日本で参入者増えるライブ配信、中国では「キャバクラ化」に批判

中国ではユーザー3億人以上を擁し、日本でも参入企業が相次いでいるライブ配信サービス。海外の運営事業者がアジア展開の一環として日本にも上陸する一方、中国ではプラットフォーム粗製乱造の結果、メインユーザー層の若者から「低品質のコンテンツ」「楽して金を稼ぐ配信者」への反発が高まり、当局の締め付けも厳しくなっている。

記者会見の様子

17 Liveの日本進出記者会見に出席した配信者「ライバー」とM17 Entertainmentの田中章男前CEO(右)

ライブ配信SNSアプリ「17 Live」を運営するM17 Entertainment(本社:台湾)は9月7日、本格的に日本進出すると発表した。東京都内で開いた記者会見では、同メディアでトップレベルの人気を集める男女の「ライバー」が、ライブ配信を実演。数分間の配信中に、女性ライバーには視聴者から数百万円相当の「ギフト」が贈られた。

17 Liveは2015年7月にサービスを開始。同社によると「2015年9月には中国、アメリカのAppStoreで人気トップになり、248日で1000万ダウンロードを達成したアジア最大級のライブ配信サービス」で、現在までに3000万回ダウンロードされたという。

ライブ配信サービスは「アカウントを登録すれば、誰でも配信可能」「視聴者がバーチャルギフトを購入し、応援したいキャスターにプレゼントできる」という仕組みで、年収数億円を稼ぐ配信者を生み出し、中国で3億人がユーザー登録するなど短期間で一大産業となった。

台湾資本の17 Liveも、現地メディアによると、中国人著名投資家が出資し、昨年北京にオフィスを設立するなど、中国で急成長していた。

アプリの画面

17 Liveのアプリの配信者一覧画面。中華系ライブ配信の配信者は若い女性が圧倒的に多い。

しかし、日本進出の会見では触れられなかったが、17 Liveは今年に入り、中国でダウンロードおよび閲覧ができなくなっている。同社はアプリが累計3000万ダウンロードされたと発表しているが、そこには相当数の中国本土のユーザーが含まれ、戦略の見直しを進めている可能性が高い。

17 Liveが中国で利用不可能となっていることについて、記者会見に出席したM17 Entertainmentの田中章男前CEOは、「中国のルールと、当サービスの方針は一致せず、中国市場は捨てることにした。東南アジアや日本など中国本土以外で成長を加速する」と語った。

中国で盛り上がっている「ライブ配信」のコンテンツは、女性が日常生活を紹介したり、おしゃべりし、プレゼントをもらうたびに「ありがとう」とお礼を言う内容が多い。

17 Liveはリリース間もない2015年にアップルストアがアプリを一時削除した。報道では、性的動画が大量に配信されたことが原因と指摘されている。その後、運営会社はコンテンツの監視を強化し露骨なアダルト動画は姿を消したものの、17 Liveに限らず中華系ライブ動画の配信者一覧には、胸の谷間を露わにした女性のプロフィール写真が目立つ。

日本のエンターテイメントにも詳しい中国人大学生は、「中華系ライブ配信にも、プロのダンサーや歌手を目指して芸を披露する配信者もいるが、多くの人がイメージするのは、若い女性が外見の魅力を武器にお金を稼ぐコンテンツだ。日本だったら、外見がかわいいとか、きれい、セクシーだけではだめでしょう。AKB48だって、必死に努力しているから応援してもらえる」と語る。

(17 Liveがインターネット上で公開している広告動画)

ライブ配信の秩序なき増殖に、中国当局も2016年から規制に乗り出している。

運営事業者にさまざまな書類の提出を求めアダルト要素が含まれる内容が確認されれば、一発でサービス停止に処せられることもある。中国当局は今年7月、1~6月にかけて不適切な内容が確認されたとして、73のライブ配信(中国語で「直播」)プラットフォームを閉鎖したと発表した。政府によるインターネットコンテンツ規制は、国民の不評を買っているが、今のライブ配信のコンテンツに対しては、視聴者層の若い中国人からの批判も高まっている。

17 Liveの日本版を運営する日本法人によると、日本での事業は台湾のサービスをそのまま持ち込む形で、日本独自の基準は設けない。配信者の動画は、人の目でチェックし、不適切な内容が配信されないよう注意を払っているという。

(取材協力、撮影:孫坤楊)

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