ネスレやP&Gも? プライベートブランドが、大手メーカーを"絶望"させる

有名ブランドの商品

有名ブランドは苦戦を強いられている。

Reuters/Brendan McDermid

  • 小売業者は「プライベートブランド(PB)」への比重をこれまでになく高めている。
  • これは製品の販路として、小売店に依存するブランドにとっては、悪い知らせだ。より低価格帯のブランドが、有名ブランドに取って代わる可能性がある。
  • このPBへの流れを、Barclaysはブランドにとっての「絶望の領域」と命名した。

小売業者にとって、PBは新しい稼ぎ頭だ。

消費者はブランド名の記されていない商品を購入する傾向が強まりつつあると、ホールフーズ(Whole Foods)からウォルマートに至るまでの小売業者は考えている。

このコンセプトにビジネスモデルの全てを託しているのが、スタートアップの「Brandless(ブランドレス)」だ。同社は一般的な日用品を、ブランド名をつけず、全て3ドル(約330円)以下で販売している。

Barclaysによると、小売業者は「ストアブランド」つまりPBへの投資に、より積極的になっている。これは「ジェネリック」グッズは、有名ブランドの商品ほど品質が高くないだろうとの従来の概念が覆されつつあるためだ。

最近では、アマゾンが数多くのPB商品を展開していることが明らかになったが、同社は商品を自社開発することにより、既存ブランドに競合しつつある。小売大手のTarget(ターゲット)のPBも好調だ。UBSはこれを、ブランドにとっての「盲点」だったと指摘している。

365ストア

ホールフーズの小規模店舗「365」には、PB商品が並ぶ。

Whole Foods

だが、これは自社製品を小売店を通して販売している有名ブランドにとっては、大きな痛手だ。

消費者はブランドに対して、どんどん無関心になってきている。これが引き金となり、モンデリーズ(Mondelez)やネスレ(Nestle)といった食品ブランドや、ユニリーバ(Unilever)やP&G(Procter and Gamble)のような一般消費財メーカーにとって、Barclaysが言うところの「絶望の領域」が生み出されている。

ストアブランドもしくはPBの台頭は、「メーカーの価格決定権を大幅に弱めている」とBarclaysは指摘する。より多くの消費者が低価格ブランドを選び、低価格ブランドの選択肢自体も増加しているため、ブランド側が以前のように自社製品の価格を決められなくなってしまったのだ。

また、「大手ブランドに対する不信感」も、大手企業にとって大きな足かせとなってる。消費者がより「ローカル」なブランドを選択していることや、ソーシャルメディアの出現により、ブランドの参入ハードルが下がっていることも大きな要因だ。

PBが既存ブランドにどのような問題を突き付けているのか、最も分かりやすいのは、電池市場だ。

アマゾンは、AmazonBasicsの電池製品で、オンライン上の電池市場で90%のシェアを誇る。これらの電池は、他社ブランドに比べて低価格で購入でき、一般消費者の目にはその品質も有名ブランドと何ら変わりない。UBSによると、電池メーカー大手Energizerにとって、これは決して無視することのできない死活問題だ。

[原文:American consumers have a new attitude that's creating a 'sphere of despair' for Nestle, Unilever, and Procter and Gamble]

(翻訳:まいるす・ゑびす)

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