いつでも声をかけてもらって構わないと言うマスク氏。
AP Photo/Jack Plunkett
テスラとスペースXのCEOイーロン・マスク氏は、難題にも果敢に挑戦することで知られている。同氏が経営する企業は、宇宙服から自動運転車、ロサンゼルスの地下トンネルまで、様々な分野に取り組んでいる。
そして、どうやらコミュニケーションの問題にも取り組んでいるようだ。
ニューサイト「Inc.com」のジャスティン・バリソ(Justin Bariso)氏が入手したテスラの社内メールで、マスク氏は従業員に対し、管理職を通してメッセージのやり取りをする、現在も多くの企業で見られる伝統的な指揮系統を捨てることを推奨している。
「このやり方は管理職の権力を増幅させるだけで、会社のためにはならない」
「ある部署で問題を発見した人間が、別の部署の人間と直接話し、正しく対応できれば、問題はすぐに解決するだろう。ところが従来のやり方では、問題を発見した人間はまず上司に報告し、その上司はまたさらに上の管理職に報告し、その管理職が別の部署の管理職に相談し、その管理職が自身のチーム内の誰かに話さなければならない。必要な情報は同じプロセスをたどって返ってくる。極めてバカげている。(テスラには)このようなことを許す、ましてや推奨する管理職に居場所はない。冗談抜きで」
代わりにマスク氏は、会社にとって最善の方法を取るためなら、必要に応じていつでも、誰とでも、コミュニケーションを取るよう薦めている。
「テスラで働く全ての人間は、会社全体の利益のために最も速く問題を解決する方法を考えた上で、そのために必要なら、誰とでも相談し、メールをして良いし、そうするべきだ。上司の上司に直接相談するのに、上司の許可はいらない。その相手が別の部署の部長や私でも同じだ。誰かと話すのに、他人の許可は必要ない」
その上で、マスク氏は「物事を迅速かつ確実に実行する」ためにも、従業員たちにはむしろ「問題解決に至るまで、必要な相手と、必要なコミュニケーションを取る義務がある」と考えて欲しいとも記している。
このメールは「数年前」に従業員宛てに送られたものだとバリソ氏は報じており、テスラもこれを認めている。
テクノロジーや宇宙探査分野の最前線で戦う企業にとって、「コミュニケーション」は後回しで良いと思われるかもしれない。しかし、どうやらマスク氏は、質の低いコミュニケーションが会社の発展の妨げとなることを認識していたようだ。失言を繰り返す従業員がいたり、同僚から尊敬を得られないような環境で、どうやって何かを成し遂げられるだろう?
もし、従来の指揮系統を捨てても、コミュニケーションが改善しないのであれば、マスク氏の次のプロジェクトを待つしかない。同氏は人間の脳とコンピューターを接続すべく、2700万ドル(約29億7000万円)の資金調達に成功している。
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[原文:In internal Tesla memo, Elon Musk says the way most companies communicate is 'incredibly dumb']
(翻訳:Yuta Machida)