ビル・ゲイツ氏にも理解できない。
Microsoft
マイクロソフトは、最先端のコンピューターシステムの開発に多大なリソースを投入している。
量子コンピューターだ。
今、我々が手にしている、どんなコンピューターシステムよりもはるかにパワフルな新しいコンピューターシステム。
9月25日(現地時間)、マイクロソフト・イグナイト(Microsoft Ignite conference)において同社CEOサティア・ナデラ氏は、量子コンピューターに関する同社のビジョンを発表した。量子コンピューターの極めて強力なパワーを使えば、がんの治療方法を見つけたり、気候変動の問題を解決したり、これまで解決が不可能とされてきた問題を解決できる可能性があると強調した。
だが、ナデラ氏とともにウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューを受けたマイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏は、量子コンピューティングの原理は非常に複雑で、同氏ですら理解できないと述べた。
「量子コンピューターはマイクロソフトがスライドで発表したことだが、私は本当に理解できない。私は物理や数学について、かなりの知識を持っている。だが、スライドの内容はまるで象形文字。それが量子コンピューターだ」とゲイツ氏は語った。
ゲイツ氏は、カナダのジャスティン・トルドー首相に教えてもらうべきかもしれない。首相は2016年春、意地悪な記者の質問を受けて、量子コンピューターについて簡潔な講義を行ったことでよく知られている。
「とてもシンプル」とトルドー首相は言った。
「通常のコンピューターは電力があるかないかで機能する。1か0かの2進法だ。量子コンピューターは、1ビットで、はるかに複雑な情報を扱うことができる」
トルドー首相の説明は基本的には正しい。だが、実際の量子コンピューターの原理はより複雑だ。グーグル、マイクロソフト、IBM、そして多くのテック企業がこの分野に巨額の投資を行っており、量子コンピューターをマスマーケットに提供するための激しい競争を繰り広げている。
事実、ナデラ氏は量子コンピューターはマイクロソフトのクラウドコンピューティング戦略にとって重要な要素だと述べた。
「量子コンピューターへの投資は、自明のことだ。なぜなら我々はクラウドコンピューティングに多額の投資を行っている。量子コンピューターは次世代のクラウドだと考えている」
(翻訳:まいるす・ゑびす)