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好奇心旺盛なミレニアル世代は、何か気になることがあるとき、人に聞くより「ググる」傾向にあることが新たな調査で分かった。
非営利団体Growing Leadersと調査会社Harris Pollが、18歳以上の成人2264人を対象に実施した調査によると、18歳から34歳の回答者のうち69%が、学びがあるのは人間よりもテクノロジーからと回答、全世代で最も多くなった。同様の傾向は、より若い「Z世代」にも共通すると見られる。なお、人間よりもテクノロジーと回答した45歳以上のベビーブーム世代は50%だった。
Growing Leadersの代表、ティム・エルモア(Tim Elmore)氏によると、スクリーンを通じて学ぶ方がいいと感じる若者の傾向は、教育の分野において特に重要だという。学校が様々な指導方法に適応、導入していかなければ、伝統的な教育に対する無関心は広がるばかりだと同氏は指摘する。
「高等教育は厳しい状況になるだろう」エルモア氏はBusiness Insiderの取材に対し、オンライン・ラーニングの台頭や増大する学資ローンを挙げ、そう述べた。同氏は、就職も決まらず、数千ドルの借金を抱えて卒業する兄や姉を見てきたより若い世代では、正規の大学への進学率が低下すると見ている。
「大学を卒業して、借金が2万8000ドル(約306万円)、仕事はスタバのバリスタ。大学に行かなくても、できたことだ」
一部の調査では、Z世代は大学進学を延期し、アルバイトないしはフルタイムで働いて学資ローンを借りずに済むよう努める傾向にあるとの結果も出ている。
K-12教育(アメリカの義務教育。幼稚園(Kindergarten)から12年生(=高校3年生)まで)の対応は、高等教育よりも早くできそうだ。一般的には、公立の中学・高校の方が、大学よりもこうした変化を受け入れやすい。しかし、従来の指導による授業とテクノロジーを組み合わせた「ハイブリッド教育」の導入には、時間がかかっているのが現状だ。
「パーソナライズ学習」や「個別化学習」として知られるこうした教育モデルは、ビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーグ氏といったテック界の起業家たちが評価したことで知られるようになった。こうした学習にシフトした学校の多くは、資金力のある学校だ。
要するに、人口で最も大きな割合を占めるミレニアル世代の志向が、ここでもアメリカを支配している。レストラン・チェーンや日用品業界に大きな影響をもたらしてきた彼らは今、教育者たちに教育のあり方を再考させている。
エルモア氏が高校で講演を行うと、教師たちは、授業よりもスマホに関心が高い生徒たちとどう接していいか、わからないと訴えるという。人に聞くより「ググる」というミレニアル世代の傾向が、既に高校生にも表れていると同氏は解釈する。
しかし同時に、こうしたデバイスを遠ざける余地はまだあるとも考えている。
「私も自分の成長過程で、思った以上に父から多くのことを学んでいました。ただ、それは父が講義をしてくれたわけではなく、車のオイル交換をどうやるかとか、お店でどう値切るかとか、近くで見ることで学んだのです」
[原文:Millennials think they learn more from tech than people — and that's a big problem for schools]
(翻訳:Ito Yasuko)