都民ファと日本ファは一緒に活動しないの? 都民ファ・増子幹事長を直撃

7月2日に実施された都議会議員の選挙で小池百合子都知事率いる都民ファーストの会が大勝し、国政の世界では8月7日に日本ファーストの会の設立が発表された。都民ファーストの会は地域政党で、日本ファーストの会はまだ政党ではないが国政政党を目指すという。

いまのところ日本ファーストの会側は「(小池都知事が立ち上げた)新党ではない」と一線を引いているが、都民ファーストの会の増子博樹幹事長(57)はBusiness Insider Japanの取材に、「衆院選に向けてさまざまな動きが出てくる。きちんと見極めて、都民ファーストとしてどうするかを決めることになる」と述べた。

都民ファーストの会の増子博樹幹事長。

都民ファーストの会の増子博樹幹事長。北海道小樽市生まれ。

撮影:小島寛明

「(小池都知事が立ち上げた)新党ではない」

小池都知事(右)と若狭勝衆院議員(中央)。

都議選の応援に駆けつけた小池都知事(右)と若狭勝衆院議員(中央)。

撮影:今村拓馬

小池都知事に近いとされる若狭勝衆院議員が8月7日、政治団体「日本ファーストの会」の設立を発表した。日本ファーストの会が開く政治塾「輝照塾(きしょうじゅく)」では、小池都知事も講師を務める。すでに輝照塾のウェブサイトでは塾生の募集が始まっている。

その翌日、若狭氏はTwitterで、「新党は将来設立されるもの」で、日本ファーストの会は「あくまで『輝照塾』という政治塾を運営する政治団体の名称」だとした。

都民ファーストの会の増子幹事長は「今の段階では都民ファーストは基本都政に専念して、ということだ」と話す。

永田町の住人以外には、この理屈はなかなか理解できない。そもそもなぜ、いくつも団体を立ち上げたり、「政治塾のための政治団体」を立ち上げたりしなければならないのだろうか。

交付金の受け皿という政党の役割

都民ファーストの会は、7月の都議会議員選挙で、定数127に対して55人(うち女性18人)が当選し、都議会の最大会派になった。現在は、知事特別秘書の野田数(のだ・かずさ)氏が代表を務め、小池都知事は特別顧問になっている。

都民ファーストの会と日本ファーストの会の関係イメージ図

都民ファーストの会と日本ファーストの会の関係イメージ図。

制作:小島寛明

都民ファーストの会など地域政党は、法的には政党ではない。政治団体が政党と認められるには、主に以下の2つの要件を満たすことが必要になる。

  1. 国会議員5人以上が所属する政治団体
  2. 国会議員が1人以上所属し、前回の衆院選・参院選、前々回の参院選で2%以上の得票をした政治団体

この要件は、政治家にとっては死活問題だ。政党には国から「政党交付金」が出るからだ。総務省によると、主要政党には今年、以下の金額が交付される。共産党は党の方針で交付金を受けていない。

  • 自民党:約176億2000万円
  • 民進党:約87億2000万円
  • 公明党:約31億4000万円
  • 日本維新の会:約10億1000万円
  • 自由党:約4億円
  • 社会民主党:約4億円
  • 日本のこころ:約4億9000万円

(総務省「平成29年分政党交付金の交付決定」より。100万の位で四捨五入した。)

都民ファーストの会には、若狭氏のような小池都知事と関係の近い国会議員はいるものの、所属する国会議員はいない。このため、法的には「その他の政治団体」という位置づけになる。政治資金規制法に詳しい日本大学の岩井奉信教授(現代日本政治)は「地域政党の多くは、個人献金や『政治塾』の受講料で運営している」と説明する(地方政党への企業献金は政治資金規制法で禁止されている)。

小池都知事らが立ち上げた都民ファーストの会も、昨年10月から今年3月まで「希望の塾」を開き、都議選の候補者選定を兼ねた。費用は6回の講義で男性5万円、女性4万円、25歳以下の学生3万円。小池都知事は2902人が入塾したことをTwitterで明らかにしており、少なく見積もっても1億円を超える資金が集まったと考えられる。

若狭氏の輝照塾も、次期衆院選に備えた候補者の確保を目的としているが、岩井教授は「資金調達の意味合いも強いだろう」とみる。

資金繰りが厳しい地域政党

実際、地域政党の運営はなかなか大変そうだ。鈴木宗男元衆院議員は、2005年に北海道を拠点とする新党大地を立ち上げた。主な収入源は個人からの献金と、パーティーの収入だけだという。「1人でやっていくのは大変なことで、資金はいつも苦しい。新党は次々にできるが、3年続いた党はどれだけあるのか。よくぞ12年続けてきたなという思いはある」と話す。

鈴木宗男

北海道を拠点に新党大地を運営する鈴木宗男元衆院議員。

撮影:小島寛明

都民ファーストの会の増子幹事長は「地域政党は企業献金を受けられないので、個人献金をしていただける方がいればご協力いただく。党として運営資金をどうするかは今後の課題だ」と説明する。

地域政党は、国政政党と比べて資金面では明らかに苦しい。

ではなぜ、小池都知事は地域政党を立ち上げたのだろうか。

地方自治体の首長選では、無所属の候補者が国政政党の支援を受ける事が多い。地方政治では市町村長や知事と、議会の議員は別々に選ばれる「二元代表制」になっている。特定の政党の色があまり前に出ない方が、地元の有権者の支持を得やすく、議会との関係も構築しやすい。

一方で、小池都知事のような高い知名度を誇る首長がいれば、国政政党から支援を受けるよりも自分たちで党を立ち上げた方が政策を実現しやすい。ビジネスに例えるなら、親会社の傘下にいれば経営は安定するが、経営方針についてあれこれ注文もつく。それなら、地域で独立したほうが自分たちがやりたい仕事ができる、ということになるだろう。

都民ファ議員は国政選挙で誰を支援するのか

都議会

都民ファーストはまず子どもたちの受動喫煙の防止を促す条例案を提案するという。

撮影:西山里緒

「古い都議会を新しく」と唱えた都民ファーストの会は都議選で大勝し、都議会最大会派になった。強力な知事と数の力を背に、どんな仕事をするのだろうか。

都民ファーストの会は現在、家庭内で子どもたちの受動喫煙の防止を促す条例案の提案を準備している。都議会では過去25年、議員提案の条例が1本しかないという。日本の首都の議会としては極めてお寒い状況だ。「古い都議会を新しく」の一環として、議員提案の条例案の成立に力を入れていく考えだ。増子幹事長は「都民ファーストには多彩な人材がいる。多彩な人材を活用して政策提言に結びつけていくのが我々がやるべきことではないか」と言う。

衆議院の解散総選挙が近いと言われる。都議にとっては、一人ひとりが地元の選挙区で、どの政党の候補者を支援するのか問われることになる。

増子幹事長は「衆院選に向けてさまざまな動きが出てくるので、きちんと見極めて、都民ファーストとしてどうするかを決めることになる」。決めるのは誰かとの質問には、「野田代表を中心に役員で話し合う」と答えた。

北海道で地域政党を運営してきた鈴木氏には、都民ファーストの会や日本ファーストの会が具体的には何をするのかまだ見えないと映る。「トランプ大統領が『アメリカファースト』と言った流れで、ファーストという言葉が日本でも受けているのでは。国政レベルでやるならば、国民に国家観を示す必要がある」と注文をつけた。

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