ウーバーがコスロシャヒ氏を選んだ理由は何だろうか?
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ウーバー(Uber)は8月27日(現地時間)、予想外の人物をCEOに指名した。エクスペディア(Expedia)のCEOダラ・コスロシャヒ(Dara Khosrowshahi)氏だ。
同氏が指名に応じれば、非上場テック系スタートアップの中で、最も企業価値の高い企業を率いることになる。現在、ウーバーの企業価値は、600億ドル(6兆6000億円)を超える。だが同時に、経営レベルで数カ月、論争と後味の悪い内輪もめが続いた同社を安定させるという重責を担う。
ウーバーがコスロシャヒ氏を選んだ理由は何だろうか?
コスロシャヒ氏は現在、48歳。12年間にわたって、ワシントン州ベルビューに本拠地を置くエクスペディアのCEOを務めてきた。つまり同氏はそのキャリアをシリコンバレーではなく、シアトルのテック業界で築きあげてきた。どちらもテック業界の重要地域だが、その間には多少のライバル意識がある。
アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏やマイクロソフト関連の大物は別として、シアトルのテック業界のリーダーたちは、シリコンバレーのリーダーたちほどの知名度がない。だからこそコスロシャヒ氏は、シリコンバレーの人たちが同氏の将来を取り沙汰することなしに、ウーバーのCEOに指名されることになった。
実際、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ (HPE)のCEOメグ・ホイットマン(Meg Whitman)氏やゼネラル・エレクトリック(GE)の前CEOジェフ・イメルト(Jeff Imelt)氏など、名のある候補者をめぐる憶測やリークが数週間続いた後で、コスロシャヒ氏が選ばれたというニュースを聞いた多くの人の頭には同じ単語が浮かんだはずだ。「誰?」と。
コスロシャヒ氏はテック業界の有名人ではないが、エクスペディアでの長年にわたる在任期間を通じて、非常に素晴らしい経営を行ってきている。同社の売り上げは2005年の21億ドルから、2016年には87億ドルに伸びた。同氏は、エクスペディアをアメリカ最大のオンライン旅行代理店に成長させ、その傘下にHotels.com、Orbitz、Trivago、HomeAway、Travelocityといった旅行サイト、貸し別荘やレンタカーのサイトを収めている。
同氏は、イランで生まれ、幼少期にアメリカに移住。ニューヨーク州で育ち、現在はアメリカ国民だ。LinkedInのプロフィールによると、ブラウン大学で電気工学の学位を取得している。エクスペディアを経営する以前には、テック業界の大物、バリー・ディラー(Barry Diller)氏のネット&メディア企業IACでCFOを務めた。エクスペディアは2003年、IACに買収されたが、2005年にコスロシャヒ氏が率いて独立した。
率直に発言していく姿勢
IAC以前、コスロシャヒ氏は金融業界でキャリアを積み、投資銀行Allen & COに7年間勤めた。
優秀なリーダーとして評価が高く、Glassdoorによると、93%の人が同氏を評価している。
コスロシャヒ氏は、テクノロジーが世界を変えるという強い信念を持っていることで知られている。例えば、最近は音声検索に大きな関心を示し、自宅では数種類の音声アシスタント端末を使っていると7月、ファイナンシャル・タイムズに語っている。同氏は、旅行プランをすべて音声で予約できるようにすることを考えている。
また、同氏はトランプ大統領に対して批判を表明することを恐れない。大統領の移民政策は旅行業界に不透明感をもたらしている。
トランプ大統領がシャーロッツビルでの事件に関して、白人至上主義者を明確に非難しなかったことについて、コスロシャヒ氏は「私は大統領がその務めを果たすべく立ち上がる瞬間を待ち続けているが、大統領は繰り返し裏切っている」とツイートした。
政治について率直に発言する同氏の姿勢は、それほど驚くべきことではない。同氏はニューヨーク・タイムズの取締役会に名を連ねている。他にも、スポーツファン向けのアパレルサイトFanaticsで取締役を務めている。
source: Expedia
[原文:Who is Dara Khosrowshahi, Uber's new CEO?]
(翻訳:原口昇平)