世界人口の増加は、地球資源にさらなる負担を強いることが予測される。
AP Photo/Patrick Reevell
アメリカ政府は2012年、「グローバル・トレンド2030:未来の姿」と題した報告書を公表した。
この報告書には、今後20年の世界の未来に関する、厳しさと希望が共存する洞察が盛り込まれている。
公表から5年が過ぎた今、Business Insiderは改めて、報告書が予測する社会、ヘルスケア、政府、資源に関する「4つのメガトレンド」を振り返ることにした。
今後起こり得るメガトレンドとは?
個人のパワーの増大
GiveDirectly
報告書によると、今後15年から20年の間に、世界保健機関(WHO)やビル&メリンダ・ゲイツ財団のような団体の支援により、数百万人規模の人々が貧困から脱け出し、世界の人口の半数以上が貧困にあえがずに済むようになる。
このような新しい富が、より多くの人々に力を与える。力を得た個人は、地域や自国の経済にとって重要な存在となるだろう。
一方で、報告書は警鐘を鳴らしている。パワーを得た個人は「以前は国家が独占していたはず」の、破壊力の高い武器を入手したり、関連するネットワークに接触する機会が増えるからだ。
力の拡散
Reuters
アジアの開発途上国は、国際社会において欧米諸国を卓越した国力を持つようになる。
「おそらく中国は、2030年を待たずに単独でアメリカを超え、世界最大の経済大国となるだろう」と報告書は説明する。「構造転換の中で、世界経済の健全性は、西側諸国よりも開発途上国の経済状況に影響を受けるだろう」
言い換えれば、データや資源へのアクセスに長けた国があれば、経済力や人口の規模によって必ずしも国力が維持できるとは限らない。
人口構造の変化
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高齢化の広がり、出生率の低下、そして都市化の相乗効果によって、2030年の世界は劇的に変化するだろう。
世界の人口が83億人に達するとき、国際社会では高齢化が進み、ますます都市部での生活を選択する人が増えるだろう。インフラは発達するが、若い労働力の減少により、イノベーションと生産性のレべルは低下していく。
報告書によると、「高齢化した国家は、生活水準を維持するための苦しい戦いを強いられる」と言う。
人類は今後数十年以内に、史上類を見ないペースで都市建設を進める可能性がある。
食料、水、 エネルギーに対する需要の高まり
AP Photo/Patrick Reevell
アメリカ政府の調査によると、中間層の拡大と力の増大により、食料、水、エネルギーに対する需要はそれぞれ35%、40%、50%高まる。
極端な気象パターンのある地域 —— 例えば雨の多いシンガポールや、蒸し暑いムンバイなど —— では、気候変動の影響よって、そのパターンはより極端になるだろう。アフリカ北部やアメリカ南西部などの乾燥地帯では、降水量の減少による影響をとりわけ強く感じるようになるはずだ。
エネルギー不足は、2030年までは回避できるだろう。それだけの蓄えはある。しかし、その資源が、環境への影響が懸念されるフラッキング(水圧破砕法)によるものなのか、太陽光や風力を利用した再生可能エネルギーになるのかは定かではない。
[原文:4 mega-trends that could change the world by 2030]
(翻訳:四方田里奈)