南スーダンの南部の街イェイの土埃舞う通りを歩く少女(2016年11月14日撮影)。
Associated Press/Justin Lynch
国連食糧農業機関(FAO)の最新の報告書によると、2016年、世界の飢餓は悪化した。紛争、気候変動、政情不安など複数の要因が影響したと言う。
FAOによると、前年に比べ、状況が悪化するのは約10年ぶりのことで、世界の人口の11%が飢餓や、人間の健康・認知力に長期的な影響を及ぼす栄養失調に苦しんでいることが分かった。
「世界の全ての人が食べるのに十分な食料が生産されているにもかかわらず、8億1500万人もの人が未だに飢えている」
国連の報告書によると、慢性的な飢餓の増加に加え、栄養失調状態にある人の数は、2015年の7億7700万人から8億1500万人に増えている。
2000年以降の世界の栄養失調の状況を表したグラフ。赤字が人数で、2014年以降、増加傾向にある。なお、青字は人口に対する割合を示したもの。
Food and Agriculture Organization
「この衝撃的なニュースは2017年、南スーダンが数カ月に及ぶ飢饉に襲われ、ナイジェリア、ソマリア、イエメンといった紛争の影響を受ける国々で、飢饉につながる恐れのある食料不足が確認される中でもたらされたものだ」とFAOは言う。
「こうした食料安全保障の状況はアフリカのサブサハラ地域や東南アジア、西アジアの一部で目に見えて悪化している。これは紛争地域で特に顕著で、エルニーニョ現象や気候変動とも関連する洪水や干ばつがそこに重なることで、より状況が悪化している」スウェーデン、ウプサラ大学の紛争データプログラム(UCDP)によると、2010年以降、世界の非国家間紛争の数は急増している。
また、人口増加や気候変動も、飢餓の撲滅をより困難なものにしている。
「世界が直面している最大の課題の1つは、2050年までに100億人に達すると予測される世界の人口増加に伴う、適切な食料の確保だ」と報告書は述べている。「2050年までに新たに20億人分の食料を確保するには、生産量を世界全体で50%増加させる必要がある」
戦争や紛争の影響を受けていない国でも、商品価格の低下は多くの輸出依存型経済にダメージを与え、最貧困層をさらに苦しめる結果となっている。「入手可能な食料の量は、輸入能力の低下によって影響を受ける。同時に、食料の値上がりから貧困世帯を保護しなければ、食料にアクセスできない人も出てくるだろう」
[原文:World hunger is on the rise despite ample food supplies — and the implications are dire]
(翻訳:まいるす・ゑびす)