就任から200日が過ぎたドナルド・トランプ大統領。
Thomson Reuters
ドナルド・トランプ氏がアメリカの大統領に就任してから200日が過ぎた。
経済の繁栄と産業の再生を約束してきたトランプ大統領は、記録的な株価や雇用状況の改善を挙げ、アメリカ経済を活性化させたと、自身の成功を声高に訴えている。
確かに株価や雇用の拡大に関して、トランプ大統領は正しい。だが、間違っていることがある。それは、この回復傾向が大統領の就任以前から始まっていた可能性があるということだ。
Business Insiderは、新大統領が任期の8分の1を終えた今、主要な市場・経済指標がこれまでトランプ政権にどう反応してきたか、振り返ってみた。
トランプ大統領の就任以来、株価は堅調に伸びている。ダウ平均も、史上初の2万2000を記録した。
Business Insider/Andy Kiersz, data from Yahoo Finance
1月20日の就任以来、株価は徐々に上がり、定期的に記録を更新してきた。しかし、大統領戦直後に比べると、そのペースは落ちている。
投資家は、企業に有利な減税や規制緩和を期待しているようだが、ホワイトハウスで起きている問題や、共和党が過半数を握る議会で医療制度の改革法案を通過させられなかったことで、風向きがやや怪しくなってきている。
これは、8年間続く上げ相場の一部だ。
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大統領選の結果に伴い急激に上昇したり、就任日以来好調に上がり続けているのも事実だが、金融危機による2009年3月の底打ち以来、株式市場はおおよそ堅調に上昇している。
米ドルの価値は、トランプ大統領就任以来、下落傾向にある。
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ドルは、大統領選直後に上昇したが、アメリカ経済の先行きが不安視され、数カ月にわたり下落、その上昇分を失った。
4月には、大統領もこのドルの下落について、ウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。「我々のドルは強くなり過ぎた。その一部は私にも責任がある。なぜなら、人々は私を信頼しているからだ」
この下落は、2016年9月以降のドル急伸の後に始まった。
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ドル相場が特に急伸したのは、大統領選の後だ。これは投資家が、新政権は経済成長とインフレを加速させるため、企業寄りの政策を導入したり、財政政策の緩和をすると考えたためだ。
消費者信頼感指数は、大統領選後とトランプ大統領就任当初に急上昇したが、現在は失速している。
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コンファレンス・ボード(CB)の消費者信頼感指数は、他の調査同様、アメリカの消費者のマインドを示すものだ。大統領選後の上昇の背景には、新しい共和党の経済に対する楽観的な見方があった。
しかし2017年3月以降、失速した。
新政権発足後に発表された6カ月分の雇用統計を見ると、市場は堅実に改善している。
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失業率は5月と7月に、景気後退後最低の4.3%となった。
失業率の低下は、雇用市場の緩やかな回復を示している。
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2009年10月の10%をピークとして、失業率は徐々に健全なレベルまで下がってきている。
トランプ大統領の就任以降、雇用はおおむね堅調だ。
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7月には、20万9000人の雇用を創出した(上記は6カ月分の非農業部門雇用者数をまとめたもの)。
しかし失業率同様、ここ数年の雇用の創出は下降傾向にある。
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2017年1月~7月期の平均月間雇用創出数は、ほぼ例年通り。これは、雇用市場の堅実かつ緩やかな回復を示すもう1つの数字だ。つまり、雇用の創出に関して、「トランプ効果」を裏付ける証拠はひとつもない。
トランプ大統領が、選挙キャンペーン中から力を入れてきたのが製造業だ。しかし、ここでも大きな雇用の改善は見られない。
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政権発足後、製造業においては7万人の雇用が創出された。しかし、全体の107万4000人に比べれば、その数字は非常に小さい。
大統領にとってもう1つの大きなテーマは、石炭鉱業だ。しかし政権発足後、雇用の拡大はまったく見られない。
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雇用の創出は、最初の6カ月間でたった600だ。
経済成長もこれまでの傾向と大きく変わらず、横ばいだ。下の赤い部分が、トランプ大統領就任後の数字。
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トランプ大統領とその政権は、経済成長を促進するとして、GDPの年次成長率のターゲットを3%に据えていた。この数字は過去においてそう珍しいものではないが、2001年以降、成長率は2%付近で推移している。
[原文:Here's how investors and workers are doing after 200 days of President Donald Trump]
(翻訳:Conyac)