元CIA副長官マイケル・モレル氏
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(編集部注:この記事の内容は執筆時点のものです)
2010年から2013年までCIAの副長官を務めたマイケル・モレル(Michael Morell)氏は、トランプ氏の選挙参謀らが、ロシア政府の思惑のもとで動いているとの懸念を表明した。
モレル氏は金曜日にヒラリー・クリントン氏が主催した電話会議にて、ロシア政府による米国情報機関へのハッキングに関し、トランプ氏が独りよがりな自己満足を得ていると激しく非難した。
「私がこの件について深く懸念しているのはトランプ氏の周りにいる人々のことだ。ポール・マナフォート(Paul Manaforts)氏やロジャー・ストーン(Roger Stones)氏、カーター・ページ(Carter Pages)氏らはこれにより深く関わり、ロシアと金銭的な利害関係にある。そして実際にロシア政府のために情報漏洩とその拡散に尽力している」とモレル氏はトランプ氏の元選挙対策責任者と2人の現政策顧問について言及した。
モレル氏は民主党の大統領候補クリントン氏を支持している。
共和党候補のトランプ氏は今回の選挙戦で明確にロシアを擁護し、ある時はロシア系ハッカーにクリントン候補の電子メールを暴くよう勧めさえした。またトランプ氏を「極めて才能のある人物」と評するロシアのプーチン大統領に対する好意も表明している。
「プーチン大統領の術中にはまるトランプ氏の動機はただ1つであり、それこそ私が憂慮していることだ」とモレル氏は述べる。
「トランプ氏がプーチン大統領に取り入る理由は、プーチン大統領が巧みにトランプ氏を操っているからだと確信している。プーチン大統領はどうすればトランプ氏をうまく動かせるかを解き明かして実行し、トランプ氏はそれに応えている」
モレル氏はトランプ氏について「プーチン大統領が何をしようとしているのか理解していない」と語った。
「トランプ氏はほぼ毎日、プーチン大統領の思惑通りに動き続けている」とモレル氏は言う。
また彼はトランプ氏が米国大統領選挙へのロシアの干渉を助長していると批判した。
「私見だが、むしろ彼はロシアの干渉を支援している。選挙集会でトランプ氏はウィキリークスの文書を読み上げ、盗まれた文書を読むことを人々に奨励した。彼は民主主義に対する攻撃を助長している。これは驚くべきことであり、衝撃的なことだ」
米国国土安全保障省と国家情報長官室は先週、民主党に対するハッキングについて、ロシア政府を非難する正式なオンライン声明を出した。声明は米国の政治団体を標的とするサイバー攻撃は「当国の大統領選挙に干渉することを意図している」と述べ、ハッキングの指示を出したロシア政府高官らについても指摘した。
モレル氏は、一連のハッキングは「ある大統領候補に最大限のダメージをもたらす」こと、つまりクリントン氏にダメージをもたらすことを目的としていると述べた。
「アメリカの歴史で、選挙に干渉したとして政府が他国政府を非難した例が1度でもあっただろうか。これは前代未聞であり、情報機関の当局者として震撼する思いだ」
現時点でトランプ氏は、ハッキングに関するロシアの関与を認めていない。
「これはロシア情報機関による単独行動ではない」とモレル氏は指摘する。
「これはロシア政府が高いレベルで関与している。プーチン大統領が情報機関を管理するやり方が実践されている。彼は徹底的な管理主義者だ。彼がすべての黒幕であり、彼が許可し、指揮していると100パーセント、確信している」
[原文:Former CIA director accuses Trump allies of 'working on behalf of the Russians']
(翻訳: 小池祐里佳 )