グーグル、アップルへ30億ドル?—— iPhoneのデフォルト検索エンジンの座を維持

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アップルのティム・クックCEO。

AP

アップルは正確な金額を明らかにしないが、グーグルはiPhone/iPadのデフォルトの検索エンジンとなる契約を維持するために多額のコストを支払うようだ。

金融サービス会社バーンスタイン(Bernstein)のアナリスト、トニー・サコナギ(Toni Sacconaghi )氏の最新の分析によると、グーグルがアップルに支払う金額は年間最大30億ドル(約3300億円)と見られる。

これは、アップルの今年の営業利益の5%、また最近の営業利益の伸びの25%に相当する。

現在、唯一明らかになっている金額は、2014年、グーグルがアップルに支払った10億ドル。この金額は、裁判文書で特定されたのだが、グーグルがiPhone/iPadユーザーから得た利益の何パーセントかをアップルに支払うことに合意した結果。パーセンテージは不明だが、バーンスタインは「当時」34%で合意したとする報道を引用している。

アップルは最近、サービス事業の売上を強調しており、今年は総売上高の13%を占めた。アップルの経営陣がサービス事業について語る際に取り上げたがるのは、App StoreやApple Musicでの売り上げだ。

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グーグルのサンダー・ピチャイCEO。

Ramin Talaie / Stringer / Getty Images

だが、バーンスタインがアップルの決算報告を精査したところ、グーグルが支払うようなライセンス収入がサービス事業に含まれており、同事業の成長の最大、あるいは2番目の要因となっていた。

こうしたことから、今年、グーグルがアップルに支払う金額は「30億ドルに近い」と見られる。サコナギ氏らが、金額を導き出した方法は以下のとおり。

我々は、3つの観点から数字を導き出した。

(1)第三者の市場調査会社は、グーグルのモバイル関連売り上げは、2014年から2017年の3年間で160億ドルから500億ドルへと約3倍になったとみている。つまり、アップルへの支払額も比例して、3倍の30億ドルに増えたと思われる。

(2)過去2四半期でアップルのサービス事業の売り上げは、前年同期から24億ドル増えている。そのうち最も多いのはApp Storeの売り上げで、前年同期から13億5000万ドル増と推計される。次いで2番目がライセンス収入で、年10億ドルのペースで増加していると考えられる。

(3)グーグルのトラフィック獲得コスト(TAC:提携サイトやキャリアに支払うコスト)は2014年の上半期に比べて2.2倍になっている。アップルがTACでのシェアを維持しているのであれば、グーグルからアップルに支払われるコストも同様に2.2倍の22億ドルになっているはず

(シェアに応じて、それ以上になっている可能性もある)。報道によるとグーグルとアップルのレベニューシェアの割合は、当時、34%だった。これが事実で、現在もそのままであれば、グーグルからアップルへの支払い額は30億ドルを超えることになる。

基本的にこれらは、2014年の10億ドルをもとに、以降3年間の両社の関連する事業の成長から推定したものだ。

バーンスタインは、いずれにしろ、グーグルが支払う金額は、アップルにとってはほぼすべて利益となり、アップルにとっては非常に重要な契約で、iPhoneエコシステムの重要性を示していると指摘している。

またグーグルが契約を変更しない限り、アップルはユーザー拡大とともに、毎年、より大きな金額を受け取り続ける。

バーンスタインのアナリストらはさらに、アップルはiPhoneへのアプリのデフォルト・インストール契約を販売することで、ライセンス収入を倍増させることも可能だとみている。つまり、「UberやAmazon、フェイスブックやグーグルマップ、WeChat、NetflixなどのアプリがiPhoneのデフォルトアプリとしてインストールされることになれば」大きな利益を得られるとサコナギ氏は記している。

[原文:Google may have paid Apple $3 billion to remain the iPhone's default search engine

(翻訳:Tomoko A.)

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