ワイヤレス充電から見えた、アップルの大きな弱点

新型iPhoneの最も重要な機能の1つが、ワイヤレス充電だ。iPhone 8にケーブルを接続するのではなく、充電パッドに載せるだけ。

iPhone 8をワイヤレス充電器に載せた様子

iPhone 8をワイヤレス充電器に載せるだけ。

Apple

だが、多くの人が疑問に思ったはずだ。なぜ今、ワイヤレス充電なのか?

2009年以降、PalmやAndroidスマートフォンには、ワイヤレス充電に対応したモデルがあった。新型iPhoneは、サムスンのワイヤレス充電器と組み合わせて使える。だがワイヤレス充電は、ケーブルに接続する場合よりかなり時間がかかる。筆者は以前、アップルも採用したQi規格のワイヤレス充電器を使っていたが、良い印象を受けなかった。

アップルがワイヤレス充電に乗り出したのは、ユーザーエクスペリエンスに関する大きな問題が急浮上したと認識しているからだろう。そう、充電が必要なアップル製品が多過ぎる。

アップルのコアユーザーを考えてみよう。iPhone、Apple Watch、それにAirPodsを所有している比較的裕福なユーザーだ。例えば、アップルのCEOティム・クック氏や、ソフトウエアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)氏のような人たち。

彼らのベッドサイドテーブルを想像してみる。当然、何本ものケーブルに覆われているだろう。アップル製品は毎日充電しなければならないから。まずiPhone用、Apple Watch用が必要だ。そしてAirPods用も。でないと音楽が聴けなくなる。そして、まだiPadやノートPCもある。

ぐちゃぐちゃだ。美しくない。アップル幹部は毎晩、こんな事態に直面しているのだ。アップルは素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供することで高い評価を得ている。だが今では、アップル製品を象徴する白いケーブルがテーブルを覆う事態になっている。

おそらく、これがアップルがワイヤレス充電器の発売を予告した理由だ。ただし発売時期は「来年」とされただけ。アップル製品の製造を担当する工場からの情報によると量産はまだ先のようだ。

アップルのワイヤレス充電器「AirPower」

アップルのワイヤレス充電器「AirPower」。発売時期はまだ明らかになっていない。

Apple

アップルのプロモーション画像にあるように、ワイヤレス充電器「AirPower」はAirPods、Apple Watch、iPhoneを同時に充電できる。アップルが革新したのはここであり、複数のデバイスを充電できることが、この製品のコンセプトだ。アップルのガジェットをAirPowerの上に置くだけでいい。

アップルは将来、このコンセプトを机にも広げて、マウス、キーボード、 Apple TVのリモコンもワイヤレス充電できるようになるだろう。

アップルは何よりもまず、最高のユーザーエクスペリエンスを提供することで高い評価を獲得してきたハードウエア企業だ。同社のハードウエアとソフトウエアは細かいところまで行き届き、シームレスに連動する。だが今は、同社のコントロールの及ばない理由、つまりバッテリー技術の限界やウェアラブル端末の普及によって、至るところでコードが必要になっている。

アップルは、同社の製品を充電できるワイヤレス充電器を作ることで差別化を図ろうとしている。つまり、iPhone 8のワイヤレス充電は、現時点の利便性を追求したものではなく、特にiPhone 8に限ったものでもない。将来の優位性を生み出すためのものだ。

source: Apple

[原文:Apple's decision to add wireless charging reveals a huge weakness with all current Apple products

(翻訳:原口 昇平)

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