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最悪のスタートをきってから1年後、米国株式市場は2016年の最高値を更新した。
主要指標は回復し、Brexit(イギリスのEU離脱)や大統領選挙でのトランプ氏の勝利など、この世の終わりとも思えるような出来事をものともしなかった。
2017年に関して、ウォールストリートのトップ企業のストラテジストたちは皆、上昇相場が続くと予測している。多くが大手企業の収益改善やトランプ氏による減税と規制緩和の効果を期待している。
昨年の同時期、Bloombergによると2016年末のS&P500種株価指数の中央値は2178だった。12月16日金曜日、S&P500は年初から10.5%上昇し、2258.07で終値を付けた。これはもっとも強気な数値を予想したファンドストラット(Fundstrat)のトム・リー(Tom Lee)氏の予測を上回った。
2017年の株式市場についてのプロたちの意見を紹介しよう。
2300 * -バンクオブアメリカ メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)
サビタ・スブラマニアン(Savita Subramanian)氏
「2017年は、ここ数年でもっとも不確実な1年になるだろう。通常よりも高いリスクがあり、高揚か失望か、大幅に高いか大幅に低いか、非常に両極端な結果になるだろう」
「今後の数カ月で成長促進政策が一進一退する可能性があり、大きく市場が揺れ動く可能性があるとみている。絶対的な収益性よりリスク/リワード(損切りと利食いのバランス)が重要になるだろう」
* 2017年は極端な年になり、下げ相場の場合は1600まで下がり、上げ相場の場合は2700まで上昇するだろう(スブラマニアン氏)。
2300 * - クレディスイス(Credit Suisse)
アンドリュー・ガースウェイト(Andrew Garthwaite)氏
「マイナス金利政策から財政刺激策に転じた場合、株式に比較して債券への投資が超過状態になることと、インフレ期待が強まることが2017年の重要なポイントになると考えている」
「しかし、2017年の後半は下げ相場になるとみている。よって、年末の予想は2300。後半は、米国債利回が3%を超えることのネガティブな影響(3%はクレディスイスの予測)、労働者賃金の上昇による利益率の低下、中国が経済成長政策よりも国内安定化政策をとるリスクなどが想定される。我々は、債権や金よりも、株式が好ましいと引き続き考えている」
* 2017年の半ばは、2350
2300 – UBS
ジュリアン・エマヌエル(Julian Emanuel)氏
「変動幅がさらに大きくなる可能性はあるが、上昇相場が続くだろう。現状、景気後退の理由は見当たらない。しかし、連邦準備銀行が今年12月に続き、再度の利上げを行ったときには『Three Steps and a Stumble(金利が3回上がると株価が下落する)』という古い諺に株式市場は試されることになるだろう」
2300 – ゴールドマン(Goldman)
デビッド・コスティン(David Kostin)氏
「明るい見通しは、法人税の引下げ、海外利益の本国送還、規制緩和、財政刺激策などから1株あたり利益(EPS)が改善する可能性があることだ。一方、懸念は、財政赤字が税制改革を制限すること、インフレの進展により連邦準備銀行が引き締め政策をとること、債券の利回りが上昇を続けることなどだ」
2325 – シティ(Citi)
トビアス・レブコビッチ(Tobias Levkovich)氏
「我々のPULSEフレームワークによると、収益、流動性など4つ指標は中立的だが、判断としては前向きだ。収益率ギャップ分析によれば、1年後、株価が上昇している確率は87%。現時点で2017年半ばの予想値は2250、年末の予想値は2325だ」
2325 – ジェフリーズ(Jefferies)
ショーン・ダービー(Sean Darby)氏
「トランプ氏勝利の後、ほぼ一晩で流れが変わった。トランポノミクス(Trumponomics)、つまり財政緩和と保護主義は、インフレとドル上昇の要因となる。株式は利益確定売りなどで取引が盛んになり、活況となっている。しかしドル高は足かせとなり、流動性を損ねてしまうだろう」
2350 - BMO
ブライアン・ベルスキ(Brian Belski)氏
「市場が株価収益率(PER)重視から1株当たり利益(EPS)重視の取引に移行することで、S&P500は2017年に少なくとも1桁台後半の利益を上げるだろう。トランプ次期政権が及ぼす影響や政策の変化にもうまく対応していくはずだ」
「市場の乱高下は常に起こり、様々な懸念や見解から混乱が生まれるだろう。しかし、米国企業の強さは、この上昇相場の中で何度も証明されている。迷っていてはいけないというのが我々の見解だ」
2350 – ドイツ銀行
デビッド・ビアンコ(David Bianco)氏
「S&P500種株価指数はトランプ次期政権の発足によって2250になり、大規模な法人税率の引き下げで2300になるだろう。法人税率は最初の100日以内に引き下げられるだろう。新政権の発足から減税が行われるまでの期間は注意が必要だ。相場やFXマーケットがそれらを反映することを待つことは、株式市場にとっては制約となってしまうだろう」
2400 – JPモルガン(JPMorgan)
Dubravko Lakos-Bujas氏
「基本的に株式のリスクは今年に比べて高くなると我々は考えている。新政権下での経済成長政策の見通しは、株価上昇の主要因となるだろう。しかし、現時点では政策には不確定な要素が多い。ドル高と高金利は、特に市場が強い成長期待に基づいていない場合は、企業収益と安全性の面で損失を招くリスクの主要因となる」
2450 ‐ オッペンハイマー
ジョン・ストルトツス(John Stoltzfus)氏
「トランプ氏が大統領選で掲げた刺激的な財政政策が実施され、追い風になると期待している。我々は、政策が株価といくつかの指標の上昇傾向をさらに押し上げるだろうと考えている。ただし、経済刺激策の効果は、政策が成立し、ある程度の時間が経たないことには実感するできないと考えている」
[原文:Here's what 10 Wall Street pros are predicting for the stock market in 2017]
(翻訳:梅本了平)