ドイツの配送センターで、注文品をまとめるアマゾンのスタッフ。
Sean Gallup/Getty Images
2017年、ラジオシャック(RadioShack)やCVS、シアーズ(Sears)からJCペニー(JCPenney)まで、6000以上もの小売店が閉店した。
同時期、無限とも思える品揃えや、配送のスピーディさからアマゾンの利用者が増えたことで、同社の株価は31%以上も跳ね上がった。
だが、まだ残っている小売店のすべてが「万事休す」の状態ではないと、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)で消費者調査部門のトップを務めるマット・ファスラー(Matt Fassler)氏は、同行のポッドキャスト「エクスチェンジ(Exchanges)」で語った。
「従来型の小売店の売り上げは、小売業の売り上げ全体の約85%を占めている」とファスラー氏。
「もしこの先5年間でeコマースが15%の成長を遂げたとしても、まだ70%もある。トータルで見ればこれよりも多少減る可能性はあるが、間違いなく十分大きな数字で、この先も長い間、そうあり続けるだろう」
ファスラー氏によると、こうした小売業の新たな現状の中で、以下の2つのモデルだけは生き残るだけでなく、成功することもできる。
1. 配送センター
アマゾンやウォルマートが成功している要因には、極めて効率的な配送センターを所有していることがある。配送センターはほぼ、都市の中心部から離れた場所にある。魅力的な場所でも、客を呼び込めるような場所でもないが、倉庫から顧客に商品を届けるという役割においては、素晴らしい仕事をしている。
「現在、アメリカの小売業が抱える深刻な問題の1つは、実店舗でアマゾンと同じくらい効率的に商品を取り扱おうとする企業があまりにも多いことだ。実店舗では商品を並べておくことに非常にコストがかかる」とフィスラー氏。
「コストコ(Costco)やサムズクラブ(Sam’s Club)といった会員制の大型ディスカウントショップのような店舗は、何よりもまず配送を重視して作られたものだ。ショールーム的な要素はまさにほぼ偶然の産物だ」
2. ショールーム
ニューヨークの五番街、H&Mの店舗に入っていく買物客。
Drew Angerer/Getty
派手なディスプレイと、RFIDタグや顧客を追跡するセンサーのようなハイテクを備えた店舗は、まだやりようがあるとファスラー氏は語る。
「一方、五番街やマディソン・スクエアにある高級店を見てみると、商品の展示に注力しており、配送や流通などはまさに二の次になっている」と同氏。
「商品を展示することに関して確実に言えることは、多くの人が歩き回るリアルな場所を持つ価値は十分にあるということだ。人々は自然と横を通る。とても重要な場所だ」
どちらの方向に舵を切るとしても、小売業の劇的な変化は、アメリカの雇用に大きな影響を与えるだろう。アメリカ労働統計局によると、小売業はまだアメリカの雇用の10%を占めている。
「最も大きな変化は、ハイエンド商品あるいは販売の現場で起きている。販売の最前線では、ユーザーのデータを収集・解析して、活用できる多彩な能力を持つ販売員が登場するだろう。直感や販売員のパーソナリティに頼って運営する時代は終わりだ」とファスラー氏は述べた。
「雇用は徐々にマスマーケットから配送センターに移っていくだろう」
[原文: GOLDMAN SACHS: There's a split in retail, and only 2 types of stores will survive]
(翻訳:Conyac)