ニューヨークまで40分? 北朝鮮の核ミサイルは何分でアメリカに到達するのか

火星14号

今年7月に北朝鮮が実施したICBM「火星14号」の発射実験。

KCNA via Reuters

  • 北朝鮮が実施したミサイル発射実験は、その射程圏内にアメリカ全土が収まる可能性を示唆している。
  • 北朝鮮の核ミサイルは、ニューヨークにまで到達するだろう。
  • その到達時間は、約40分30秒。
  • しかし、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術の能力については、不明な点が多い。

北朝鮮情勢が緊迫している。

今年7月、"孤立国家"北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を実施した。このICBMは核弾頭を載せ、数千マイル先まで射程に収めることができるという。すでに報じられているように、アメリカ当局は、北朝鮮がICBMに搭載可能な核弾頭の小型化にも成功したと見ている。

多くの専門家は、北朝鮮の最新兵器の実際の能力を疑問視しているが、北朝鮮の核の脅威の高まりを否定する者はいない。ICBMの技術が成熟することで、世界中に核兵器が拡散し、事故の可能性が高まり、世界規模の惨事を引き起こす一歩手前に近づくとの懸念もある。

「憂慮する科学者同盟(UCS)」のグローバル安全保障プログラムの共同ディレクターを務める物理学者、デヴィッド・ライト(David Wright)氏は最近のブログ記事に書いた。

「現時点での情報によれば、北朝鮮が(7月28日に)行ったミサイル発射実験は、アメリカ西海岸やその他の主要都市にミサイルがたやすく到達する可能性を示した」

北朝鮮のミサイルがアメリカの主要都市に到達するまで、どのくらいの時間がかかるのか。Business Insiderはライト氏に尋ねた。

下の画像は、平壌北部(ICBMが発射実験された場所)から米軍が展開している主要都市までの到達時間をまとめたものだ。ニューヨークで40分30秒となった他、ワシントンDCで41分、ロサンゼルスで38分、ホノルルで37分、シカゴで39分30秒、アンカレッジで29分、グアムで18分30秒となっている(ルートを示す白いラインにカーソルをあてると表示される)。

ただし、ライト氏はこの到達時間と距離は厳密なものではなく、多くの留意点があるとしている。 その1つは、このデータがICBM「火星14号」の一般的な情報と、北朝鮮が7月28日に行った発射実験の情報に基づき計算されていることだ。ライト氏の推定によると、火星14号の最大射程距離は約6500マイル(約1万キロメートル)のため、ワシントンDC(約1万1000キロメートル)には届かない。

「弾道ミサイルの射程距離は速度に関連する。ボールを投げるのと同じだ。ある角度で投げるとき、速ければ速いほど遠くに飛ぶ。しかし、 このICBMがエンジンを切り離したときに到達する速度(燃焼終了時の速度)は不明だ」と言う。

ライト氏はこの速度について、発射角度の調整や修正によって、秒速3〜4.2マイル(4.8~6.8キロメートル)に達する可能性があると考えている。

「北朝鮮のミサイルに関連するであろう数値を当てはめようと、この問題に取り組んできた。長年にわたってだ」軍備管理やミサイル技術、宇宙兵器を専門とするライト氏は、そう話した。

もう1つ分かっていないのが、積載重量だ。

「火星14号」はその発射実験で、約2300マイル(約3700キロメートル)、約47分間飛行した。弾頭には大気圏に突入する際、1つもしくは複数の弾頭を燃焼から保護する装置を搭載していたが、このダミーの弾頭が実際の弾頭と同じ重量かどうかは不明だ(積載重量は軽ければ軽いほど、ミサイルはより速く、より高く、より遠くへ飛ぶ)。大気圏再突入に失敗し、途中でバラバラになったという証拠もある。

金正恩

「火星14号」を視察する北朝鮮の金正恩委員長。

Thomson Reuters

ライト氏は、この数値と飛行経路を試算するにあたり、地球の動きが考慮されていないことも重要なポイントだと言う。

「ミサイルを発射するとき、地球は静止していない。ミサイルの足元で自転している。これを試算に組み入れるのは、非常に困難だ」

これはターゲットの物理的な選定をはるかに複雑にする。

「弾道ミサイルの射程距離は速度に左右される。もし東へ発射すれば、地球の自転によってそのスピードはやや速くなる」

その上でライト氏は、地球の自転速度は北半球や南半球よりも赤道直下の方が速いため、ターゲットが北にあるのか、南にあるのかも重要な要素だと付け加えた。

そして最後に、この数値は北朝鮮のICBMが、米軍の最新の「迎撃」技術のようなミサイル防衛システムをかいくぐり、実際に意図したターゲットに到達すると仮定したものだ。

ライト氏は言う。「ミサイルを発射するなら、飛行速度を割り出し、適切な速度で燃料を切り離し、正しい方向へと向ける必要がある。しかし、それを正確に行うのは非常に難しい」

[原文:Here's how long it could take North Korean nuclear missiles to reach US cities

(翻訳:本田直子)

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