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都市を見つめると、未来が分かる。
世界保健機関(WHO)の推計によると、今後35年以内に世界の人口の3分の2が都市部で生活するようになるという。都市生活者が、25億人増える計算だ。
こうした中、今後繁栄するのは、最先端技術を取り入れ、新たなイノベーション創出の機会を生み出す都市だろう。
そうした取り組みに最善を尽くす都市とは、どこなのか。Business Insiderは、調査会社2thinknowに助言を求めた。同社は革新的な都市を分析し、アメリカで最もハイテクな都市をランク付けしている企業だ。
同社は、人口1人当たりの特許件数、スタートアップ企業の数、テック系ベンチャーキャピタリストの数、スマートフォンの使用レベル、他のイノベーション関連ランキングなど、テクノロジーの進歩に関連する10の項目に注目。項目ごとに加重配点し、85の都市をランク付けした。
未来の姿を知るために、ランキング上位の都市を探っていこう。
11位:マイアミ(フロリダ州)
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マイアミと言えばテクノロジーよりもビーチやパーティーのイメージが強いが、技術的洗練度の高さは都市のあり方に反映されている。 2thinknowの分析では、スマートフォンの使用レベルと都市イノベーションの項目で極めて高く評価された。
また南米に近いことから、国際的な新事業に乗り出すスタートアップが生まれる土壌もある。グーグル、Twitter、Facebookなどの大企業も近年、オフィスを構えている。
10位:フェニックス(アリゾナ州)
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かつてハードウエア製造業に注力していたフェニックスは今、ソフトウエアへと舵を切っている。シリコンバレーから多数のスタートアップが、アメリカ南西部へ移転し始めたためだ。
2015年のあるレポートによると、フェニックスのソフトウエア業界は2019年までに14%成長し、情報通信技術(ICT)関連の仕事に従事する労働者の数はデンバー(コロラド州)やオースティン(テキサス州)を上回る見込みだ。
9位:ヒューストン(テキサス州)
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今回テキサス州からランクインした2つの都市のうちの1つで、ヒューストンはスマートフォンやスマートシティ構想との結びつきが強い。市役所はビッグデータを活用し、庁内の業務や住宅セクターの効率化を図っている。
市長のシルベスター・ターナー(Sylvester Turner)氏は最近、イスラエルの有力企業と提携、ヘルスケア部門を刷新し、サイバーセキュリティーを強化すると発表した。
8位:フィラデルフィア(ペンシルべニア州)
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フィラデルフィアのスタートアップやベンチャーキャピタル企業の数は、マドリードやダブリン、上海などの世界最大級の都市よりも多い。
検索エンジンのDuckDuckGo、広告会社のInviteMedia、eコマース・ソリューションを提供するMonetateもこの街から生まれた。InviteMediaは2010年、8100万ドル(約88億5000万円)でグーグルが買収。ベンチャーキャピタルは近隣のニューヨークに比べるとまだ規模は小さいが、存在感は確実に増している。
7位:ワシントンD.C.
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アメリカの首都ワシントンD.C.では、テック産業が過去10年で急速に成長しており、関連の雇用も全体で50%増加した。
加えて、1000社以上のスタートアップがワシントンD.C.に本社を置いている。連邦政府に近く、近隣には豊かな資金力を持つベンチャーキャピタル企業があることが、世界を変えたいと願う企業を引き付けている。
6位:ダラス(テキサス州)
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ダラスはここ数年でスタートアップ・ハブとしての地位を確立した。
2thinknowの分析では、同市は2016年の28位から一気にトップ10入りを果たした。ベンチャーキャピタリストの急増や、都市景観とテクノロジーの融合が評価された。
5位:シカゴ(イリノイ州)
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中西部にスタートアップが集まる都市はないと思う人もいるかもしれないが、シカゴはそのイメージを覆す。2014年の報道によると、イリノイ州におけるテック関連求人は2013年、全求人の5.28%を占め、アメリカ国内でトップ5に入った。その多くを創出しているのがシカゴだ。
ブルッキングズ研究所も、シカゴは都市計画イノベーションの発信地だと述べている。これは、エネルギー管理、水、交通に関するインフラ問題の解決を目指すシカゴベースのプロジェクト「City Digital」によるところが大きい。
4位:ボストン(マサチューセッツ州)
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近年、多くの心躍るバイオ技術、ロボット関連技術が、主にMITやハーバード大学、タフツ大学、ノースイースタン大学など、ボストンにあるエリート大学から生まれている。
ボストンには、イノベーションラボや大学発のスタートアップに投資するベンチャーキャピタル企業がいくつかある(Battery VenturesやAtlas Venture、Bessemer Venture Partners、Matrix Venture Partners)。また、Facebookやアマゾンなどの有名企業がその研究開発拠点をボストンに設置し、才能ある人材を引き入れようとしている。
3位:ロサンゼルス(カリフォルニア州)
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ロサンゼルスで盛んなのは、映画産業だけではない。
ロサンゼルス郡経済開発公社(LAEDC)の2014年のレポートによると、ロサンゼルスはアメリカ国内でテック関連の雇用が最も多い地域で、その経済効果は総額およそ580億ドルだ。2thinknowの分析でも同様の結果となった。スタートアップとベンチャーキャピタルが、ロサンゼルスにおけるテック産業のブームに大きく貢献している。
2位:ニューヨーク・シティ(ニューヨーク州)
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ニューヨーク・シティは独特なハイテク都市だ。インフラ面では遅れているが、同時に驚くほど先進的な部分もある。
州の会計監査局によると、2013年第3四半期、ニューヨーク・シティのテック企業7000社近くが合わせて10万人以上の雇用を創出していた。
加えて、ニューヨーク・シティは市内全域にわたる無料Wi-Fiサービス「LinkNYC」の提供を開始。誰でも利用できるアクセスポイントが、マンハッタン周辺で500カ所以上設置された。多くの専門家が、ニューヨーク・シティのスマートシティ化は始まったばかりだと考えている。
1位:サンフランシスコ(カリフォルニア州)
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「……のシリコンバレー」と呼ばれる都市はたくさんあるが、本物のシリコンバレーは唯一、ここだけだ。
2thinknowはシリコンバレーをベイエリア内で最も都会化が進んだ地域と定義しており、その中心はサンフランシスコだ。スタートアップを生み出す土壌から、ベンチャーキャピタル、デザイナーやプログラマーの人材に至るまで、世界のテクノロジーの中心地だ。
イノベーションをもたらす企業の本拠地シリコンバレーは、ライバル都市を抑え、ほぼ全ての項目でナンバー1だ。
sources: Flickr/Jerry Ferguson 、 Flickr / ifmuth 、 Wikimedia Commons
[原文:The 11 most high-tech cities in the US]
(翻訳:Ito Yasuko)