大企業も取り入れるマインドフルネス——鎌倉のイベントに大勢参加したのはあの職業

シリコンバレーでいま注目されているマインドフルネス。仏教の禅の思想から宗教的要素を排した考え方で、瞑想をすることでストレスや不安をやわらげ、クリエーティビティを発揮できるという。グーグルやインテルなど、有名企業の研修でも取り入れられている。

(関連記事:シリコンバレーで広まる「ウェルビーイング」思想を僕が鎌倉で実践する理由

そんな中、禅の聖地・鎌倉にて、2017年9月2日から3日にかけ、マインドフルネスの国際カンファレンス「Zen2.0」が開催された。

建長寺

建長寺と鎌倉学園で行われた、初のマインドフルネス国際カンファレンス「Zen2.0」。

「マインドフル・ビジネス」の中心地を鎌倉に

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株式会社enmono代表取締役 三木康司さん。

提供:Zen2.0実行委員会

「モノやサービスはもはや飽和状態。次のビジネスの市場は『人の心をどうアップデートするか』に移っていく」と話すのは「Zen2.0」の主催者、三木康司さんだ。

三木さん自身、リストラされうつ状態になっていたとき、YouTubeで「心を落ち着かせる方法」と検索し、偶然瞑想に行き着いたという。ストレスフルな現代人にとって、心を整え、目の前のことに全力投球するためのノウハウは広く求められている。

実際、マインドフルネスを活用したビジネスはいまさまざまな分野で活用が期待されている。例えば瞑想のためのIoTデバイス、マインドフル教育、予防医学などのヘルスケア分野、さらにはコンテンツ産業や観光に至るまで、シリコンバレーを中心にビジネスが次々と生まれている。

Techcrunchが報じたところによると、マインドフルネス関連のスタートアップは今までに1億5000万ドル(約163億円)以上を調達。三木さんは、この市場規模は今後さらに膨れ上がっていくとみている。

建長寺

「ドラッカーの禅:マインドフルネスとセルフマネージメントの実践について」という講演。参加者はコンサルタントが多かったそう。

世界的ブームに先駆けて開催された「Zen2.0」。講演プログラムには、スタンフォード大学のウエルネス教育心理学者スティーブン・マーフィ重松氏やドラッカー経営大学院のジェレミー・ハンター准教授など、海外からも参加。来年の開催もすでに決定し、ゆくゆくは世界中から講師を集めた「マインドフル・スクール」や、マインドフルネス関連企業への投資事業なども構想している。

「今後、確実に世界的な波がくる『マインドフル・ビジネス』。そのムーブメントを、マインドフルネスの源流である鎌倉から、興していきたい」(三木さん)

大企業も「人間力」育てるため活用

「自由が丘に住み、高いスーツを着て、社会的に見れば『勝ち組』だった自分。でも、あるとき電車内で人にぶつかり、ひどい対応を取ってしまった。その時の感覚は今でも忘れられない。『オレ、ダサいな、幸せじゃないな』と、強く思った」

講演の様子

清水ハン栄治さんによる「ちょっとだけ死んでみましょう」というタイトルの講演。瞑想をしながら死をイメージする。

そう参加者に語りかけるのは、イベントの登壇者の一人でもあり、マインドフルネスを使った人材研修のセミナーなども手がける清水ハン栄治さんだ。

ロジカル・シンキングやプレゼン技術といったセミナーだけではなく、「人間力」を鍛えてほしい、というニーズは、企業の人事担当を中心に強まっている。

「いまのビジネスパーソンは例えるなら、アプリはたくさん搭載しているけれど、それを使いこなすためのOSがショボショボ、という状態なんですよね」(清水ハンさん)

今日のビジネス環境は、非常に不確実で予測不可能だ。先の読めない状況下で「正しい」決断を下すには、頭でっかちのスキルではなく、どんな時も臨機応変に対応できる心のありようが求められる。そのための有効な手段がマインドフルネスだ、と清水ハンさんは説明する。

「まだ波は始まったばかり。去年までは人材研修セミナーの依頼も最先端企業が多かったけれど、今年から、新聞の一面に載るような大企業がこぞってマインドフルネスに本腰を入れるようになったという印象。これから、人材育成のデフォルトになっていくと思う」

ちなみに主催者の三木さんによると、イベントの参加者はコンサルタントが多かったそうだ。

スティーブ・ジョブズも機内での瞑想を活用

ANAの瞑想ブース

「乗ると元気になるヒコーキ」というプロジェクトの一環でつくられた、ANAの瞑想体験ブース。写真左はこのプロジェクトを主導した小野澤綾花さん。

今回のイベントの協賛企業として、瞑想体験のブースを設置していたのがANAだ。

「wi-fiにつながる飛行機も増えてきていますが、まだまだ機内はデジタル環境から隔離された空間。でもそれって逆に、現代社会ではすごく貴重なことだと思うんです」

ANAホールディングスのデジタル・デザイン・ラボで新規事業開発などを担当する小野澤綾花さんはこう語る。

飛行機での旅とはそもそも、旅先でのパフォーマンスを最大化すべきもの。スティーブ・ジョブズも機内での移動中は瞑想をし、仕事の生産性を高めていたと言われている。航空会社としてこれをどのようにアプローチしようか考えていたとき、小野澤さんが出合ったのがマインドフルネスだった。

ANAの瞑想体験ブース

瞑想の結果咲いた「CREATIVE FLOW_ER」の意味は、スクリーンに映し出される。年明けをめどに、機内での試験的な導入を検討している。

瞑想体験では、あらかじめ脳波測定器が頭に取り付けられる。コミュニケーションロボ・CRE=P(クリップ)くんのガイドに従い瞑想をしていくと、脳波に合わせて「CREATIVE FLOW_ER(クリエイティブ・フラワー)」という花が咲く仕組みだ。

『お客様に快適に機内を過ごしていただく』という意味で機内の空間とマインドフルネスはとても親和性が高い。専門家と協力しながらプログラムをつくり、私たちの取り組みの一つとして広く知っていただきたいですね」(小野澤さん)

鎌倉で芽生えた「マインドフル・ビジネス」の種。近いうち、鎌倉が「マインドフル・シティ」として世界に広く知られるようになる日が来るのかもしれない。

(撮影:西山里緒)

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