スシローがアジアを攻略する —— 廃棄「100皿に1皿」を可能にしたデータ戦略を進化

回転ずしチェーン「あきんどスシロー」を運営するスシローグローバルホールディングスは、データ分析によって廃棄率を極限まで低下させることで、原価率約50%のすしを提供し、既存店売上高を8期連続で拡大させてきた。

今年3月30日には、8年ぶりに再上場を果たし(前身のあきんどスシローはMBOで2009年上場廃止)、宅配導入や都心店強化など、出店増にとどまらない市場の開拓を加速させている。

海外市場は現在、韓国に店舗を出しているが、2018年にはアジアの新たな国での出店を目指している。水留浩一社長が、Business Insider Japanの8月末の取材で明らかにした。

たくさんの寿司

原価率50%を目標にオペレーションの効率化を絶えず行っている。

あきんどスシロー提供

「低価格で、お財布を気にせず普段使いできる店というのがスシローの考え方。ニューヨークやパリといった場所は考えていません」と水留氏は言う。

「米食文化が浸透し、生魚を食べることに抵抗がないという2つの条件を満たした、寿司に親和性の高いエリアをカバーしていきたい」

スシローはビッグデータやAIという言葉が登場する前から、回転すし総合管理システムというデータを活用した需要予測を行ってきた。時間帯や入店後の経過時間から、どのアイテムがどれほど売れるかを予測してネタを流す。ネタがレーンに乗って350メートル移動すると廃棄するのがスシローのルール。現在の廃棄率は100皿のうち1皿あるかないかだという。

水留浩一社長

スシローグローバルホールディングの水留浩一社長

撮影:今村拓馬

この需要サイドのデータ戦略に加えて、今後は供給サイドのデータと、客のデータをつなげる方法を考えていると、水留氏は話す。

例えば、予約アプリを活用し、ユーザーが食べた物を分析することで、情報の精度を上げていく。食べたい物を事前登録して、席についた瞬間に食べられれば、無駄な時間や廃棄する具材を少なくできる。


ウーバーイーツで宅配サービスを強化

スシローは9月28日には島根県に出店し、全都道府県の出店を実現した。今後、年間30~40店舗のペースで新規出店を計画し、将来的には800店舗体制まで店を増やせるとみている。

これまでは西日本を中心に出店してきたが、今後は出店候補として東日本の方が多くなると、水留氏は語る。東京都心部では、2016年から今年にかけて南池袋店、五反田店をオープンした。この2店舗の1皿の基本価格は他店舗より20円高い120円だ。

「東京には駅がたくさんありますし、駅に近く、かつ、この価格でビジネスとして成立するような場所を探していきます」と水留氏。

出店だけでなく、スシローは宅配サービスの拡充を強化させることで売上高の拡大を図っている。今年6月にはウーバーイーツ(UberEATS)を導入。楽天の「楽びん!」の活用も始めた。

「基本のセットより高めの価格帯の商品が好調で、2人前の需要が一番多いですね。ウーバーは東京の五反田店と南池袋店、楽天の宅配は同じく五反田店、烏山店が対象です。五反田店では両方に対応しているので、オーダーの動向を見ていきたい」(水留氏)

スシロー米

スシロー米を育てている生産者と消費者をつなげる取り組みにも力を入れる。

あきんどスシロー提供

他社に退場させる「勝ち残る経営」

寿司ネタではマグロとハマチが2大定番。マグロは関東で、ハマチが関西で人気だと言う。ここ2~3年で一番ヒットしたのはウニ。チリのウニをさまざまな工夫をして味を落とさずに日本に運んでいて、「このレベルのウニを100円で売れるところは他にはないと思っています」(水留氏)

スシローは、店で使う米の供給の安定化も強化している。取引先であるJA全農子会社の全農パールライスとの取り組みとして、スシローで使う米の生産者の田んぼには、「スシロー米作っています」の旗が上がる。スシロー米の割合は20%程度だが、今後はこの比率を上げていく方針だ。

長期的に国内市場を見ると、外食産業は順風満帆とは言えない。少子高齢化と人口減少は、回転ずしビジネスにとって避けられない課題で、「売り上げ」と「働き手確保」のどちらにも逆風となる。

スシローは、省力化の取り組みを2年ほど前から進めている。人手が必要なキッチンサイドでは、機械導入やレイアウトの見直しでポジションを減らせないか常に考えているという。五反田店では皿のカウントを機械化し、セルフレジを導入。他店にも広げていくこと検討している。

水留氏は、「回転寿司は厳しいビジネスで、スシローで言えば原価率は5割前後ですし、しっかりした売り上げがないと利益が出にくい」とした上で、「マーケットが縮小する段階に入ったら、負けないことが大事。他の会社に退場してもらって最後まで勝ち残れば、一定のマーケットは残るわけだし、1店舗あたりのカバーする人数は変わりません」と強気だ。

「今あるブランドが10年後も全部あるとは限らず、3社くらいに集約するかもしれません。要は勝ち残ることです」と加えた。

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