幅広い分野の知識を持ち、組織全体を俯瞰して見る能力の高いゼネラリストか。それとも、ひとつの専門分野だけを極めるスペシャリストか......。
自分はどちらを目指すべきか、またはどちらの人材を採用すべきかという議論は、これまでにも幾度となく交わされてきました。
もちろん、どちらにもそれぞれ長所と短所があるのですが、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツの答えはこうでした。
「ゼネラリストよりスペシャリストだ」
LinkedIn創業者レイド・ホフマンが公開した最新のポッド・キャストには、友人のビル・ゲイツと人材について意見を交わしている様子が収録されています。
そのなかで、ホフマンが「若い頃の自分に、どんな人材を採用するべきだとアドバイスするか?」という質問をゲイツに投げかけたところ、彼はこのように回答しました。
ゲイツはこの質問に対し、特定の分野について狭く深い知識を持つ人を採用するべきだった、と答えた。たとえば、セールス・マネジメントなどだ。(中略)
「自分の専門分野とは違う深い知識に対する敬意というものを、その頃の私はあまり持っていなかった。良いマネジメントというものに対して、何が本当に良いマネジメントなのかということに対して充分に敬意を払えていなかったと思う」
「TIME」より翻訳引用
そして、この対談で、ゲイツは「キツネよりもハリネズミだ」という表現を使用していました。
これは、ギリシャの詩人アルキロコスの「キツネはたくさんのことを知っているがハリネズミはでかいことをひとつだけ知っている」という言葉からきている比喩で、政治哲学者アイザイア・バーリンの著書『ハリネズミと狐』のベースにもなっています。
イノベーションを起こすのはハリネズミ
日本の採用の場では、長らく「コミュ力」や「協調性」など組織全体でうまく立ち回れる能力を最重視して人を採用してきました。しかし、最近ではそれが失敗だったのではないかという意見も上がっています。
また、マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクなど、テクノロジー分野で大成功を収めた起業家の特徴にもある共通点があると言われています。
テクノロジー投資家のピーター・ティールはジョージ・メイソン大学で火曜日、「成功した起業家の多くは、軽度のアスペルガー症候群の特徴が見られる。つまり、模倣や社交の能力が欠如しているように見える」と語った。
「Washington Post」より翻訳引用
このような特徴を持つ人たちは、コミュニケーション能力が低く集団行動が苦手である一方で、ひとつの物事に執着し驚異的な集中力を発揮します。たしかに、イノベーションを起こす起業家や発明家には、そういう性質がないと無理かもしれません。
もちろん、調整能力の高い潤滑油的な人も組織にとってはとても大切でなくてはならない存在です。
しかし、すべてにおいて小器用なタイプよりも、少し偏っているけど、好きなことには寝食忘れて没頭するようないわゆる「オタク」タイプの人の方が、長い目で見ると大きな価値を生み出すのかもしれません。
photo by Getty Images
cafeglobeより転載(2017年8月26日公開の記事)