車は買わない? 配車サービスが変えた大都市の交通 —— テキサス州で調査

「Proposition 1(提案1号)」賛成・反対看板

企業にドライバーの指紋に基づく身元調査などを義務付ける厳しい規制 「Proposition 1(提案1号)」をめぐっては、賛否両論だった。写真は賛成派と反対派それぞれの看板(2016年5月撮影)。

Reuters/Jon Herskovitz

配車サービスの最大手企業はこれまで、同サービスが都市部の住民により安価で効率的な移動手段を提供することで、自動車の所有者は減っていくと主張してきた。

そしてこの主張が、ミシガン大学交通研究所(UMTRI)やテキサスA&M交通研究所(TTI)、コロンビア大学が最近発表した合同研究によって、支持された。

配車サービス大手のウーバー(Uber)とリフト(Lyft)は、テキサス州の州都オースティンで、2014年以来サービスを提供してきたが、2016年5月、同市から撤退した。配車サービス企業にドライバーの指紋に基づく身元調査などを義務付ける厳しい規制 「Proposition 1(提案1号)」 が市民に支持されたからだ。

しかし、この規制を無効にする法案がテキサス州議会で可決されたことを受け、ウーバーとリフトは今年5月、同地でのサービスを再開した

これにより、2社が同市でのサービスを一時停止していた間、配車サービスに慣れ親しんだ人々の習慣がどのように変化したのかを研究する希有な機会が生まれたのだ。

この研究では、オースティンの市民1200人を対象にアンケート調査を行い、ウーバーもしくはリフトを利用する際、通常どのような目的で使っていたかを質問した。その上で2社がサービスを停止している間、同じ目的を果たすためにどのような手段を利用していたのかを聞いた。

すると、ウーバーとリフトが利用できなくなったことで、調査対象者の41%は、自身が所有する車の利用を再開していた。このうち9%は、2社のサービス抜きで生活するために、わざわざ新しく車を購入していた。

そして42%は市内で利用可能な別の配車サービスに乗り換えていた。ウーバーとリフトが不在の間に、アーケード・シティ・オースティン(Arcade City Austin)といった地域密着型のサービスや中小規模のアプリがオースティン市で広がりを見せた。

そして、調査対象者の3%のみが公共交通機関の利用に切り替えていた。

この結果から分かるのは、ウーバーとリフトは車を所有する必要性というよりも、既に所有している車の利用頻度を減らすということだ。そう語るのは、この研究の筆頭著者であるロバート・ハンプシャー(Robert Hampshire)氏だ。

「調査対象者の大部分は、すでに車を所有していたが、さほど利用していなかった。しかし、ウーバーとリフトが去って、彼らは所有している車をより頻繁に利用するようになった」

大手配車サービスの不在により、車を買う必要性を感じた人が約100人いた点も注目に値するだろう。また、ウーバーとリフトが撤退してる間に車の利用頻度が増加した人の数を比べると、自身が所有する車の利用を再開した人の方が、アーケード・シティ・オースティンなどの地域密着型サービスに乗り換えた人よりも23%多かった。

「個人的に一番興味深かったのは、自身の所有する車の利用に切り替えた人の運転頻度が大幅に上昇した点だ」とハンプシャー氏はコメントしている。

リフトのドライバー

Kelly Sullivan/Getty Images

同氏はまた、1回の乗車にかかるコストを意識させることで、車の利用頻度を減らすよう促すことができるかもしれないと指摘する。一度車を購入してしまえば、運転量については考えない人がほとんどだ。

これらの事実は、日に日に悪化する渋滞問題に手を焼く主要都市にとって、朗報かもしれない。もし人々がリフトやウーバーを本当に必要な時にのみ使うものと感じるのであれば、車道を走る車の量は減少するはずだ。そして、決して多くはないものの、2社のようなサービスが存在することで、そもそも車を購入することを見送る人が出てくるかもしれない。

一方で、ハンプシャー氏はほとんどの人が公共交通機関を選ばなかったことに驚いたと言う。

「オースティンでは、公共交通システムが他の都市ほど構築されていないので、現実的な選択肢とは見なされないのかもしれない」

自動車メーカーたちは、都市部において車を所有する人がいなくなる日に向け、備え始めている。中でもゼネラル・モーターズは2016年、独自のカー・シェアリングサービス「Maven(メイブン)」を開始。その主な利用者層はミレニアル世代だ。彼らは、ニューヨークやサンフランシスコといった地価の高い都市で、車を所有することに消極的になっているのかもしれない。

ただし、全てを鵜呑みにはしない方が良さそうだ。

確かに配車サービスアプリを理由に自動車の所有を諦める人が相当数出てくれば、渋滞の緩和につながるだろう。しかし、リフト・ライン(Lyft Line)やウーバー・プール(UberPOOL)などの相乗りサービスの利用者が増えない限り、結局配車サービスは単独利用の車を増加させる。

ハンプシャー氏によると、ウーバーとリフトを主な移動手段に利用していた調査対象者のうち、相乗りオプションを利用すると答えたのはたった12%のみだった。

また研究結果は、公共交通機関へのアクセスの良し悪しで、都市毎に異なるかもしれない。

いずれにせよこの研究は、配車サービスの普及に伴い、大都市ではマイカーを持たない選択肢が取りやすくなることを示唆している。

[原文:Uber and Lyft could destroy car ownership in major cities

(翻訳:Yuta Machida)

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