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エヌビディア(Nvidia)は仮想通貨の盛り上がりの恩恵を受けた会社の1つだが、このところ、スローダウンしつつある。
第2四半期(7月30日に終了)の収支報告によると、同社のチップを大量に購入するイーサリアムなどの仮想通貨のマイナー(採掘者)による売上高は、1億5000万ドル(約160億円)にのぼった。RBC Capital Marketsのアナリスト、ミッチ・スティーブス(Mitch Steves)氏によると、同四半期において採掘速度は1秒あたり約55テラハッシュ向上した。
だが同氏によると、第2四半期、採掘速度は以前ほど速くなってはいない。これは同社のビデオカードを購入する採掘者が減少し、同社は仮想通貨の採掘ブームの恩恵を以前ほど見込めないことを意味している。
第3四半期では現時点まで、採掘速度の向上は1秒あたり15テラハッシュに留まっている。これは同社にとって4000万〜4500万ドルの売上に相当する。採掘速度の向上は、エヌビディアおよびその他の会社のビデオカードが採掘作業に投入された結果だ。採掘者は採掘速度を向上させるために競うようにビデオカードを入手し、採掘によって得られる報酬を増やそうとしている。急激な需要の増加により、エヌビディアのカードは品切れ状態となっている。
同氏によると、イーサリアムの報酬の確定方法が今年、早いうちに変更される可能性がある。多くの電力を必要とする「プルーフ・オブ・ワーク」方式から新しい「プルーフ・オブ・ステーク」方式に切り替わる見込みだ。新システムが導入された場合、エヌビディアの強力なチップの必要性は大幅に減少するだろう。すなわち、同社が仮想通貨から受けていた恩恵も減少することになる。
エヌビディアは仮想通貨の動向に注意を払い、同社にとって重要な分野と位置づけているが、同社の真の狙いはここにはない。同社は「Volta」と呼ばれる新しいチップアーキテクチャーをリリースし、データセンターや機械学習の分野で高い人気を誇っている。Voltaの生産はまだ始まったばかり。市場に新しく登場したこのチップは大きな成長を遂げる可能性があるとスティーブス氏は語った。
同社はまた、自動運転の実現に向けて、トヨタやボルボとの提携を発表した。この分野も今後、継続的な成長が見込める分野だとスティーブス氏は考えている。
「仮想通貨はまだ終わっていない」
イーサリアム、ビットコイン、ビットコインキャッシュは今年、いずれも爆発的に価格が上昇している。だが、仮想通貨の盛り上がりは、エヌビディアには無縁のものになるかもしれない。
スティーブ氏はエヌビディアの株を「買い」とし、目標価格を175ドルとした。
同社の株価は今年、62.99%上昇している。
Markets Insider
[原文:Nvidia's boost from cryptocurrencies is slowing down]
(翻訳:まいるす・ゑびす)