Amazon
ホールフーズの買収以来、アマゾンはここ数週間で競合他社の評価額を数十億ドル単位で下げている。投資家たちは他の食料品店への投資を控え、アマゾンの下でホールフーズが生まれ変わるのを待っている。
だが、アマゾン最大の秘密兵器は、会計ロボットでも、ドローンや機械学習でもない。Amazonプライムだ。
「我々は、アメリカのプライム会員の80%(3800万人)は、ホールフーズで買い物をしていないと考えている」モルガン・スタンレーのアナリスト、ブライアン・ノワック(Brian Nowak)氏は、最近のレポートにこう記した。「今回のケースでは、利便性の向上が何よりも効果的だろう。我々は、アマゾンが注文から1~2時間で商品を配送するPrime Nowをホールフーズに導入すると見ている」
プライム会員の制度は、オンライン小売業界におけるアマゾンの優位性を高めるのに、何よりも貢献している。その会員は非会員に比べ、より多くの金額を使って、より多くの商品を購入している。そして、アマゾンはこのサービスに次々と新しい機能を追加している。ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC Capital Markets)の最近の調査によると、93%のアメリカ人にとって、買い物をする際の第一候補はアマゾンだ。
そしてホールフーズでの値下げを行った後、アマゾンは秘密兵器であるプライムサービスをホールフーズの店舗に導入し始めるだろうとノワック氏は言う。同氏は、これがホールフーズの将来の成長の3分の1を生み出すと考えている。
ノワック氏の見方はこうだ:ホールフーズは2022年にかけ、年率12%で売り上げを伸ばす。その一部は、アマゾンがホールフーズを通じて、Prime Nowの対象商品を増やすことでもたらされる。顧客はオンラインで購入した商品を、これまで数日かかっていたのが数時間で受け取ることができる。
Prime Nowのトップページには、既にホールフーズのバナーが掲載されており、ユーザーは今回の買収によって、ホールフーズのお買い得商品を求められるようになった。広告には、アマゾンは毎週、ホールフーズから新商品を追加していますと書かれている。
ノワック氏は、Prime Nowは粗利率6%前後で運営できるだろうと言う。ホールフーズの全店舗にPrime Nowを導入するには、3年以上、約7500万ドル(約83億円)が必要だ。
だが、同氏はAmazonプライムによる売り上げの増加を見込む一方で、同社がマシン・ビジョン(機械視覚)への投資を行うのは、まだ先のことになるだろうと見ている。この技術は、アマゾンの無人店舗「Amazon Go」のテストストアで、レジいらずの買い物を実現させている。
ノワック氏は、こうして全体で年間の営業利益は1億ドルから3億ドルになるだろうと予測している。アマゾンは今年に入ってから、既に31.47%伸びている。
アマゾンの最新株価はこちら。
[原文:Amazon is bringing its biggest weapon to Whole Foods to make sure it succeeds ]
(翻訳:まいるす・ゑびす)