カウントダウン開始! カッシーニ、最後のミッションで土星に最接近中

カッシーニ

カッシーニ最後のミッション「グランド・フィナーレ」。

NASA/JPL-Caltech

NASAの土星探査機「カッシーニ」が終焉に近づいている。

原子力をその動力とするカッシーニは、13年間にわたり土星を周回し、数十万もの画像を地球へ送信してきた。この中には、ガスでできた巨大な惑星・土星のクローズアップ、有名なその環(わ)に加え、濃い大気を有する「タイタン」や、氷に覆われた「エンケラドス」といった、謎多き衛星も含まれている。

これらの衛星には、生命が存在する可能性のある海が隠れており、その海を汚染してしまわないよう、NASAは燃料のなくなったカッシーニを土星に突入させる計画だ。

8月10日(現地時間)、NASAによると、カッシーニは土星の大気の外側に接触し、土星を周回する残り5周のうち、最初の1周目に入ったという。これらは全て、約32億6000万ドル(約3600億円)を投じた20年に及ぶ任務の最終ミッション「グランド・フィナーレ」の一部だ。 カッシーニの任務は9月15日、その任務を終え、流星のように燃え尽きる予定だ。

NASAのジェット推進研究所に所属するカッシーニ・プロジェクトの科学者リンダ・スピルカー(Linda Spilker)氏は、プレスリリースで、「これら5回の土星への接触をやり遂げ、最後の突入へと続けば、カッシーニは初の土星"大気"探査機となる。土星の大気中に専用探査機を送り込むことは、惑星探査における長年の目標だった。今回の初進出により、我々は将来の探査の基盤を築いている」と述べている。

これらのカッシーニ最後の活動は、土星とその大気や雲、環(わ)の構成、土星の謎に満ちた重力と磁場に関する新たなデータを提供するだろう。

「カッシーニにとって、これは輝かしい栄光だ。 最後の最後まで科学を全うするだろう」 スピルカー氏は以前、Business Insiderにこう語っていた

最後のミッションで、これまでにカッシーニが明らかにしたことを紹介しよう。




惑星ほどの大きさを持つ土星の衛星「タイタン」の重力は、カッシーニの最後の周回において、重要な役割を果たす。 NASAはこの力を使ってカッシーニの軌道を調整しており、この重力がなければ大量の燃料が必要になるだろう。

タイタンの日没を観測するカッシーニ

土星最大の衛星、タイタンの霞んだ大気中の日没を観測するカッシーニ(イメージ図)。

NASA/JPL-Caltech


カッシーニが撮影したタイタンの画像。この2枚の画像から、雲や大気中のもやといった、タイタンの表面に関する新たな詳細が分かった。

タイタン画像

2017年3月21日撮影、8月11日にNASAが公表。

NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute


ラスト5周のうちの最初の1周目で、カッシーニは環(わ)と惑星の間を通過。この接近飛行(フライバイ)から得られたデータは、今もNASAに送信され続けている。

フライバイ

土星の雲の中へ飛び込んだカッシーニが見るのは、こうした景色なのかもしれない(イメージ図)。

NASA/JPL-Caltech


土星の大気は75%が水素、残りの大部分がヘリウムだと考えられている。NASAは、土星に最接近する今回の試みにより、土星の大気の新たな成分が明らかになることを期待している。

疑似カラー画像

カッシーニが上空約120万キロメートルから撮影した擬似カラー画像(2017年5月18日撮影)。

NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute


これまで、科学者たちは土星の磁場と自転軸の傾きのずれを見定められなかった。そのため、土星の1日の長さを正確に知ることができずにいる。

土星の環

カッシーニから見える土星の環(わ)。

NASA/JPL-Caltech/SSI/Kevin M. Gill


最終ミッション「グランド・フィナーレ」に入る前、カッシーニは土星の衛星「プロメテウス」の姿をF環の内側に捉えた。

プロメテウス

この画像は2017年5月13日にカッシーニ搭載の狭角カメラが可視光で撮影したものだ。

NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

比較的外側にあるF環の幅は狭く、86キロメートル離れたプロメテウスとの重力の相互作用から生まれたものだ。


8月20日に実施される土星の次の接触で、カッシーニは土星の大気のもっと奥深くへ進めるかもしれない。土星の北のオーロラを捉え、南極の極渦の温度を測定できる可能性もある。

疑似カラー合成画像

複数のフィルターで撮影された画像を使って合成された疑似カラー画像。2017年7月16日、上空約77万7000マイル(約125万キロメートル)からカッシーニの狭角カメラで撮影した。

NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

この画像を撮影するために、カッシーニは太陽に照らされた土星の水平線の先の環に向かってレンズを向けた。左の外側の縁に沿って、薄いもやが見える。このもやは、右に行くに従い、消えていく。


土星の環を通過する最後の接触で、カッシーニは環のサンプルを分析することもできるだろう。それは科学者にとって、土星の密度や構成をより詳しく知る手がかりとなる。

土星

カッシーニの広角カメラが2017年2月25日に撮影した画像。土星の波打つ雲とその巨大な環の滑らかな弧を捉えた。

NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute


9月15日の最終的な突入に向けて、カッシーニは9月11日に再びタイタンの重力を利用し、軌道を調整する必要がある。

タイタン

カッシーニの狭角カメラが捉えたタイタン(2017年5月29日撮影)。

NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

NASAの探査機カッシーニは、土星の衛星であるタイタンの夜の姿にレンズを向けた。もやのかかった大気がよく見える。この画像は、タイタンの上空約200万キロメートルから撮影されたものだ。

[原文:NASA's Cassini probe just got closer to Saturn than ever before — here's what its death spiral is revealing]

(翻訳:本田直子)

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