのバリ島ほどの大きさだ。

現在、真冬を迎えている南極大陸で、科学者らは氷山の正確な画像を得るのに苦心している。彼らはこれまで、「センチネル 1」といった地球観測衛星に依存してきた。この観測衛星は、レーダーを使って厚い雲を透過することができる。

しかし7月下旬、数日続いた快晴のうちに、人工衛星「デイモス 1」と「デイモス 2」のペアが、南極半島東部の鮮明な可視光画像を撮影した。

イギリス・スウォンジー大学の氷河学者で、南極研究プログラム「プロジェクト・マイダス(Project Midas)」のメンバーでもあるエイドリアン・ラックマン(Adrian Luckman)氏は、「これらの画像は衝撃的だ。分離後に見た中で、最高のものだ」と、Business Insiderにメールで述べた。

Deimos ImagingとUrthecastが8月3日付けのブログ投稿で公開した、新たな画像とその内容を紹介しよう。



デイモス 1とデイモス 2は類似した軌道を通り、協力して同じ地点の中解像度画像と超高解像度画像を撮影する。

人工衛星

2機の人工衛星のイメージ画。

Deimos Imaging; Airbus; Business Insider

デイモス 1(左)は中解像度の広角画像を撮影し、デイモス 2(右)は超高解像度の拡大画像を撮影する。

7月下旬、人工衛星が南極半島にある棚氷ラーセンCの東端、2週間前に氷山A68が分離した場所の上空を通過した。

ラーセンCの位置を示した地図

南極大陸の棚氷を示した地図。ラーセンCは、2017年7月10日から7月12日にかけてA68が分離するまで、4番目に大きな棚氷だった。分離後、5番目になった。

Diti Torterat/Wikipedia (CC BY 2.0)


デイモス 1が撮影した氷山A68の広角画像。「A68を捉えた、初めての可視光画像だ。ウェッデル海でよく発生する海氷が、A68を取り囲む様子がよくわかる。おそらく、この状態で長く留まるだろう」とラックマン氏は話した。

ラーセンCとA68

ラーセンCとA68(2017年7月31日撮影)。

Deimos Imaging, an UrtheCast Company

数日後、デイモス 2はスイングバイし、氷山とその割れ目を捉えた2つの超高解像度の拡大画像を撮影した。この写真は、割れ目の中央部分だ。

割れ目

ラーセンCとA68(2017年7月28日撮影)。

Deimos Imaging, an UrtheCast Company


A68の北側一帯とラーセンC。

A68の北側とラーセンC

ラーセンCとA68(2017年7月28日撮影)。

Deimos Imaging, an UrtheCast Company


棚氷の全体像と、それぞれの拡大写真の位置がこちら。

氷棚

Deimos Imaging, an UrtheCast Company


デイモス 2が撮影した詳細画像の一部を拡大すると、A68とラーセンCの間に小さな氷塊が無数にあることがわかる。

氷塊

Deimos Imaging, an UrtheCast Company


南極の冬、地平線上に浮かぶ太陽がつくった長い影から、崖のような亀裂の端と氷塊の形がはっきりとわかる。

太陽の影

Deimos Imaging, an UrtheCast Company; Business Insider


氷山の最も北の側面も似たような状態だ。右上には、ラーセンCの新たな亀裂が見える。

氷山

Deimos Imaging, an UrtheCast Company


ラーセンCとA68との接合部分。新たに分離した氷塊が見える。

接合部分

Deimos Imaging, an UrtheCast Company; Business Insider


氷河学者らは、氷山A68が北東へ漂流するにつれ、小さな塊へと分離し、南極海の外へ押し出されると話す。

漂流

NASA Scatterometer Climate Record Pathfinder; Dave Mosher/Business Insider

この画像は、1999年6月から2016年4月にかけて、別の氷山が南極から分離後に辿ったルートを示したものだ。

出典:Business Insider


おそらく、A68はフォークランド諸島の暖流に向かって押し流されるだろう。ただし、大きな氷塊の多くは、そのさらに東にあるサウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島まで流れ着くと見られる。

ペンギン

サウスジョージア島のセントアンドリュース湾。

Shutterstock


この新しい氷山A68は、2~3年以内に完全に溶けるか、無数の海氷に変わるだろう。

海氷

Associated Press

[原文:Incredible new satellite photos reveal Antarctica's huge iceberg in stunning detail

(翻訳:本田直子)

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