子どもの成功の秘訣は? 5000人の天才を45年間追跡して分かった6つのこと

スティーブ・ジョブズ氏

どう育てれば、子どもは成功できるのか?

Seth Wenig / Reuters

何千人もの非常に優秀な子どもたちを、45年にわたって調査し続けた結果、どう育てればその子どもたちが成功できるのか、少しずつわかってきた。

中でも大きな発見は、天才級のIQを持つ子どもでも、その能力を最大限に引き出すには、それを手助けする教師が必要だということだ。

1971年に始まった「数学的に早熟な子どもたちの研究(Study of Mathematically Precocious Youth: SMPY)」は、アメリカの成績優秀者のうち、トップ1%、0.1%、さらには0.01%に入る5000人の子どもたちの追跡調査を行ってきた。天才児研究の歴史において、最も長期にわたる研究の1つだ。

その成果を見てみよう。


トップ1%、0.1%、0.01%の天才児は、並外れた人生を歩む

手術

Phalinn Ooi/Flickr

SMPYではまず、大学入試試験SATやIQテストを用いて、子どもたちの知能を測定。その後、大学進学や職務経歴といった項目を加えた。

その結果、天才児のほとんどが修士号や博士号を取得し、特許を取得する割合も一般に比べ、かなり高いことがわかった。また、その大半が高額所得者のトップ5%に入っている。

「好むと好まざるとにかかわらず、我々の社会を実際にコントロールしているのは、こうした人々だ」と、デューク大学の人材発掘プログラム(TIP)に携わる心理学者、ジョナサン・ワイ(Jonathan Wai)氏は、科学誌ネイチャーに語った

構ってもらえない天才児

授業風景

Flickr Creative Commons

問題は、天才児は教師からほとんど構ってもらえないことだ。優秀な子どもはすでに能力を十分に発揮しており、助けは不要だと教師が思い込んでしまうからだ。 SMPYの研究者らが、教師が天才児にどれほどの注意を払っているか調査したところ、授業のほとんどの時間が、成績の低い子どもを平均レベルに引き上げることに費やされていることが分かった。

SMPYは、教師はカリキュラム通り、画一的に教えるのではなく、それぞれの子どもの能力に応じた個別の授業計画の作成に注力すべきだと提案する。

飛び級は有効

子ども

Flickr Photography by Shaeree

SMPYは、天才児の能力を引き出すために、教師や親は飛び級を検討すべきだと提案する。

天才児の中でも、飛び級をしたグループとそうでないグループに分けて比較したところ、飛び級をした方が、特許や博士号を取得する可能性が60%高く、中でも科学、技術、工学、数学の関連分野で博士号を取る割合は、2倍以上となった。

知能は多岐にわたる

ルービックキューブ

Thomson Reuters

賢さは、暗記をしたり、名前や日付を思い出す能力があることのみを意味するものではない。SMPYでは、複数回にわたるフォローアップ調査で、一部の天才児たちが空間認識能力に優れていることを見出した。

こうした子どもたちは、人体の循環系やホンダ車の内部構造といったシステムを視覚化する能力に秀でている。2013年のフォローアップ調査では、空間認識能力と、特許取得数や査読付き論文の出版本数に強い相関があることが明らかになった。

統一テストが常に無駄とは限らない

マークシート方式のテスト

albertogp123 on Flickr

SATを初めとした統一テストは、教師や親が子どもについて知りたいことの全てを測定できるわけではない。 社会・経済的地位や訓練度合いは引き続き重要な要因である一方で、SMPYのデータはSATやその他の統一テストに、ある程度子どもたちの未来を予測する力があると示している。

SMPYの研究者の1人、カミーラ・ベンボウ(Camilla Benbow)氏は、これらのテストを活用することで、子どもの得意分野を把握し、教師が適切な指導をできるようになると述べている。

できるだけ早く能力を見出し、伸ばす

赤ちゃん

flickr/Paul Inkles

心理学者のキャロル・ドウェック(Carol Dweck)氏は、成功者はいわゆる「固定的な思考(fixed mindset)」ではなく、「成長思考(growth mindset) 」に従って行動する傾向にあると明らかにした。つまり、彼らは自らを静的な存在ではなく、状況に適応し成長する、流動性を持つ存在として捉えている。

これにはSMPYも同意している。しかし、子どもが幼少期に示す認知能力から、その後の人生でどの程度の成功を収めるかは予測可能だと結論づけ、その間に訓練を行ったかどうかは、関係がないと言う。

子どもの将来を見据え、早いうちから能力を見出し、それをできる限り伸ばすことができるかどうかは、親や教師にかかっている。

[原文:Psychologists studied 5,000 genius kids for 45 years — here are their 6 key takeaways

(翻訳:仲田文子)

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