【独占取材】WeWork日本法人社長 ——あの大企業もすでに会員に。「日本は『変化』を求めている」

ニューヨーク発のコワーキングスペース「WeWork」が、いよいよ日本に上陸する。Business Insider Japanはこの度、日本法人CEOのクリス・ヒル(Chris Hill)氏に、独占インタビューした。

WeWorkのNYオフィス

ニューヨーク・マンハッタンのベンチャー企業が集まる地区にある本社。

WeWorkは2010年に創業し、世界15カ国で展開。現在の延べ会員数は約17万9000人となる。米メディアによると、現在評価額は200億ドル(約2兆2000億円)、ユニコーン企業の1つだ。日本は16カ国目の進出となる。

ビジネスモデルはコワーキングのオフィススペースを賃貸し、「メンバー」がいつでも使えるようにデスクや会議室、キッチンなどを提供する。メンバーは月額220〜400ドルの会費を支払い、好きな場所で24時間仕事場にアクセスでき、ネットワークを広げることができる。

ヒル氏にインタビューした場所はマンハッタンにあるニューヨーク本社と同じビルにあるWeWorkのコワーキングスペース。普段企業のCEOを取材する応接間や会議室ではない。インタビューするソファからわずか数十センチの別のソファには寝そべってミーティングをする長身の若いメンバーがいた。

まさに、企業文化がオープンそのもので、「シェアリング・カルチャー」を痛感するインタビューだった。

——9月1日に東京に赴任しますね。その後のプランは。

ヒル氏:アメリカから5人のスタッフを連れて行き、すぐにローカルチーム、つまり、日本人の観点からビジネスを組み立てられる12〜24人のチームを東京で結成します

東京のWeWorkのコミュニティーメンバーは簡単に、500人〜1000人になるでしょう。早い時期にです。

WeWorkの日本法人社長

毎日このTシャツとジーンズで出社するという日本法人CEOのヒル氏。

——日本でどのぐらいのコワーキングスペースを作る予定ですか?

ヒル氏:答えはどのくらい需要があるかです。

WeWorkは、他の企業ができない最も素早い最もイノベーティブな仕事ができる空間を提供できる唯一の企業です。でも、東京の需要に追いつけるほど、WeWorkが素早く対応できるかどうかはわかりません。1カ所オープンするのに、それなりの時間が必要だからです。しかしながら、これまですでに、WeWorkに関心を示す何万件もの問い合わせがありました。プラットフォームについて理解したいというものから、協力したいというものまでさまざまです。

おそらく最初のオフィスのオープンは2018年初め、それから1カ月以内に2カ所目をオープン、そしてできるだけ早く5カ所追加し、そこから後の計画を練ることになるでしょう。

日本人はWeWorkにとてもとても興奮している

—— 日本で受け入れられると思いますか?

ヒル氏:(先日準備のために)日本に滞在したときには、政府、東京都庁関係者から大企業の人までとてもよくしてもらいました。ローンチパーティーをしたら、約3000人の参加登録があり、私はスーツケースがいっぱいになるほど名刺交換をしました。日本人は、WeWorkにとてもとても興奮しています。

WeWorkのNYオフィス

本社にあった卓球台。オフィススペースの家具は、決まった業者から厳選して選ぶ。

私は赴任後しばらく六本木ヒルズを自宅にします。ソフトバンクからの社員を受け入れるかと聞かれれば、おいおいということになるでしょう。私は六本木ヒルズ、ソフトバンク、そして新しいオフィスの3カ所で仕事をすることになるでしょう。

——日本の企業文化は保守的だと言われ、アメリカに比べると、起業やクリエイティビティに対する理解が、大幅に遅れています。

ヒル氏:日本は保守的だから(WeWorkはうまくいかないのではないか)とよく言われますが、私の経験からは、人間はどこの国に行っても変わりません。起業家や企業人、クリエーティブなアーティストは常に協力して、一つのカルチャー、結果を得たいのです。

イノベーションは日本の若い世代にとって重要

ヒル氏:日本は戦後常に、世界にとっての「イノベーター」でした。そのイノベーションは、どこから来たのでしょうか。一朝一夕にできたものではなく、日本の中にすでに存在していたものだと思うのです。東京で、レストランやショッピングモールに行った際、そこここに、イノベーションを生む文化が存在していると痛感しました。

イノベーションを引き起こす、起業する、協業するということを東京で実現するのは、日本の若い世代や近未来を考えた際、大きな需要があると思います。

WeWorkのNYオフィス

WeWorkのニューヨーク本社は2フロアに約500人の社員が働く。もとは、繊維工場 だったビルだ。

—— なぜそう思うのですか?

ヒル氏:私の「勘」と「観察」からです。私は人を雇用するとき、初対面で10秒以内に、その人物の中にある、私が「いいな」と思うアイデンティティを見分けることができます。その人物が、何に適しているのか、何を達成しようとしているのか、瞬時に分かるのです。私は目的がはっきりしている、しかも才能がある人材を集めることができます。

そうして培った「勘」から、日本人はWeWorkのプラットフォームを希求していると思います。そして私たちは、それに応えるプラットフォームでありたいのです。

日本のグローバル企業は「変化」の一部になりたがっている

—— 日本のどんな人たちが注目していると思いますか。

ヒル氏:グローバル企業です。彼らは「変化」の一部になりたいと思っています。若い、新しい世代に出会うためにも、彼らはWeWorkに協力したいし、しなければならないという立場です。

日本の名のある大企業でも、非常に伝統的なビジネスをしていて、新しい才能を得ることもできないというところはあるのです。企業文化が伝統的すぎて、いい印象がないからです。そうした企業は、若い世代の人材獲得にとても苦労しているし、若い世代がどういう環境で働きたいのか、分かっていないのです。

WeWorkのNYオフィス

社員がインスパイアされた言葉や写真を貼ってシェアする廊下。

私たちのプラットフォームは、そうした企業に門戸を開き、将来性のある、才能ある人材に出会う機会を提供できるのです。

日本は「スロー・ダイアル」(変化が起きるのが遅い)かもしれないけれども、WeWorkのプラットフォームを世界のどこよりも欲しているマーケットなのです。

—— 日本の伝統的な企業や団体がWeWorkを利用して、若い「才能」の発掘をできると?

ヒル氏:その通りです。私たちのプラットフォーム、つまり「オープン・イノベーション」に企業は参加したいのです。プラットフォームをツールとして利用することで、新たなイノベーションが生まれるのです。

例えば、海外企業が日本のマーケットで製品やサービスを売るために、WeWorkを利用するという例もあるでしょう。

新しい「才能」と「刺激」に出会える場所

—— 日本でのWeWorkは、起業家やアーティストだけでなく、伝統的な大企業、海外の企業などさまざまなグループが利用できるということですか。

ヒル氏:そうです。すでにKDDI、みずほ証券、そして日経新聞が「メンバー」になっています。彼らはWeWorkにデスクスペースを持つことになります。世界的にはマイクロソフト、ゼネラル・エレクトリック(GE)、HSBCなどもメンバーです。

シェアリング・エコノミーというのは一つの世界的なカルチャーで、そこに到達するための大きなシフトが起きています。人々はもう車なんか買いません。バックパック一つで空港に降りて、シェアリング・カーサービスで目的地に行き、コワーキングスペースで新しい「才能」と「刺激」に出会います。

私はこの仕事場文化へのシフトを強く信じています。そして、その変化を日本で起こしたいのです。

—— シェアリング・エコノミーというのは、ミレニアル世代(1980年代〜2000年に生まれた世代)のものだと思いますか? シェアリング・カルチャーといってもいいかもしれません。

WeWorkオフィス

同僚と集中して話ができるように作られた本社のブースワークスペース。

ヒル氏:もちろんミレニアルは、マーケットのパイの中で大きな部分を占めています。でも今私は53歳で、WeWorkで働き始めてから6年半、ずっと最高齢の社員ですが、毎日ここでの仕事がエキサイティングでたまりません。私の年齢でも、「何か違うことをやってみたい」と思っている人にたくさん出会います。仕事に来て、人生の「啓蒙」を受けたいのです。妻は、「一体どうしちゃったの?」と言うのですが、「君のことは愛しているよ、でも仕事が楽しくてたまらないんだ」と答えています。

あなたが言うシェアリング・カルチャーは、イノベーター、起業家、クリエーター、ビジネスパーソンに対し、ある環境を与えることで、よりよい何かが生まれるという世界的なトレンドになっています。

——あなたのオフィスに「Do What You Love(すごく好きなことをやろう)」という標語がありました。日本でも同じアジェンダを掲げますか。

ヒル氏:もちろんです。「Do What You Love」は世界中で受け入れられていますし、きっと日本のマーケットにも必ずフィットすると思います。

(撮影:Koki Sato)

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