キューバン氏、「ビットコインはバブル」発言から態度一変 —— 金融界に広がる仮想通貨の波

マーク・キューバン氏

マーク・キューバン氏。2015年ウォール・ストリート・ジャーナルのデジタル・ライブ・カンファレンスにて。

Mike Blake/Reuters

著名投資家マーク・キューバン(Mark Cuban)氏は、設立間もない仮想通貨ファンド1confirmationに出資した。ブロックチェーンなどの仮想通貨関連のニュースメディアCoinDeskが報じた。

8月22日火曜日(現地時間)に設立された同ファンドは、仮想通貨関連を中心に投資を行う計画だ。アメリカ証券取引委員会(SEC)への提出書類から分かった。同ファンド創業者ニック・トマイノ(Nick Tomaino)氏は、カリフォルニア州パロアルトに本拠を置く2億7000万ドル(約295億4000万円)規模のベンチャーキャピタルRuna Capitalのプリンシパル。2000万ドル(約21億8000万円)の調達を目指している。

「ニックは業界最高クラスの鋭敏な知性の持ち主だ。今後、ブロックチェーンを基幹技術として世界に変革をもたらすアプリケーションが生まれるだろう」とキューバン氏はCoindeskに語った。

同氏は先週Twitterへの投稿の中で、本人自らがビットコイン・ブームに乗る意向を明かした。

このブログ記事を全て書き直し、株式をビットコインに換えるべきかもしれない。とうとう、いくらか買う必要が出てきたようだ」

キューバン氏が仮想通貨の世界に本格参入したことは、大きな「転向」だといえる。2カ月前には「ビットコインはバブルだ」と発言していたからだ。6月上旬、ビットコイン価格が2900ドル(約32万3000円)に迫る勢いで急騰した直後、同氏は反発が来るおそれについて警告していた。

「ビットコインはバブルだ。いつ、どれくらい下がるかは分からない。皆がどれだけ簡単に金もうけできるかを自慢している。つまり、バブルだ」

キューバン氏はさらに、批判の矛先を仮想通貨全般に向けていた。

「誰でもどこでも仮想通貨を買える。仮想通貨は金のようなもの。資産というより宗教に近い。もちろん金は素敵な宝飾品になる。だが仮想通貨は違う」

キューバン氏の「転向」は、アメリカの金融界全体が仮想通貨に対する見方を変えてきていることを意味する。金融機関や機関投資家らは、仮想通貨における利益獲得の可能性に対する意識を強めている。その背景には、ビットコインとその競合通貨イーサが共に史上最高値を更新している状況がある。現在、ビットコインは今年の初値から350%超、イーサは2000%超上昇している。

例えば、ニューヨークを拠点として247億ドル(約2兆7000億円)の資産を運用するVanEckは、ビットコインETF(上場投資信託)を立ち上げようとしている。8月11日付けのSEC提出書類で明らかになった。

また、ゴールドマン・サックスのアナリスト、ロバート・ボルジェルディ(Robert Boroujerdi)氏らは、最近の顧客向けメモの中で、次のように記した。

仮想通貨は現在、全体でおよそ1200億ドル(13兆1000億円)の市場規模を誇るため、機関投資家にとってますます無視できなくなっている。仮想通貨に投資するメリットを信じるかどうかにかかわらず、特に新規仮想通貨公開(ICO)による資金調達が従来の投資を超えて成長していることから、相当の資金が実際に動いており、注目に値する。

ICO(Initial Coin Offering)は、ブロックチェーンを利用した新しい資金調達法だ。フィンテック分析会社Autonomous Nextによると、今年初め以来、ICOで調達された資金の総額は18億ドル(約1968億円)を超えるという。

CoinDeskによると、キューバン氏が出資した1confirmationは、「ICOに先立って、自社のトークンまたは株式を投資家に取得させておきたい企業」に対し、「10万ドル~50万ドルを出資する」としている。

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[原文:Mark Cuban is backing a new cryptocurrency fund months after calling bitcoin a 'bubble'

(翻訳:原口 昇平)

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