トランプ大統領の新補佐官は「戦車」戦のツワモノ

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新しい国家安全保障担当補佐官となる H.R.マクマスター(H.R.McMaster)陸軍中将。

Via Wikimedia Commons

トランプ大統領は月曜日、新しい国家安全保障担当補佐官として H.R.マクマスター(H.R.McMaster)陸軍中将の起用を発表した。この起用で同氏のドラマチックな過去の戦歴が脚光を浴びることになった。

マクマスター陸軍中将の英雄的なエピソードとは、1991年2月、彼が指揮する戦車隊が一方的な勝利を収めた時のものだ。

イラクの砂漠に数カ月にわたって進駐していながら、まだ敵とは散発的な戦闘しかなかったが、マクマスター大尉 (当時)はイラク・クウェート国境付近において、M1A1戦車9台とM2ブラッドレー歩兵戦闘車12台を指揮して敵陣に攻め込んだ。

午後4時18分ごろ、マクマスター大尉が指揮する戦車隊は、砂嵐で視界が限られる中、「ほとんど気づかれないうちに砂丘に上り」、敵の戦車群の位置を発見、特定した。

米陸軍ウェブサイト内のマクマスター氏の回想記より抜粋した当時の様子。

「わたしは瞬時に8台の戦車が堀の中で戦闘位置についているのを発見した。砂塚が車両の前にあるのは裸眼でも十分確認できた。彼らは我々が砂塚を上って来た時に不意打ちできるように、巧妙に砂丘の裏斜面に位置していた。それでも我々は奇襲攻撃をかけることができた。我々はその日、すでに敵の偵察機を破壊済みだったが、砂嵐のために我々を見ることも、我々の音を聞くこともできなかったはずだ」

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米陸軍M1A1エイブラムス(Abrams)戦車。2014年2月19日、アメリカ中央軍駐留地での演習。

US Army photo by Sgt. Marcus Fichtl, 2nd ABCT PAO, 4th Inf. Div.

視界に現れたイラク軍のソ連製T-72戦車8台に対して、マクマスター大尉は部下にこれらの戦車を破壊するよう命じた。ほんの数秒でマクマスター大尉と彼の部隊は敵の戦車の何台かを破壊した。そしてイラク軍が気づいて反撃する前に砂丘を登り、敵に向けてさらに砲撃を行った。

マクマスター大尉が乗ったエイブラムス戦車の乗員は、前面にある装甲鋼板を常に敵の砲撃の方向に向けながら地雷原を進むことに苦労したが、イラク軍の一斉砲撃はマクマスター大尉の戦車には届かなかった。

敵の戦車や歩兵団の銃撃、携行式ロケット弾による激しい攻撃を受けながらも、午後4時40分までには「我々は4kmにわたる敵の防御陣を攻め、23分で我々の部隊は敵陣を燃え盛る車両の列に変えた」とマクマスター氏は回想記に記している。

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湾岸戦争で破壊されたイラク軍戦車。

Public Domain via Wikipedia

マクマスター大尉の部隊は、30分もかからずにイラク軍の戦車25台、装甲兵員輸送車16台、トラック30台を破壊した。この戦果で当時、新しく実践投入されたM1A1エイブラムス戦車の有効性を立証した。部隊のメンバーにとっても貴重な実戦経験になった。

source:Wikimedia CommonsUS Army、Wikipedia

[原文:Inside the epic tank battle that molded Trump's new national-security adviser

(翻訳:Conyac

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