心の傷が原因? ミレニアル世代が壊滅させる19のアメリカのビジネス

バッファロー・ワイルド・ウィングス

Buffalo Wild Wings on Facebook

ミレニアル世代の「好き嫌い」が多くの産業を潰している。

なぜこれほどまでに上の世代と嗜好が異なるのか。それには、多くの複雑な理由がある。財政的な不安定さや、不況と共に育ってきた記憶も含まれるだろう。

「私たちは金融危機によって、心に大きな傷を負ったのだと思う」モルガン・スタンレーのアナリスト、キンバリー・グリーンバーガー(Kimberly Greenberger)氏はそう指摘する

ミレニアル世代が壊滅させつつある19のビジネスを紹介する。


カジュアルダイニングチェーン

アップルビー

Wikimedia Commons

業績不振と店舗の大量閉鎖に直面しているのが、バッファロー・ワイルド・ウィングス(Buffalo Wild Wings)やルビー・チューズデイ(Ruby Tuesday)、アップルビー(Applebee)といったカジュアルダイニングチェーンだ。顧客を引きつけ、売り上げを伸ばすのに苦戦している。

アップルビーは今月上旬、ミレニアル世代を取り込もうと躍起になるあまり、 同社の「ルーツである中産階級のアメリカ人」を見失い、最大135店舗を閉鎖すると発表した。

バッファロー・ワイルド・ウィングスのCEO、サリー・スミス(Sally Smith)氏は5月、株主への書簡でこう書いている。「ミレニアル世代の消費者は、上の年代より自炊や出前に魅力を感じ、ファストフードやクイックサービス式のレストランで、素早く食事を済ませることを好む」

ビール

ビール

The Great American Beer Festival

ゴールドマン・サックスは7月下旬、アルコール飲料の製造・販売を行うボストン・ビア・カンパニー(Boston Beer Company)とコンステレーション・ブランズ(Constellation Brands)の投資判断を引き下げた。若い世代が上の世代ほど酒を飲まず、飲んでもビールよりワインやスピリッツを好むとのデータに基づくものだ。

マーケティングリサーチ会社のニールセンによると、2016年から2017年にかけて、アメリカ市場におけるビールのシェアは1%マイナスとなったが、ワインとスピリッツのシェアは変わらなかった。

1%のマイナスをもってビール業界の破滅とするのは、過剰反応だとする人もいるが、この小さな変化がビール業界大手に大きな影響をもたらしている。2006年から2016年にかけて、ビールはすでにワインとハードリカー(ウイスキーやラム、ウォッカなど)に市場シェアの10%を奪われている。

紙ナプキン

紙ナプキン

Daniel Zuchnik / Stringer / Getty Images

2016年のワシントン・ポストの記事によると、若い消費者は紙ナプキンよりもペーパータオルを好む

同紙は、過去6カ月で紙ナプキンを購入した買い物客は56%にとどまるとのミンテルの調査結果を掲載。一方で、86%の買い物客がペーパータオルを購入したと伝えている。

ペーパータオルは紙ナプキンよりも機能的で、用途も広い。ワシントン・ポストは、ミレニアル世代が外食を好むことも、紙ナプキンの購入率低下を招いている可能性があると指摘した。

「ブレストラン」チェーン

フーターズ

Business Insider Video

アダルトサイトPornhubによると、18歳~24歳の利用者が同サイト内で「胸」を検索する割合は、他の全ての年齢層に比べ、19%低いことが分かった

フーターズやツインピークス(Twin Peaks)といった「ブレストラン(胸を意味する「ブレスト」と、「レストラン」を掛け合わせた造語) 」にとって、 胸への関心の低下は打撃だ。業界レポートによると、アメリカ国内のフーターズの店舗数は、2012年から2016年にかけて7%以上減り、売り上げも停滞している。

フーターズがミレニアル世代の取り込みに苦心して久しい。 2012年、同チェーンはミレニアル世代と女性客を獲得すべく、装飾とメニューをリニューアルし、イメージの一新を図った。

シリアル

シリアル

Unsplash / Jennifer Pallian

ミンテルの調査によると、ミレニアル世代の40%近くが、シリアルは食後の片付けが面倒な、不便な朝食だと答えた。ニューヨーク・タイムズが2016年に伝えた

シリアルに代わる朝食として、若い消費者が選ぶのはヨーグルトやファストフード店のサンドイッチだ。片付けが最小限で済み、出勤中に食べられる利便性がその理由だ。

アメリカでは朝食を摂る人がこれまでになく増えているにも関わらず、シリアルの売り上げは、2009年から2014年にかけて5%減少した。

ケロッグ(Kellogg)やゼネラル・ミルズ(General Mills)といった企業は2017年に入り、売り上げの低下は止まったと発表している。シリアルはまだ壊滅していないのかもしれない。

ゴルフ

ゴルフ

KOMUnews/flickr

業界調査会社NPDのマット・パウエル(Matt Powell)氏は、「統計を見れば、ゴルフ業界の凋落は明らかだ。ミレニアル世代はゴルフをせず、ベビーブーマー世代も年を取って、いずれはプレーしなくなる。ゴルフは衰退傾向だ」と指摘する。

ミレニアル世代は、インドア・バイクエクササイズを中心とした「ソウルサイクル(SoulCycle)」やバレーエクササイズといった新たな流行を生んできたが、ゴルフはこうしたミレニアル世代の関心を捉えることはできなかった。

バイク

バイク

Harley Davidson Facebook Page

「我々のデータによると、ジェネレーションY(注:ミレニアル世代の別名)の中でも若い世代のオートバイ購入率は、他の世代に比べはるかに低い」資産運用会社アライアンス・バーンスタイン(AllianceBernstein)のアナリスト、デイビッド・ベッケル(David Beckel)氏は7月、ハーレーダビッドソンを「アウトパフォーム」から「マーケットパフォーム」に格下げした理由をそう述べた。

アメリカの大型オートバイ市場の半分を占めるハーレーダビッドソンだが、その売り上げは2015年から2016年にかけて、全体で1.6%、アメリカ国内で3.9%減少した。

出荷台数は26万2221台で、事前予測の26万4000台~26万9000台を下回った。

住宅の所有

住宅

Shutterstock

アメリカのミレニアル世代の住宅所有率が過去最低を記録している。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのエコノミストであるミッシェル・マイヤー(Michelle Meyer)氏は最近の書簡で、「住宅購入が遅れている原因は、厳しい信用基準に加え、晩婚化や出産の高齢化といったライフスタイルの変化だと考えている」と述べた。

「こうした傾向はしばらく続くと見られ、ミレニアルの住宅所有率は中期的に見ても恐らく低いままだろう」

ヨーグルト —— 特に低カロリー・低脂肪タイプ

ヨーグルト

Unsplash / Peter Hershey

ニールセンのデータによると、2015年10月から2016年9月にかけてのライトタイプ、つまり低カロリー・低脂肪タイプのヨーグルトの売り上げは、前年比8.5%減、金額にして2億ドル減の約10億ドル(約1094億円)となった。

ヨーグルト業界全体の売り上げは1.5%減、4年連続で前年を下回った。

ライトタイプのヨーグルトの低迷は、消費者の需要の変化に起因すると見られる。健康志向と言っても、単に低カロリー、低脂肪ということではなく、天然由来のタンパク質豊富な食品が求められている。高タンパクが訴求ポイントのギリシャヨーグルトにとっては、追い風だ。

タンパク質とオーガニックに対する需要が高まる一方で、砂糖に対する需要は低下している。

1980年代から90年代にかけ、アメリカでは「低脂肪」が一般的だった。食品メーカーは脂肪を減らす分、それを砂糖で補った。結果として、大量の砂糖を使用した「ライトタイプ」のヨーグルトが、低脂肪で健康的な商品として売られていた。

固形せっけん

固形せっけん

Shutterstock

ミンテルによると、2014年から2015年にかけ、浴槽洗面部門全体の売り上げが増加した一方で、固形せっけんの売り上げは2.2%減少した。

そして、その原因はミレニアル世代にあると言う。

「アメリカの消費者の約半分(48%)が、使用後の固形せっけんには雑菌がついていると考えている。年齢別に見ると、65歳以上の31%に対し、18歳~24歳では60%と、極めて高い数値になっている」ミンテルがプレスリリースで明らかにした

ダイヤモンド

ダイヤモンド

REUTERS/Tyrone Siu

ミレニアル世代は、結婚する人が少ない上に、従来とは異なる指輪を選ぶ人が増えているとCNBCが報じた

ダイヤモンドの売り上げは世界的に低迷しており、ダイヤモンド生産者組合(Diamond Producers Association)などの団体は、宝石を再ブランド化することで、ミレニアル世代を獲得しようと取り組んでいる。

衣料用柔軟剤

柔軟剤

Thomson Reuters

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アメリカ国内の液体柔軟剤の売り上げは、2007年から2015年で15%減少、業界トップの「ダウニー」は、26%減少した。

ダウニーの製造元プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のグローバル・ファブリックケアの責任者は、ミレニアル世代は「ダウニーがどんな商品かすら知らない」と述べている。

銀行

銀行

Getty Images/Justin Sullivan

ミレニアル世代は既存の金融機関を信用しておらず、銀行の実店舗を訪れることは滅多にない。

ベンチャーキャピタル「ニュー・エンタープライズ・アソシエイツ(New Enterprise Associates)」のパートナー、リック・ヤン(Rick Yang)氏はBusiness Insiderに語った。「金融危機の中で育ってきたミレニアル世代は、既存の金融サービスに大きな不信感を抱いている」

銀行そのものがなくなることは、おそらくないだろう。だが、その支店や実店舗は間もなく過去のものとなるだろう。

BI Intelligenceのデータによると、銀行口座を持つミレニアル世代のうち、4分の3近くが実店舗を訪れるのは月に1回もしくはそれ以下だ。物理的に銀行を訪れないミレニアルも40%弱いる。

デパート

メイシーズ

Business Insider/Hayley Peterson

H&MやZARAといったファストファッションブランドがミレニアル世代の人気を集めるにつれ、メイシーズやシアーズは苦戦している。今年に入り、シアーズはシアーズの店舗と傘下のKマートの店舗、合わせて300店舗以上を、メイシーズは68店舗を閉鎖する予定だ。

その一因は、ミレニアル世代の消費志向にある。彼らは外食や旅行といった体験への消費(コト消費)を好み、デザイナーズブランドに憧れることも少なく、プライベートブランドを購入して節約することを好む。これが、従来の百貨店(デパート)をさらに苦しめている。

デザイナーズブランドのハンドバッグ

ハンドバッグ

Facebook/Michael Kors

ミレニアル世代は、一時は人気を集めたデザイナーズブランドのハンドバッグの売り上げにも打撃を与えている

マイケル・コースやケイト・スペードといったブランドは、ミレニアル世代が関心を失うにつれ(バッグに費やすお金もない)、商品価格の大幅な割り引きを余儀なくされた。ある意味では、ブランドのあまりに高かった人気がその凋落を招いたと言える。

「若い富裕層向けを中心に、(ブランドの幅広い人気が)流行りのファッションブランドを破滅させる」業界の専門家ロビン・ルイス(Robin Lewis)氏はブログ記事にそう書いた

スポーツジム

スポーツジム

Shutterstock/Uber Images

ミレニアル世代はワークアウトが好きだ。だが、スポーツジムではなく、専門分野に特化した、クラス中心のフィットネススタジオを好む。

「ミレニアル世代は束縛を嫌がる」と語ったのは、FitReserveのCEOミーガン・スマイス(Megan Smyth)氏だ。提携するさまざまな専門スタジオのレッスンをワンストップで予約できるサービスを立ち上げた同氏は、「彼らは自発的に動く世代だ」とニューヨーク・ポストの取材に答えた

位置情報に基づくウェブサービスを提供するFoursquareは7月、こうしたブティック型専門スタジオの利用客が伸びる一方で、24 Hour Fitnessやスナップフィットネス(Snap Fitness)、ニューヨーク・スポーツクラブ(New York Sports Club)などの中流層向けスポーツジムの利用者割合が、昨年に比べ5%減ったと発表した。

ホームセンター

ホームデポ

Joe Raedle/Getty

人々の自宅への投資が増える中、一部の専門家は、住宅を買い控えるミレニアル世代が、これら小売業者を苦しめるのではないかと懸念する。

ミレニアルの動向に詳しいマーケティング・コンサルタントのジェフ・フロム(Jeff Fromm)氏は、「ミレニアル世代が『アメリカの家庭』を再定義している」とForbesに記した。「ミレニアル世代の結婚や出産は、これまでになく遅くなっている。この文化的な転換は、住宅事情にも同様の影響を及ぼすだろう。ミレニアル世代は、アメリカ人の大半が住宅に望む広さや耐久性、実用性を必要としないのかもしれない」

アメフト

アメフト

David Dermer/AP

大学フットボールの観客動員数NFLの視聴率が、低下している。

その原因について、アナリストらは、2016年の大統領選やNFL選手が国歌斉唱時に膝をついたことへの抗議、あるいは試合が単に退屈になったことなど、数多くの要因を挙げる

中にはミレニアル世代をその要因とする声もある。若い世代は急速にケーブルテレビを見限っており、1つのケーブルテレビを皆で一緒に見たり、iPhoneで情報を得たりしている。

石油

石油

AP/Jae C. Hong

ミレニアル世代の石油業界に対するイメージは、将来、就業者や顧客を見つけるのが難しくなることを示唆している。

マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、ミレニアル世代の14%が、そのネガティブなイメージから石油・ガス業界で働きたくないと考えていることがわかった。これはどの業界よりも高い割合だ。また、アーンスト・アンド・ヤングの最近の調査によると、ミレニアル世代は「石油・ガス業界の持続性にも疑問を抱いており、同業界でのキャリアが、安定性のない、ブルーカラーの、困難や危険がつきまとう、社会に有害なものだと考えているようだ」 と言う。

10代に至ってはさらに批判的で、3分の2が石油・ガス業界は問題を解決するのではなく、引き起こしていると考えている。

[原文:'Psychologically scarred' millennials are killing countless industries from napkins to Applebee's — here are the businesses they like the least

(翻訳:本田直子)

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