リチャード・トラムカ氏。
Mike Segar/Reuters
アメリカ経済界の「トランプ離れ」が加速している。
AFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)の会長、リチャード・トラムカ(Richard Trumka)氏が、ドナルド・トランプ大統領の助言機関「製造業評議会」から辞任すると発表した。先週末、バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義などを掲げるグループとそれに反対するグループが衝突した事件への、トランプ大統領の対応に反発した。
AFL-CIOはアメリカ最大の労組連合で、組合員は1200万人を超える。
「偏狭な考えや国内テロリズムを容認するような大統領のための評議会に残ることはできない」トラムカ氏は15日(現地時間)に発表した声明文の中で述べた。「トランプ大統領の今日の発言は、彼が昨日(14日)、KKKやネオナチについて言わされたコメントを否定するものだ。我々はこうした偏狭な考えを持つグループにいかなる正統性も認めないアメリカの労働者の代表として、辞任しなければならない」
8月12日に起きたシャーロッツビルの事件をめぐっては、白人至上主義者やネオナチを名指しで非難しなかったことで、トランプ大統領は批判にさらされていた。その高まりを受け、8月14日には新たなコメントを発表、こうしたグループを非難したが、15日の記者会見では、「オルトレフト」と大統領自ら名付けた、集会に抗議していた人たちにも責任の一端があると発言した。
シャーロッツビルの一件を受けて評議会を去ったのは、トラムカ氏で5人目だ。製薬大手メルクのCEOケネス・ フレイジャー(Kenneth Frazier)氏、スポーツ衣料品大手アンダーアーマーのCEOケビン・プランク(Kevin Plank)氏、 半導体大手インテルのCEOブライアン・クルザニッチ(Brian Krzanich)氏、アメリカ製造業同盟(AAM)の会長スコット・ポール(Scott Paul)氏がすでに辞任を表明している。
トラムカ氏とAFL-CIOは14日、評議会への関与のあり方を「今一度検討する」と話していた。数カ月前にAFL-CIOを退職した元幹部Thea Lee氏も評議会を辞める。
トラムカ氏の声明文(全文):
偏狭な考えや国内テロリズムを容認するような大統領のための評議会に残ることはできない。トランプ大統領の今日の発言は、彼が昨日(14日)、KKKやネオナチについて言わされたコメントを否定するものだ。我々はこうした偏狭な考えを持つグループにいかなる正統性も認めないアメリカの労働者の代表として、辞任しなければならない。
トランプ大統領の製造業評議会が、労働者とその家族の生活を向上させるために効果的な本物の政策を打ち出すにふさわしい存在でないことは明らかだ。彼の今日のコメントが決定打となった。我々は、労働者の声となって、ポジティブな経済政策を実現する希望となるためにこの評議会に参加したが、これも大統領が結んだ果たされない約束の1つになってしまった。劣悪な政策に対し何もできない評議会、そして偏狭な考えを擁護する姿勢。この政権の行動は、常に労働者を失望させ続けている。
(翻訳:まいるす・ゑびす)