関係者によると、2016年3月、SnapのIPO直前に両社は買収の可能性について議論したという。
Reuters
2016年の初めにグーグルが300億ドル(約3兆3000億円)でSnapを買収しようとしたというのはよく聞く噂だ。
Snap内部の人物や事情に詳しい人物、計3人に聞いたところ、それぞれその噂を聞いたことがあると認めた。うち1人は、Snapの上層部や業界の一部の人にとって、「これは公然の秘密だ」と語った。
我々が初めてその噂を聞いたのは、昨年のこと。さらにここ数日、その続きをより内部の人物から聞いた。
この話が、どの程度信頼できるものなのかは分からない。しかし、Snapとグーグルは近しい関係を保ってきた。テック業界では企業間の非公式な会合は頻繁に行われている。IPOや資金調達などで、顔を合わせる機会が多いからだ。
グーグルによる買収について、初めて話し合いが持たれたのは、SnapがシリーズFラウンドの資金調達を行う直前の2016年5月のようだ。この時、Snapの評価額は200億ドルとされた。キャピタルG(グーグルの親会社アルファベットが運営するファンド)も出資している。
関係者によると、2016年3月、SnapのIPO直前に両社は買収の可能性について議論したという。提示された買収額はおよそ300億ドルとされる。
グーグルへの売却をSnapは少なくとも2回断ったと噂されるが、下がり続ける株価と格闘している投資家や従業員にとって、現在の同社の評価額は厳しいものだろう。Snapの株価はおよそ12.50ドル、時価総額はおよそ140億ドルで、IPOの時の評価額240億ドルと比べるとかなり下がっている。
我々は両社にコメントを求めた。Snapは公式な議論に関する「噂は間違っている」とした。グーグルはコメントを拒否した。
この噂の出どころは、「Snapは買収された方が良い」という関係者の願望かもしれない。しかし噂は何カ月も前からささやかれ続けていて、Snapの内外を問わず、多くの関係者がこれを噂ではなく事実として話している。
グーグルがSnapを買収する理由
エリック・シュミット氏は、エヴァン・シュピーゲル氏に早い段階からアドバイスしている。
REUTERS/Rebecca Naden
関係者によると、両社のリーダーはお互いに尊敬の念を抱いている。また、アルファベットの会長エリック・シュミット氏は、SnapのCEOエヴァン・シュピーゲル氏に早い段階からアドバイスしている。Snapはグーグルクラウドの大口の顧客であり、社内で各種のGoogleアプリを使用している。
グーグルは、人気の高いSNSを保有したいと願い続けてきた。同社は、Google+やGoogle バズといったサービスでSNSへの進出を何度か試みている。2013年、グーグルは40億ドルでSnapchatを買収しようとしたと言われている。シュピーゲル氏がフェイスブックからの買収提案を断った頃のことだ。
グーグルの傘下に入れば、Snapのマネタイズはより簡単に進むだろう。グーグルは、デジタル広告費のほとんどを抑えている。またグーグルと組むことで、シュピーゲル氏はあまり良い関係とは言えないザッカーバーグ氏をけん制できるかもしれない。
しかし、やはりうまくいかないだろう
シュピーゲル氏は、最終的にはSnapを売却するかどうか決断しなくてはならないだろう。しかし、同氏は非常に独立心が強い人物として知られ、関係者によると売却に興味を示していない。シュピーゲル氏は、確固としたビジョンを持ち、人とは逆の行動を取るCEOとして知られており、アルファベットの本拠地があるシリコンバレーから距離を置いた南カリフォルニアで会社を経営することにこだわっている。
シュピーゲル氏とおよそ2500人の従業員が、グーグルあるいはアルファベットと一緒になるのかどうかは分からない。だがシュピーゲル氏は、上司に報告するような重役ではなさそうだ。
[原文:Insiders say Google was interested in buying Snap for at least $30 billion last year]
(翻訳:仲田文子)