ニューヨークの人気インテリアショップは最近、「F*ck Amazon」と書かれたポスターを店先に貼り出している。
Sarah Jacobs/Business Insider
小売業界の欠点を象徴する存在と言えば、かつてはウォルマートの一択だった。
だが近年、アマゾンがその座を奪おうとしている。
ニューヨークの人気インテリアショップ「Fish's Eddy」は最近になって、「F*ck Amazon: Fish's Eddy is prime! (アマゾンがどうした。Fish's Eddyはプライムだ! )」というポスターを店先に貼り出した。同ショップの創業者は、これは小規模ビジネスが置かれている厳しい状況をネタにしたジョークだと話している。
しかし、多くのアメリカ人の「反アマゾン」は強まるばかりだ。
今年7月、ビルケンシュトックのCEOデイビッド・カーハン(David Kahan)氏は、アマゾンがいかにして「良識を破壊しているか」を書き綴った、5ページに及ぶ荒々しいメールをビルケンシュトック製品の販売業者に送った。同社の偽物を販売し続けるアマゾンに対し、ビルケンシュトックは腹を据え兼ねているとワシントン・ポストは報じている。
「これは、ビルケンシュトックだけでなく、全てのブランドに対する冒とくだ」とカーハン氏はワシントン・ポストのインタビューで語った。
アマゾンの就職説明会に並ぶ人々。
Sarah Jacobs
アマゾンはこれまで、その進歩的なビジネスで高い評価を欲しいままにしてきた。最も尊敬できるブランドとして、長年にわたり、Fortuneのリスト上位に名を連ねてきた。
だが、少なくとも一部のグループにおいて、風向きは変わりつつある。
オンライン上で広がる反トランプ運動の一環として、アマゾンのボイコットを奨励する動きもある。これは、アマゾンがトランプ大統領に関連する商品を販売していることや、極右系ウェブサイト「ブライトバード・ニュース(Breibart News)」の広告を掲載していることに抗議するものだ。
その一方で、トランプ政権の支持者たちも、イスラム圏7カ国からの入国禁止を定めた大統領令をめぐり、ワシントン州がその効力停止を求める訴訟を起こした際、アマゾンが州政府側を支持するとの報道が出ると、同社のボイコットを呼びかけた。6月には、トランプ大統領が「アマゾン・ワシントン・ポストはフェイクニュース」だと、ツイートしている。
アマゾンの従業員の扱いに関する問題も浮上している。
Sarah Jacobs
アマゾンの充実した福利厚生は高評価を得ているが、一方で、倉庫内の長時間労働および過酷な労働環境に関する報道が相次ぎ、同社は批判にさらされている。複数の従業員の話によると、職場環境は過酷そのものであり、限界を越えた人がデスクで泣き崩れることも珍しくないという。
2014年にアメリカのニュースメディア「Salon」は、「ウォルマートよりもひどい:アマゾンの病的なまでの残忍さと従業員を追いつめてきた非情さの隠された歴史」というタイトルの記事を発表した。この記事は、アマゾンが抱える問題と、問題を抱える大企業の代名詞となったウォルマートの問題点の両方に焦点を当てたものだ。
つまり、アマゾンの評判は全方位からの攻撃にさらされている。
小規模ビジネスだけでなく、小売業界の大手も、アマゾンの存在に危機感を募らせている。進歩的な活動家は、ヘイトスピーチを支援していると言い、保守派は大統領を攻撃していると言う。労働者の権利を守る活動家は、従業員よりも利益を優先させていると非難する。
多くの企業は、アマゾンと同様の問題を抱えている。アマゾンが批判されている以上に、劣悪な環境で働く人も存在する。だが、アマゾンはその大きさ故に、批判の的になっている。ウォルマートと同じだ。GeekWireによると、現在アマゾンは34万1000人を雇用している。そのアマゾンが道を誤れば、そのインパクトは大きい。
成長すればするほど、アマゾンに対する批判も増える。同社の時価総額は、直近で4821億9000万ドル(約53兆4000億円)だ。
(翻訳:まいるす・ゑびす)