トランプ政権の規制緩和は「非常に危険」 —— FRBのナンバー2が警鐘

スタンレー・フィッシャー氏

スタンレー・フィッシャー氏。

Jonathan Ernst/Reuters

アメリカ連邦準備理事会(FRB)のナンバー2が、トランプ政権が推し進める規制緩和に異を唱えた。

Financial Timesとのインタビューで、FRBの副議長スタンレー・フィッシャー(Stanley Fischer)氏は、金融危機以後に施行された規制を撤回する動きに「呆れて」おり、アメリカの現政治体制は「我々を極めて危険な方向へ導いているのかもしれない」と警鐘を鳴らした。

同氏は「1930年(の世界恐慌)以来、同程度の経済危機(サブプライムローン問題を発端とした世界金融危機)が起こるまで、約80年の猶予があった。ところが、そのわずか10年後、人々は早くも経済危機以前の体制へ立ち戻ろうとしている。極めて危険で、短絡的な考えだ」と話した。

その上で、「政治的な力学は理解できるが、なぜ成熟した知的な人々が、10年をかけて整えてきた体制を撤廃する(べき)という結論に至ったのか、理解できない」と苦言を呈した。

アメリカ財務省は今年6月、経済規制を骨抜きにする、150ページに及ぶ計画を公表した。計画には、大手銀行による金融取引における制限の緩和や、各銀行が毎年パスしなければならないストレス・テスト(健全性審査)の簡素化、金融機関の監督を担ってきた、消費者金融保護局(CFPB)の権限を弱めるといった内容が盛り込まれている

業界団体側はこの見直し案を歓迎しているが、金融街に批判的なエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員を含む改革推進派や民主党議員の多くは否定的だ。

ブランダイス大学の教授で国際決済銀行の元トップ・アドバイザーであるステファン・セシチェッティ(Stephen Cecchetti)氏と、1997年から2005年までシティグループのチーフ・エコノミストを務めたキム・ショーエンホルツ(Kim Schoenholtz)氏は、「銀行最大手が財務省の勧告を採用すれば、経済システムは安全性を損なう。しかし、経済成長がさほど見込めなくても、(銀行は)それを実行するだろう」との議論を交わしている

トランプ政権の顧問らは、金融危機の後、オバマ政権下で取り決められたルールによって、銀行が過度に締め付けられてきたと批判。2016年の大統領選の後、投資家は規制緩和と減税の期待に沸き、金融株は数週間にわたり高騰した。

トランプ大統領の最高経済顧問で国家経済会議(NEC)の委員長を務めるゲイリー・コーン(Gary Cohn)氏は2月、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、金融危機以降の銀行向けの規制が、2008年の危機の再来を抑制できているかとの質問に対し、「大き過ぎる銀行は破綻させられないという問題を、真の意味で解消できたとは誰も考えていない」と答えている。

しかし、誰もが規制緩和を好意的に捉えているわけではない。2010年に施行されたドッド・フランク法は、不完全ながらも、アメリカを次の経済危機から守っていると評価する声もある

[原文:FISCHER: Trump's push to deregulate Wall Street 'may be taking us in a direction that is very dangerous'

(翻訳:忍足 亜輝)

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