ダイソンのEV参入、発端は既存メーカーへの不信

ジェームズ・ダイソン氏

次は、気候変動問題に取り組む。

Getty Images/Derek Hudson

  • 長年にわたって大気汚染問題に不満を感じていたジェームス・ダイソン(James Dyson)氏がEVの開発計画を発表)。
  • 同氏のEVへの関心は、1980年代後半までさかのぼる。
  • CEOイーロン・マスク氏と同様に、ダイソン氏も自動車が気候変動という大きな問題の要因だと考えている。

9月26日(現地時間)、デザイナーのジェームズ・ダイソン氏は30億ドル(約3360億円)近い投資を行い、EVを2020年までに開発すると述べた。同氏は従来の常識を超えた革新的な掃除機やハンドドライヤーで知られている。

EVの開発に乗り出すことで、ダイソン氏はテスラのCEOイーロン・マスク氏と事実上、同盟した。2人とも多くのEVを販売することを第1のモチベーションとはしていない。むしろ自動車は大気汚染や気候変動といったより大きな問題の要因となる大規模なデザイン上の問題と考えている。

Business Insiderが入手した社員宛てのメールでダイソン氏は、従来とは根本的に異なるEVを開発することへの関心は1980年代後半に、別の問題に対する取り組みによるフラストレーションから生まれたと述べた。

「1988年、私はアメリカ国立労働安全衛生研究所の論文を読んだ。そこにはディーゼルエンジンの排気ガスと研究用マウスの死亡には関連性が認められるとあった」とダイソン氏。

「1990年3月、我々のチームはサイクロンフィルターの開発に着手した。自動車の排気システムに装着し、微粒子をキャッチするフィルターだ」

誰も欲しがらなかったテクノロジー

1993年までにプロトタイプは準備できた。だが、誰一人としてこのテクノロジーに関心を示さなかったとダイソン氏は語った。ダイソン氏にとって大きな衝撃だった。同氏は自動車メーカーや政府がいわゆるクリーンディーゼルを推進すること、そしてその一方でフォルクスワーゲンなどの自動車メーカーが排ガステストで不正を行っていたことに対して不信を表明してきた。

「大気汚染という地球規模の問題解決に取り組むことは、常に私の大きな望みだった。数年前、自動車メーカーは彼らのスタンスを変えるつもりがないことに気づいた。だから私は自社で新しいバッテリー技術を開発することを決意した」

「そして今、我々はついに我々が持つ全技術を結集させ、1つの製品を作り出す機会を手に入れた。排気管にフィルターを取り付けるのではなく、根本的に問題を解決する能力を今、我々は持っている。だから、皆さんには私から直接聞いてもらいたい。ダイソンはEVの開発に取り組む。そして2020年までに販売する」


イーロン・マスク氏

EVの開発に乗り出すことで、ダイソン氏はテスラのCEOイーロン・マスク氏と事実上、同盟した。

Reuters/Mike Blake

ダイソン氏とマスク氏の同盟

ダイソン氏のモチベーションは、マスク氏がテスラを立ち上げた時と似ている。2人とも、GDPの70%を消費支出が占める現代の資本主義経済において、大きな変化を生み出す最善のやり方は人々の購買行動を大きく変えることだと理解している。

自動車は数兆ドル規模のビジネスだ。しかし、99%の車はガソリンで走っている。そして、排気ガスは気候変動に最も影響をおよぼす要因。もしテスラやダイソンが、再生可能エネルギーで走るEVでこの状況を変えることができれば、消費者は気候変動の抑制に貢献することができるだろう。

だが、消費者は納得できる製品が欲しい。マスク氏はテスラから魅力的なEVを世に送り出し、時価総額600億ドル、モデル3の予約50万台という称賛を得ている。

ダイソン氏が同様のもの、あるいはより優れたものを提供できれば、世界は素晴らしいEVのエコシステムへと動き出すだろう。政府から自動車メーカーに課せられる排気ガスや燃費の規制によってではなく、消費者が支持する地球を救うというミッションによって。

[原文:Billionaire designer James Dyson is on a mission to save the planet — just like Elon Musk (TSLA)

(翻訳:まいるす・ゑびす)

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